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続々・九輪君の場合 (5)
作:れいのっく
九輪が千紗に捕らわれてから一週間が過ぎた。
眠り続けていた日を含めると二週間近くこの別荘に滞在していることになるが、夏休み
の最中ということもあり、一人暮らしの彼が半月ほど姿を消したところでさほどの問題に
はならなかった。
練習熱心な彼が部活に姿を現さないため、心配した澪は顧問のさやかに相談したが、捜
索願いが出されるまでには至らなかった。九輪は携帯電話も持っていない上、たまに一人
きりで山ごもりに出掛けることもあったため、突然の失踪を怪しむ者はいない。
増してや、彼が郊外にある神浪家の別荘でめくるめく淫虐の牢獄に捕らわれていること
など、誰も知るはずがなかった。
◇
日を追うごとに、千紗の責めはその度合いを増していった。
一日中全身を弄り回され、体の内と言わず外と言わず次々と性感帯を暴き立てられ、九
輪の体は急速に改造されていった。張りつめた乳首はペニスにも劣らないほどの感度を保
ち、全身の皮膚も敏感さを増している。菊座に指を挿れられてももう異物感はまるでなく、
アヌスは既に快楽を受け入れるだけの穴となっている。
毎日のように施される浣腸が、体質の変化に一役買っていた。グリセリンに混ぜられた
催淫剤と筋弛緩剤はじわじわと彼の全身に浸透し、千紗の目の前で排泄するという屈辱的
な行為も手伝い、肉体的にも精神的にも彼を蝕んでゆく。
食事は一日に二回。胃がお粥に慣れてくると、千紗は手作りのパスタやハンバーグを作
って出してくれたが、それにしても彼女が一度咀嚼したものを口移しで与えられるため、
九輪にとってさして変わりはなかった。良好な栄養状態であるとはあまり言えなかったが、
四肢に行き渡る力をすべて吸収してしまうかのように、ペニスだけは常に隆々とそそり勃
っていた。
千紗が嬉々として九輪のアヌスに浣腸器を差し込むのは、排泄の手助けというより彼の
体内に薬を注入し身も心も骨抜きにするために相違なかった。既に完膚無きまでに打ちの
めされた九輪はそんなことを知る由もなく、ただ羞恥と屈辱に身を震わせながら彼女の手
の中で翻弄された。
食事と排泄の時間以外は、ひとときの休みもなく千紗の責めが彼の全身を襲った。
ねばりつくような悪夢にうなされ、泥のような眠りから覚めてみると、ペニスは手でし
ごかれているか唇にくわえ込まれているか、もしくは跨られ秘唇に呑み込まれているかの
どれかだった。アヌスに指や舌を差し込まれたり、顔中に濡れた股間をこすりつけられ、
その刺激で目を覚ますこともあった。そして九輪が目覚めようか目覚めまいがお構いなし
に、千紗は彼を貪り犯し続けた。
手が、口が、足が、胸が、尻が、そして膣が、体位や部位を変え執拗な責めがペニスに
絡みつき、絶え間なく精液を搾り抜き続けた。朝から夜までしごかれ、ねぶられ、吸い付
かれ、締め上げられ、日に10時間以上も続けられる責めの中で、九輪は数十回もの射精
を強いられ、精が出尽くして半ば失神しても解放はされず、大量の薬と執拗な愛撫の前に
ペニスは萎えることを許されず、永劫に続くかのような絶頂と官能の牢獄でのたうち回り
もがき続けた。
寝る時さえも、彼に安息は与えられなかった。
夜中まで続く責めに疲れると、千紗は一日目と同様に即席の拷問台に彼を縛り付け、そ
の上に乗って奉仕とまどろみを楽しんだ。疲れ果てた九輪の舌が動きを鈍らせると、彼女
は無意識のままお尻を押しつけて奉仕をねだり、指先で彼の乳首を刺激し強引に意識を覚
醒させた。
九輪が完全に意識を失い、責め立ててもぴくりとも動かなくなる頃には、夜は明けてい
