ボーイハントW  男の子? (1)

                                      
作:michi


ユキナリ>>また遭いましたね。カナコさん。元気だった?
カナコ>>はい。もう、ユキナリさんに遭いたくて・・・今日はずっと待機してました。
ユキナリ>>本当? 嬉しいな。そんなに僕の話、気に入ってくれた?
カナコ>>はい・・・私・・・ここでの会話が・・・一番燃え上がるんです・・・・。
ユキナリ>>じゃあ、今夜も・・・淫らになってくれるんだね?
カナコ>>ええ・・・。

由梨がハマったアダルトサイトの2ショットチャット――ユキナリというのは由梨のハンドルネームで、前のやり取りでも分かるように、彼女は男性を演じている。いわゆるネナベを行なっているのだ。

ユキナリ>>今日はどういう風にして遊んでやろうか?
カナコ>>はい。ユキナリさんにお任せします・・・・。
ユキナリ>>人使いが荒いな(笑)。宜しい。じゃあ脱いで。
カナコ>>・・・・・はい。

何故、由梨がネナベをする羽目になったか・・・・最初は女性名で入室してた訳だが、入ってくる男のセリフは、「彼氏いる?」「1回会わない?」この内容の書き込みばかりで、正直辟易するばかりであった。そこでつい悪戯心で男のフリをしてみたのであった。

ユキナリ>>相変わらず、いやらしい体だ・・・・。
カナコ>>いや・・・あんまり見ないで・・・恥かしいです・・・・。

カナコとの出会いは男性名で何十時間も待機した末の事だった。話を聞いてみるとどうやらマゾっ気が強いらしい。

ユキナリ>>・・・・自分で脱いだ癖に見られるのを嫌がるなんて・・・カナコは我侭だな。そんな子にはお仕置きをしてあげよう。
カナコ>>え?・・・・何をするの?
ユキナリ>>動けないように縄で縛るのさ。そうそう、声も出せないように猿ぐつわもしてあげよう・・・・。
カナコ>>え?・・・そ、そんな・・・・。
ユキナリ>>抵抗しても無駄だよ。それっ、ギュッギュッ・・・・
カナコ>>ああ、・・・・イヤあ!
ユキナリ>>ふふ、猿ぐつわもしたよ。これでイヤとも言えまい・・・。
カナコ>>ムグウ、ウウウ・・・・。

そして由梨とカナコのPC上での痴態が延延と続くのであった。


「ちょっと早まったかな・・・・。」由梨は待ち合わせの喫茶店で溜息をついた。相手は・・・
チャット相手のカナコだった。――二週間程のカナコとのチャットでとうとう由梨の良心が居た堪れなくなった。

ユキナリ>>君といろいろ過ごせて楽しかった・・・・。実は君に謝りたい事があるんだ。
カナコ>>どうしたんですか?
ユキナリ>>ココでは話したくない・・・。君に実際会って話したい。あ、変な事をするつもりは無いんだ。
カナコ>>・・・・・・いいですよ。私、ユキナリさんを信じてます・・・・それに、私も・・・・あなたに謝りたい事が。
ユキナリ>>え?何を?
カナコ>>私もあなたと同じ・・・・ココでは話したくない・・・・・・。
ユキナリ>>分かった。じゃあ、明日の日曜6時、駅前の・・・・・

由梨は昨日のチャットの内容を思い出しながら腕時計を見た。後3分で5時になる・・・。
彼女は真実を知ってどうなるだろうか?怒り狂うか?いやいや、羞恥の余り飛び出してしまうかも知れない。どっちにしろ面白半分でこんな事をした自分は軽蔑されるに違いない。
由梨は覚悟を決めて、時間が来るのを待った。

「あの・・・・・ユキナリさんでしょうか?」背後からあどけない声がした。
「うん?違うけど?」
「あ、そうですか。失礼しました。」由梨の後ろの席の客はサラリーマン風の青年だった。

彼女は自分と間違えてその人に声をかけたのだ。

「カナコ・・・・。」由梨は恐る恐る後ろを振り向いた。
「あれ?」不思議な光景だった。声の主が見当たらないのだ。しかもこの店の女性客は自分1人である。
「どうしちゃったのかしら?」訳が分からず由梨は周りを見渡した。店の奥には中年男性が2人コーヒーを飲みながら談笑しているし、自分の後ろはさっきのサラリーマン。カウンターでは初老の男性が新聞を広げている。他は・・・小学生位の男の子が周りをキョロキョロさせていた。

「ううっ、寒い寒い!マスター、ホット頂戴。」カランとドアを開け学生風の男が店に入って来た。

「あ、あのぉ・・・・ユキナリさんですか?」
「へ?俺?俺はタケシっつうモンだけど。」
「そうですか・・・・すみませんでした。」由梨は息を呑んだ。ユキナリを探しているのは小学生位の男の子だったのだ。・・・・何かの偶然か?でももう6時はとっくに過ぎている。

「カナコ・・・・・ちゃん?」由梨は彼の背後から声をかけた。少年は一瞬ビクッとなり由梨の方へ振り返った。


「はあ・・・・まさか、私の相手が・・・・ネカマだったとはねえ・・・。」自分の事は棚に上げて由梨は溜息をついた。

「あ、あの・・・・ごめんなさい。」少年は由梨がオーダーしたオレンジジュースを気まずそうに見つめながら言った。

「ネカマ以前の問題よ。あそこは18禁でしょ。君幾つ?」
「・・・・12・・・・小学5年生です・・・・。」少年は泣き出しそうな声で答えた。
「名前は?」
「金森雪成・・・・です。」
「金森でカナコちゃんかあ。・・・私のハンドルネームがユキナリだから・・・からかおうと思ってアクセスしてきたのね。」

「・・・・はい、最初は面白半分だったんですが、つい、ユキナリさんと話している内にハマってしまって・・・・。」
「私の名前は川端由梨よ。でも、まあ私も人の事言えないわね。」由梨は呆れて宙を眺めた。
「あの・・・・。」雪成がオドオドした目で由梨に聞いた。
「私がどうしてネナベになったのか聞きたそうな顔ね。いいわ、教えてあげる。それはね・・私がサドだから。」
「・・・・・・。」サドという言葉は彼も知ってるらしい。
「女だとなかなか主導権握れないのよね〜。責めたがる男ばっかで・・・。」
「女性が男性を責めるサイトもいっぱいありますよ。あ!」そこまで言った雪成はしまったという表情で口を押えた。
「あら?未成年の癖にあそこ以外の所にも出入りしてるの?ホント、イケナイ子ね。」
「ごめんなさい・・・・。」
「もう謝らなくてもいいよ。」由梨はまじまじと子ウサギのように怯える少年を見つめた。
かなり可愛い顔立ちをしている。この子が中学に上がる頃には祐樹みたいなタイプになるだろう・・・・由梨の鼓動が高鳴った。

「君・・・マゾなんでしょう?」
「・・・・・。」由梨の問いかけに雪成は答える事が出来なかった。
「分かるわよ、あのチャットでの君のなりきり様で。でも可哀想ね、その年じゃその願望をかなえて貰えないしね。」雪成は真っ赤になって俯いた。
「ふふ、ごめん。ちょっとイジワルだったかな。」由梨は暫くどぎまぎしてる雪成の様子を楽しんだ後、言った。

「今から私の家・・・・来る?」


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