
続々・九輪君の場合 (4)
作:れいのっく
休息の時間はごくわずかだった。
じきにドアが開くと、裸身にエプロンをまとった千紗がお粥の載ったトレイを手に現れ、
昨日と同じように口移しで九輪に食事を与えた。萎えた気力に空腹が追い打ちをかけ、九
輪は抗うこともできず生ぬるい粥を胃に流し込む。
自分の手を借りなければ何ひとつできない九輪に、千紗はさらに興奮したようだった。
たっぷりと時間をかけて唇を合わせ、指先で断続的に彼の体をまさぐり続ける。
「もー、だらしないんだからぁ」
お椀の粥が空になる頃には、九輪の体は再び官能に熱く火照り固く張りつめていた。左
手のティッシュで彼の口元をぬぐってやりながら、千紗は右手でペニスをしごき上げる。
弱々しく身をよじる九輪を満足そうに見下ろし、千紗は一旦ベッドから下りた。
「柏葉くんってば、私がいないと何もできないのね。でも、私にもこうなっちゃった責任
はあるから――安心して。体の調子が戻るまで、全部、面倒見てあげる」
そう言いながら、千紗は部屋の隅の棚からバケツと注射器と何か澄んだ液体の入ったボ
トルを持ち出した。九輪がそれが何を意味するのか気付く前に、千紗は彼の上にのしかか
る。
「ほら、お尻突き出して……」
「な……? おい、まさか――っ!」
「今のままじゃおトイレにも行けないものね。大丈夫よ、今まで寝てる間も私がお世話し
てあげたんだから。だから心配しないで、ね?」
「嫌だ、もう……やめてくれ、そんなことは……」
「あん、もう――大人しくしなさいってば」
千紗は着ていたエプロンを脱ぐと、身をよじり逃れようとする九輪を後ろ手に縛り上げ
た。次いで前掛けの部分をぐるりと体に巻き付け、両腕の自由を封じる。
芋虫のように上半身を拘束された彼を仰向けに押し倒し、千紗は両足を持ち上げて彼の
体を「く」の字に折らせた。そして後ろを向き、彼の膝裏を太ももで押さえ込むようにし
て腰を下ろす。
「んむ――っ!?」
「くすくす……どーぉ? これでもう、動けないでしょぉ?」
むき出しのヒップが、無造作に九輪の顔に乗せられた。さして体重はかかっていないと
は言え、柔らかなお尻はぎゅっと口や鼻を塞ぎ呼吸を圧迫する。両腕を縛られ、折り曲げ
た両足ごと体重をかけられているため、九輪はまったく身動きができない。
「じゃ、ほら――力抜いて、ね?」
強引に足を開かされ、九輪は無防備な菊座を千紗の前にさらしていた。指先に催淫剤の
クリームを塗ると、千紗はつぷりとその中に中指を差し入れた。
「ふぐ――っ!?」
突然の異物感に、九輪はくぐもった呻きをもらした。千紗は構わずに指を深く沈め、ぬ
める指先をゆっくりと出し入れさせる。
「ふ……ぐぅっ――!」
必死で身をよじり抜け出そうとするも、「く」の字に折りたたまれた体はまるで自由が
きかず、上に乗る千紗の体重を押しのけることができなかった。もがこうとすると柔らか
なベッドに体が沈み、ふかふかのマットが動きを吸収してしまう。裸身とマットの軽く優
しい拘束に捕らわれ、九輪は抜け出すこともできずに無駄な抵抗を続ける。
巧みに体重をかけて彼の動きを御しつつ、千紗は菊座への責めを続けた。催淫剤を塗り
つけた人差し指と中指を交互に出し入れし、クリームをすり込みつつ筋肉をほぐす。空い
た方の手は自然と彼のペニスに伸び、しなやかな指先で絶え間なくしごき続ける。
じっくりと菊座をほぐし、千紗は注射器とボトルを手に取った。注射器とは言っても普
通のものとは違う特大サイズで、材質はガラスではなくプラスチック。先端は針ではなく
管になっている。
千紗の異様な状態から、九輪はそれが注射器ではなく浣腸器であると感づいたようだっ
た。ボトルに入ったグリセリンをたっぷりとプラスチックの容器に吸い上げ、千紗はむき
出しの菊座に先端を差し込んだ。
「ん――――っ」
お尻の下から苦悶の声が響く。千紗は構わずにピストンを押し込み、生暖かいグリセリ
ンを腸内に注入していった。
「どうしたの、そんなに暴れて」
くすくす笑いながら、千紗はもがく九輪に体重をかける。
「先週からずっと、こうして浣腸して、トイレの世話も全部してあげてたのよ。柏葉くん