た。眠りながら腰を揺すり顔に股間をねぶりつけ、更なる快楽を貪り絶頂に達するその快
楽が、千紗の目覚まし代わりになった。気持ちよさのあまり緊張が緩み、そのまま九輪の
口の中に失禁してしまったこともある。
千紗が起きてからの一時間足らずが、九輪が失神という名の休息を受けることができる
ほぼ唯一の時間だった。その間に千紗はシャワーを浴び彼の身を濡れタオルで清め、汗や
体液で濡れたシーツを器用に交換した。そして簡単な食事を取る間も惜しく、再び九輪を
求め部屋に舞い戻るのだ。
朝起きてから寝る間まで、意識のある間、九輪が千紗の手から逃れることはなかった。
体に触れるもの、体に入ってくるもの、体から出て行くもの、全てが千紗の手によるもの
だった。狂的な淫欲を別にすれば、千紗はこれ以上ないほどの愛情を持ってかいがいしく
彼を看護していた。
にも関わらず、九輪は日に日にやつれ消耗していった。四肢は萎え気力は尽き、責めに
もがく姿も次第に弱々しいものになってゆく。
それと反比例して、千紗は一日ごとに精彩を増し溌剌としていくようだった。体を重ね
るごとに九輪に対する態度も奔放で無遠慮なものとなり、全てを自分に委ねるしかない彼
の身を好き放題に弄ぶようになっていた。
ホルモンの関係だろうか、九輪と絡み合う日々は千紗本人の身にも変化をもたらしてい
るようだった。
内からにじみ出る妖艶な色気が、しなやかな肢体を彩る。やせ形だった体は急速に女性
らしい丸みを帯び、肌はみずみずしく張りを増す。九輪の知る中学時代の内気がちな彼女
はどこにも見られず、明るさを増した顔は華やかで美しい。元々持つ品の良さをその色香
が手伝い、どこか女王のような気品を醸し出している。
処女を失ってからのこの半月の間に、千紗は少女から女へと完全に変貌を遂げていた。
九輪に憧れ、彼の背中を見つめ続けていた頃の面影はない。今や立場は逆転し、千紗は身
も心も完全に九輪を捕らえ支配していた。
◇
その日の朝は、いつもと少し様子が違っていた。
ひどい悪夢にうなされて目を開けた九輪は、万歳をするような格好で両腕を上げられ、
ベッドの鉄柵に繋がれている自分に気付いた。革製のバンドで柵と手首をつながれている
ため、力をこめてみてもぴくりとも動かすことはできない。
混濁しもやがかかった頭に、かすかな違和感が浮かんだ。ここ数日というもの、激しい
消耗により抵抗し身をもがく力は残されておらず、千紗が自分を拘束し動きを封じようと
したことはない。これは一体どういうことだろう。
何とか体を動かそうとして、彼は遅ればせながら異変に気付いた。
体はベッドの上でくの字に折り曲げられ、膝頭が両肩につきそうになっていた。足首は
手首と同様に柵に縛り付けられ、なけなしの力を振り絞っても文字通り手も足も出ない。
半ば本能的な警戒心が、薄い意識の中で必死に警鐘を鳴らした。様子がおかしい。何か
が行われようとしている。
どぎつい快楽にべったりと塗り込められた記憶を探り、九輪は失神するまでの自分を思
い出してみた。
確か、昨日は……千紗がローションのボトルを手に現れ、笑顔でこう言ったはずだ。
「今日は一日中、いっしょにつながってようね♪」
と。
◇
仰向けに寝る自分に背を向ける格好で、千紗は腰をまたぎペニスを秘唇に呑み込んだ。
そしてあらかじめ少量のローションを注入したアヌスに指を差し込み、ゆったりと腰を揺
すりながら指先をくりくりと動かす。
十回や二十回射精した程度ではペニスは萎えないことを、彼女はよく分かっていた。絡
みつく快楽に九輪が悶絶し精を吐き出すと、千紗はそれを残さず膣に受け続けて腰を、指
を動かし、絶え間のない快楽で強制的に勃起を継続させた。ペニスも、アヌスを犯す指も
一度も抜かれることがないまま、九輪は何度も何度も彼女の中に精を噴き上げ続けた。
その記憶しかなかった。
千紗の秘唇からは止めどなくじくじくと蜜が溢れ、たっぷりの潤みで九輪を濡らし呑み
込んでいた。アヌスに入れられたローションもそれと同じ働きを果たし、指先は温かなぬ
めりの中で休みなく前立腺を刺激する。
完全につながり一体になったまま、ただ延々と時間だけが過ぎていった。たまに後ろを
振り向き、千紗は勝ち誇った顔でこちらを見下ろす。どんなにもがいても腰の上に身を据
えた彼女から逃れることはできず、九輪はいつしか快楽の大波に呑まれ気を失っていた―
―。
◇
「おはよう、九輪くんっ」
不意にドアが開けられ、飛び込んで来た声が彼の物思いを断ち切った。首を巡らすだけ
の力もなく、九輪は目だけを動かして千紗の姿を追う。
入ってきた彼女は、数日ぶりに見る私服姿をしていた。涼やかな色合いのワンピースに
フリルのついた白いブラウス。ブランド品のバッグに控えめなシルバーのアクセサリー。
はなやいだ中にも品のあるその出で立ちは、今の彼女によく似合う。この一週間というも
の、全裸かせいぜいエプロン姿の彼女しか見ていなかった九輪にとってそれは新鮮な光景
であり、淫虐の渦に巻き込まれ忘れかけていた遠い日常を思い出させてくれるものだった。
――解放してくれるのだろうか。
かすかな希望が、彼の心に灯った。千紗を通じて透けて見える外の世界が、平凡に日々
を送る普通の生活が、九輪の中に耐え難いほどの慕情と渇望をわき起こす。
何か言おうとしたが、舌は鉛のように重く言葉を発することはできなかった。不自然な
体勢で押さえ込まれていることもあり、顎を開くことすらままならない。ただ必死の願い
を視線に込め、九輪は祈るような思いで美しい支配者を見上げた。
「ごめんね、今日はちょっと、用事があって」
いつもと変わりない調子で、千紗は九輪を見下ろした。彼の視線を真正面から受け止め、
気に留めるそぶりも見せない。
嫌な予感がした。
「出掛けなきゃいけないの。買い物もしなきゃいけないし。だから、今日はあまり一緒に
いてあげられないわ。昨日みたいにずっと、ずーっと、一日中、一緒にいたいんだけどね」
(出してくれ……)
めまいのするような絶望とともに、かすかな希望は無惨にも打ち砕かれた。千紗の言葉
から察するに、彼女に九輪を解放する気はなさそうだった。
(もう――許してくれ、神浪……)
泣きそうな目で、九輪は彼女を見上げた。涼しい顔でその視線を受け流し、千紗はにっ
こり笑って言葉を続ける。
「くす、どうしたの? そんなに私といられなくて寂しい? ごめんね、なるべく急いで
帰ってくるわ。それに――」
バッグの中をごそごそとまさぐり、千紗は何か取り出した。
「直接は無理でも、ちゃんと、楽しませてあげるからぁ……」
流線型の白い器具に、千紗はぺろりと舌を這わせた。
エネマグラと呼ばれるプラスチック製のその器具を、九輪は知らなかった。ただ彼女の
異様な目の輝きから、本能的に身の危険を感じ表情をひきつらせる。
くすくす笑いながら彼にのしかかり、千紗は無防備にさらけ出された菊座に吸い付いた。
下からもれ聞こえる呻きに目を細めながら、舌先をアヌスに差し込み、唇にたっぷりと唾
液をのせ肛門をほぐしにかかる。
毎日休まずに弄り続けられ、初めの頃に感じていた抵抗や異物感は、もうほとんどなく
なっていた。じっくりとした責めにアヌスは力を失い、九輪の意志とは反対にまるで快楽
を求めるかのように苦しげにひくつく。
完全に無抵抗となった穴に、千紗はエネマグラを挿入した。窄まりにあてがわれた器具
は軽く指で押すだけで吸い込まれるように中に潜り込み、先端の曲面がピンポイントで前
立腺をつつく。
「――っ……ぁ……ぁ――っ」
途切れ途切れな吐息が、九輪の口からもれ聞こえた。一秒の休みもなく続けられた昨日
の責めで、すでに声はかれ言葉を発することはできなかった。それと同等の責めを今日も
繰り返されるのだとおぼろげながら悟り、顔には苦悶と絶望の表情がにじむ。
拍動に合わせ収縮するアヌスが、意志とは無関係により深みへとエネマグラを引きずり
こむ。急所をつつく無機質な刺激がさらに筋肉を収縮させ、快感のスポットにぐりぐりと
器具を食い込ませ、より深みへと九輪を引きずりこんでゆく。
笑いながら、千紗は悶絶する彼の様子を見下ろした。
「うふ、可愛い声、出しちゃって……どうしたの? そんなに気持ちいいの? でも、そ
れだけじゃ、ないのよ――」
そう言って部屋の隅に歩き、戸棚から何かの機材を取り出す。長さ20センチ、直径は
10センチ足らず。プラスチック製のボディと中空になった構造のため、見た目ほどの重
量は感じない。
「インターネットで買っちゃった。最新式のオナホールなんだって。ええっと――『驚異
の新素材“片栗粉X”により作られた至高の内部構造! 電子制御により様々なパターン
の収縮・ピストン運動を実現!』だって。変なの」
アヌスを犯し続ける悪魔的な快楽に翻弄され、九輪にはその説明も聞こえていない様子
だった。お構いなしにホールにローションを注入し、千紗はいきり勃った彼のペニスを挿
入させる。柔らかな素材がペニスを締め付け、中に生えたシリコンの絨毛が竿をなで下ろ
し、九輪はびくんと身を痙攣させた。
器具の外にも、ローションを入れる穴が空いていた。内部の潤滑が弱くなると、勝手に
補充してくれる仕組みらしい。洗濯機みたい、と思いながら、千紗はそこにもたっぷりと
ローションを充填した。さらに、父の病院からくすねた点滴用の管でローションのボトル
をつなぎ、絶え間なく潤滑剤が供給されるように細工する。
電源を入れると、内部のエアバッグが作動し余分な空気を押し出した。きゅっと締まる
圧迫を受け、九輪は思わず声をもらす。ひもで器具の根本を縛って固定すると、千紗は反
対の端を肛門から顔をのぞかせるエネマグラに引っかけた。
ホールの重みに引っ張られ、エネマグラが軽く粘膜をかき乱す。新たに加わる刺激に九
輪が身をよじる。くすくす笑いながらそれを見下ろし、千紗はコードで繋がれたリモコン
のパネルをいじる。
1から10まで、様々な動作のパターンがあるようだった。全部のスイッチをONにし、
「ランダム:ローテーション」と書かれたキーを押す。動きの強弱もリモコンで操作でき
るらしい。千紗は迷わず目盛りを最大に合わせ、スタートのキーを押した。
「ぅ……!? ぁぁ……ぁ――っ!?」
駆動音を響かせ、オナホールはいきなり動き出した。静かなモーターの音に合わせかす
かに湿った音、そしてぷしゅーっ、ぷしゅーっ、という空気のもれる音が聞こえる。
内部は外殻と柔壁の二重構造になっていて、プログラムに合わせて中の柔壁が回転した
り、強弱のついたピストンを繰り返したり、はてはエアバッグの空気圧を調整することで
様々な感触を生み出すことができるらしい。外から見る分には中の動きをうかがい知るこ
とはできず、千紗は興味津々といった様子で悶絶する九輪を見下ろした。
ありとあらゆる性感のパターンを研究され、男をイかすためだけに作り上げられたその
器械は、恐ろしいほどの官能の渦に九輪を引きずりこんだ。むっちりと密着する素材がペ
ニスに吸い付き、無数のひだや突起、絨毛がピンポイントで性感帯をいたぶる。時にじら
し、時に激しくしごき立てる、計算し尽くされた動きが九輪をくわえ込み、ただひたすら
に射精を要求し動き続ける。
ひとたまりもなくホールの中に精液をぶちまけ、九輪はびくんびくんとペニスを痙攣さ
せた。ホールを揺らすその動きがひもを伝ってエネマグラに伝わり、肛門をかき乱し前立
腺を強烈に刺激する。
全自動で快楽を生み出す機械の、歯車の一つに組み込まれたようなものだった。機械的
に犯され刺激される性感の前には、九輪の意志の介在する余地はない。オナホールの電源
はアダプタを使い建物のコンセントから引っ張っている。点滴を使って養分さえ与えてお
けば、2、3日放っておいても大丈夫だろう。
自分の細工の出来映えに満足しながらも、千紗は少し不満そうに唇を尖らせた。
「もう……そんな器械でそんなに感じちゃうなんて、本当にだらしないんだから。――も
う、知らない」
望み通りとは言え、九輪の激しい反応は、彼女にゆがんだ嫉妬を抱かせるに充分なもの
だった。ぷいと顔を背け、千紗は振り返りもせずに部屋を後にした。
動き続けるホールの音、そして取り残された九輪の苦悶の声だけが、誰もいない部屋に
響き続けた。
◇
絶望的なまでの快楽の奔流に巻き込まれ、九輪は失神と幻覚の狭間を漂った。途切れ途
切れの意識の中、さっきまで見ていた悪夢が脳裏をフラッシュバックする。
夢の中で、九輪は同じように体を折り曲げた無理な体勢を強いられていた。ぬめった感
触がアヌスを這い回り、柔らかな圧迫がペニスをしごき抜く。手には手錠、体は前後から
誰かに押さえ込まれ身動きは取れず、顔の上には淫らな重圧がのしかかり口に濡れた感触
をこすりつける。
倉庫の中の出来事だと、おぼろげながら意識が走った。どれだけ記憶を振り絞ってもそ
れより前の情景は思い出せない。
なぜ自分はそこにいるのか。どうしてこんな目に遭っているのか。そもそも自分はどん
な人間で、どんな生活を送っていたのか。
どんなに頑張ってみても無理だった。何層にも重ねられた淫虐の記憶は他の全てをどぎ
つい色合いに塗りつぶし、全てを官能の下に流し去ってしまっていた。遡っても遡っても
無限にわき出てくる絶望的な記憶に、彼は思い出そうとするのをやめた。
その努力をあざ笑うかのように、何十人もの女が周囲を取り囲んだ。襲いかかる無数の
裸身が彼を押さえつけ、踏みにじり、しゃぶり尽くす。やめてくれと懇願しようにも口に
は熱くぬめる感触が押しつけられ、淫らに、奔放に、かすれる意識を押しつぶす。
耐え難いほどの快楽責めにも関わらず、ペニスの根本に施された束縛が、極限状態の官
能から彼を解放してはくれない。強烈にしごき抜く淫唇の感触が、すえたきつい女陰の味
が、無抵抗な彼を打ちのめす。
想像を絶する苦悶と懸命な奉仕にも関わらず、射精の許しは与えられなかった。絶望を
感じる間もなく、数を増した女達の中で、彼は屈辱的な罰を受ける。押しつけられたアヌ
スからおならが注ぎ込まれ、もがく顔の上にさらに別の尻が乗る。そして二人がかりのガ
ス責めが彼を奈落の底へたたき込み、完全な失神へと追い込む。
しかし肛門で荒れ狂うローターが、彼を絶望的な覚醒へと引きずり出す。外から、内か
ら身を苛む拷問に徹底的に打ちのめされ、九輪は完全に力を失う。それを見て取るや女達
は彼の口にディルドーを押し込み、首筋に脚を絡ませ、淫乱に、暴力的に、彼の顔で快楽
を貪る。
記憶は一旦そこで途切れた。次に目を覚ました時、彼は柔らかで清潔なシーツの上にい
た。そして入ってきた千紗に口移しでお粥を与えられ、彼女との日々が始まる。
口移しの食事、浣腸、そして全身を這い回る彼女の指先と舌。一日中ペニスを犯され、
アヌスを犯され、異常なまでの快楽に抗うこともできず、椅子に縛られ、一晩中彼女の蜜
に溺れ続ける。ただひたすら、それが繰り返されるだけの日々。
耐えられなくなって、九輪は泣きじゃくった。もう嫌だ。普通の生活に戻りたい。与え
られる官能は既にもう苦痛でしかなく、彼の心身をすり減らし蝕み続けている。静かに自
分を壊していく狂的な愛欲に、九輪は恐怖すら覚えていた。
彼の意志などお構いなしに、千紗は九輪をベッドに縛り付けた。そしてエネマグラを挿
入し、オナホールを装着させる。彼女の意志を汲んだ器具は望み通りの効果を発揮し、泣
き叫ぶ九輪を更なる悶絶の深みへと引きずりこんでゆく。
そして朦朧とする意識の中で、九輪はまた暗い倉庫の中に閉じこめられ、三人の女に手
錠をはめられ犯されるのだ。
現実と幻覚がまるでキャッチボールのように彼を弄び、快楽と苦悶の狭間で延々と苛み
続けた。器械的な責めに耐えきれず意識が闇に沈むと、待ちかまえていた幻覚が彼を呑み込
みなぶり尽くす。あまりに辛いその記憶に、意識を逃避させて現実に戻ると、止めどのな
い刺激が再び彼を責め立て失神へと突き落とす――。
断続的に失神と覚醒を繰り返し、しかしどちらでも安息を得ることはできず、九輪は無
限に続く淫虐のループを辿り続けた。既に現実と幻影の区別もつかず、意志も、理性も、
自我も何もないまま、ただ苦悶の海の奥深くへと沈み続ける。
千紗が遅い外出から帰ってきたのは、それから大分後のことだった。
◇
「ただいま、九輪くんっ」
溌剌とドアを開け部屋に入ると、九輪は完全に失神していた。提げていた買い物袋を片
づける間も惜しく、千紗は軽やかな動きでベッドに飛び乗る。
「ごめんね、遅くなっちゃった――九輪くんがいけないんだよ、こんな器械なんかで、そ
んなに感じてるから。ちょっと意地悪しようと思って、色々お店回ってたの」
オナホールは機械的に動き続け、九輪のペニスも同じく機械的にびくびくと震え絶頂を
示していた。何十回となく放たれた精がホールの口から溢れ、白い流れとなって下に落ち
端正な顔をまだらに染めている。
日はもうとっくに暮れている。時計を見ると、朝ここを出てからちょうど12時間経っ
ていた。予備に置いていたローションのボトルはほとんど空になっている。ちょうどいい
分量なんだな――などと思いながら、千紗はオナホールの電源を切った。
エネマグラを抜き、ホールを外す。半日ぶりに解放された九輪のペニスは相変わらず痛
々しいほどに張りつめ、半日の間続けられた前立腺責めによりサイズと硬度は限界を保っ
ていた。抵抗する術のない彼を仰向けに押し倒し、千紗は舌なめずりしながらその上にの
しかかる。
「でもね、やっぱり待ちきれなくなって、タクシーで急いで帰ってきちゃった。でもタク
シーの中で九輪くんのこと考えると、すっごい濡れちゃって。危なくシート汚して迷惑か
けるところだったわ」
とっさにハンカチを下に敷いて難を逃れたものの、あふれ出た淫蜜はスカートのお尻の
部分に沁みを作っていた。ぐしょぐしょに濡れたパンティから急いで片脚だけ引き出すと、
千紗はすぐに九輪の顔にまたがった。
まるで失禁したかのような勢いで、千紗の股間からは澄んだ蜜が湧き出ていた。べちゃ
っと濡れた音を響かせ、秘唇が九輪の口を塞ぐ。ふわりと舞い降りたスカートが彼の顔に
かかり、苦痛にゆがんだ表情を隠す。
「ぁん。そう、そう――こうよ、ずっとこうしたかったのよ……」
腰をくねらせ、口元に股間をねぶりつける。唇と唇がすれ合い淫らな音を奏でる。全身
から発汗し半ば脱水症状に陥っていた九輪は、無意識にその蜜をすすった。
いつものように舌を使ってくれない彼に不満げに唇を尖らせながら、千紗はその分腰の
動きを早め彼の顔中に股間をなすりつけた。くぐもった水音に混じり、九輪のかすかな喘
ぎが途切れ途切れに響く。
「ぁっ……、ぁっ、ぁっ、ぁっ、ぁんっ……!」
スカート越しに彼の頭をぎゅっと押さえつけ、固定した鼻筋で割れ目をすり上げる。鼻
梁がクリトリスに触れるたび、背筋にびくんと電流が走る。更なる快楽を求めて体重をか
け、千紗はまるで九輪を呑み込まんばかりの勢いで彼の顔をねぶり抜く。
「あぁ――っ! ああぁ――――っ!」
獣のような絶叫とともに、千紗は大量の愛液を彼の顔にぶちまけた。ぬめりを増した顔
の凹凸の上で腰はがくがくと動き続け、快楽の余韻を再び燃え上がらせる。半日もの間抑
圧されてきた性欲が彼女の理性を奪い去り、千紗は自制することもできずに更に腰をくね
らせ、九輪を使った自慰にふけった。
続けて二度、千紗は九輪の上で絶頂に達した。九輪はまるでバケツで愛液を浴びせられ
たように顔中を濡らし、抵抗する力もないまま弱々しく吐息をつく。千紗が顔から下りて
下半身に絡みついてきても、彼はぴくりとも反応することができなかった。
「くすっ、あんなにいっぱい出したのに、こっちはこんなに元気なまんま……やっぱり、
私じゃなきゃだめなのね。そうなんでしょ?」
ペニスにちろちろと舌を這わせ、表面に残ったザーメンの残滓を舐め取る。一度、口い
っぱいに頬張って九輪の味を堪能してから、千紗は無造作に彼の腰をまたいだ。
すでに二人とも、前戯の必要もないほどに濡れ、勃起していた。舌なめずりしながら自
分の秘唇に狙いをつけ、千紗は一息に腰を沈める。
「ぁん――っ」
「ぅ――っ」
ずぶずぶと、九輪は千紗の中に埋没していく。ぴくんと身をのけ反らせる彼の胸板に上
から手をつき、千紗は腰を振るい始めた。
「あぁんっ、ぁっ、ぁっ、ぁっ、ぁっ、ぁんっ、いいわぁ――気持ち……いい……っ」
髪を振り乱し表情を弛緩させ、千紗は快感を貪る。開いた口からつっ――と澄んだ唾液
が垂れ九輪の肌に落ちる。器械にはできない大胆なグラインド、そして人工物ではとうて
い及ぶことのできない熱くぬめる触感が、九輪を呑み込み、締め付け、絡みつき、しごき
抜く。貪欲で攻撃的な腰の動きと膣の収縮が、底をついた九輪の精をさらに徹底的に吸い
上げにかかる。
「ぁ――ぁぁ――」
虚ろな声が、彼の喉からもれた。光を失った目にじわっと涙がにじみ、打ち付ける千紗
の体の震動に揺らされ、目尻からこぼれ落ちる。
「――く……れ……」
かすれた喉を振り絞るようにして、声がもれた。
「たすけて……くれ――み……お……」
「――なぁに?」
腰の動きを止め、千紗は首をかしげた。
「何ですって?」
ほつれた髪をかき上げ、舐めるような目で彼を見下ろす。九輪はぽろぽろと涙をこぼし、
視線から逃れるように顔を背けた。
「もう……嫌だ……やめてくれ……」
泣きじゃくりながら、九輪は必死で言葉をしぼり出した。ぽかんと口を開け、千紗は嗚
咽する彼を食い入るように見詰める。
「どうして……? どうして? どうして、どうして、どうしてっ?」
乱暴に九輪の髪を鷲づかみにし、千紗は顔を寄せた。息のかかりそうな距離で涙に潤む
目を見据え、射るような視線で彼を捕らえる。
「何で? 何で、そんなこと言うの!? 九輪くんには私しかいないじゃない! 違うの
!? 違うなら、違うって言ってみてよ!」
乱暴に突き飛ばし、九輪を押し倒す。そして彼の言葉を待たずに腰の動きを早め、容赦
なく彼を絞り上げる。
「ぅ……くぁ――っ」
「ほらっ! ほらっ! ほらっ、ほらぁっ! どう? 気持ちいい? いいんでしょ?
こんなに感じちゃって」
言葉も出ない九輪の上に身を重ね、腰をくねらせながら胸にキスを降らせる。
「この、乳首も――」
ちゅっと乳首に吸い付き、舌先で固く勃ちあがった突起を転がす。九輪ははぁはぁと喘
ぐばかりで、身を悶える力もない。
「この、お尻も――」
身を起こし、後ろ手に菊座へ指を差し入れる。九輪はぴくんと背を震わせ、かすかな声
をもらす。
「それに、ここも――っ」
絶え間のない律動で腰をくねらせ、ペニスを締め上げる。打ち付けるたび、くねらせる
たび、アヌスに差し込まれた指が前立腺を刺激し、九輪を更に自分の中へと追い込んでい
く。
「ぁぁ……っ――はぁ……ぁ……っ」
「気持ちいいんでしょ? 感じるんでしょ? 嬉しいんでしょ? 全部、全部、私のもの
よ……誰にも渡さないから、だから……もっともっと、気持ち良くしてあげるから……」
下半身を貫く快感に、千紗もかすれた息をもらす。喘ぎ声の中に途切れ途切れの声を混
ぜ、九輪をぬめる肉で束縛し、より深い結合を求め腰を振るう。
「だから……そんなこと、言わないで……ね? お願い……」
「いや……だ……」
泣きながら、九輪は彼女を拒絶した。
「澪に会いたい……澪に……みお……に、あわせて、くれ……」
「だめぇっ!」
平手で九輪の頬を張りとばし、千紗は彼を黙らせた。
「いやっ! いやっ、いやっ、いやっ! そんなの、いやぁ……っ!」
彼女の目からも、ぽろぽろと涙がこぼれる。顔をくしゃくしゃにして泣きながら、狂お
しいほどの衝動に突き動かされ、千紗はヒステリックに彼を犯し続ける。
お互いに、届かない想いに涙を流しながら、二人は絶頂へと登り詰めていった。
◇
完全に失神した九輪の上に身を重ね、千紗はしばらく動かなかった。
九輪の顔には涙の跡が乾き、白く残っていた。閉じられたそのまぶたにくちづけ、千紗
は物憂げに彼の顔に頬を寄せる。
彼は最後まで澪の名を呼び続け、決して自分の方を向いてはくれなかった。一度イッて
しまい冷静さを取り戻した頭で、千紗は彼の心が自分の中にないことを遅まきながら理解
した。
こんなに愛したのに。こんなに尽くしてあげたのに。想いの報われなかった悲しさに九
輪の胸に顔をうずめ、千紗はひとしきり泣いた。
しかし、どれだけ泣いても彼の気持ちが揺るがないことは確かだった。泣きはらした目
をこすり、千紗は決断した。
九輪の意志を尊重しよう。澪に会わせてやろう。悲しいけれど、それが彼の選んだ決断
なのだから。
だけど、今だけは。
圧迫と蠕動を続ける千紗の膣の中で、九輪は硬さを保ったままだった。熱い怒張を女陰
の中いっぱいで感じ取り、千紗の奥からはじくじくと蜜が溢れ二人を濡らし、収縮する肉
壁が九輪を萎えさせる間もなくくわえ込んでいる。
今抜いてしまえば、彼はもう自分だけのものではなくなってしまう。半ば感覚的に、千
紗はそれを悟った。
だから、今だけは。
身を起こし、千紗は腰の動きを再開した。
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