のことはもう全部、隅々まで見ちゃったんだから。だからそんなに恥ずかしがらなくても
いいのよ?」
シリンダーの中身を残さず九輪に注入し、千紗は器具を抜いた。脱脂綿で先端を拭き取
り、九輪の上から下りる。
「もう、出ちゃいそう? ごめんね、ちょっと我慢してね」
九輪を四つ這いにさせ、バケツを彼の股下に置く。エプロンに縛られて逃げることもで
きず、羞恥と屈辱に顔をゆがませながら、九輪は押し寄せる便意を必死でこらえる。
「くすっ――どうしたの? 出ない? やっぱり恥ずかしいかしら?」
「やめてくれ、もう……こんな……、こんなこと……」
「ふふ。じゃ、手伝ってあげる」
九輪の背に馬乗りになると、千紗は優しく彼の腹をマッサージした。柔らかな手つきが
肌を這い回り、グリセリンで張りつめた腹を容赦なく圧迫する。シーツに顔を埋め、九輪
は押し殺した悲鳴を上げる。
ひとたまりもなく、九輪はバケツの中に排泄物を吐き出した。たっぷりの浣腸液がバケ
ツの表面を打ち汚れた音を立てる。千紗はくすくす笑いながらマッサージを続け、腸内の
ものを残さずバケツに搾り出す。
排泄を終え、千紗に脱脂綿で丹念に菊座を拭われても、九輪はシーツに突っ伏して身動
きひとつ取れなかった。
寝ている間はずっと点滴で過ごしていたし、目が覚めてからもろくな食事を与えられて
いない。出たものの大部分はグリセリンで匂いもほとんど無かったが、目の前で排泄を強
要されるというその行為は彼の心を手ひどく打ちのめし、理性やプライドをへし折るのに
は充分過ぎる効果を上げていた。
完全に気力の萎えた九輪は四つんばいのまま動くこともできず、続けて千紗がぬるま湯
で腸内を洗浄し、部屋を出て排泄物を処理し戻って来るまで、同じ格好でベッドに突っ伏
していた。
「くすくす、どうしたのよぉ、柏葉くぅん……」
おかしそうに笑いながら、千紗は突き出された尻に指を這わせた。舐めるように肌を撫
で上げ、無造作に指先をアヌスに押し込む。
「ぅぅ――っ」
既に抵抗を失った肛門に、指先はずぶずぶと入っていく。苦しそうに身をのけぞらせ、
九輪はベッドの上に崩れ落ちる。
菊座を這い回る指の感触に、九輪ははぁはぁと息を荒げていた。薄く明けられた目は官
能にとろんと濁り、焦点の合わない目で千紗に何かを訴えかけている。その様子に、千紗
はくすりと笑みをもらした。
浣腸液の中にはグリセリンだけでなく、ヒスプロミンも混ぜ込んである。間を置かずに
排泄したとは言え、直腸から吸収された催淫剤は九輪の体中に浸透し、頭からつま先まで、
官能の火で内から彼の身を炙っているに違いない。
医療用の筋弛緩剤を混ぜたのも正解だったようだ。絶え間ない快楽に身を貫かれながら、
彼は満足に身をもがくこともできず静かに悶えている。おかげで千紗は押さえ込みに余計
な労力を使うこともなく、じっくりと彼の急所を弄り回すことができた。
無防備な菊座を一方的に責め立てられ、九輪はひとたまりもなくシーツに精液を吐き出
した。快楽の余韻に身を震わせる彼を仰向けに押し倒して下半身を持ち上げ、千紗は洗い
清めたアヌスにためらいもなくしゃぶりつく。
「ん――っ」
「ふぁ――ぁぁ……っ!?」
舌をいっぱいに伸ばし、九輪の中に深く侵入させる。悲鳴に似た声を上げて足をばたつ
かせる九輪を上から押さえ込み、敏感な粘膜の中を舌先で淫らに舐め回す。
「や……やぁ……っ? んぅ……あぁ――っ」
「ふふ……」
ちゅっと音をたてて、千紗は九輪から口を離した。顔をゆがめ喘ぐ彼を見下ろし、くす
くすと笑みをこぼす。
「柏葉くん、かわいい。女の子みたいな声、出しちゃって……」
「かなみ……何てことを――んぁっ……!?」
はかない抵抗の声は、再びアヌスに舌を這わせるとあっけなく途切れた。指で散々に責
め続けていた経験から、彼の急所は把握している。ちゅっちゅっと吸い付きながら舌をね
じ込み、または抜いて敏感なアヌスを舐め回し、まるで同性に奉仕するかのようにねっと
りと丹念に、九輪の菊座をしゃぶり抜く。
「ん……ぁぅ……っ! んぁ……ふぁ――っ」
「んっ、ん――んふ……」
柔らかく温かくなめらかな感触が、粘膜を押し広げ菊座を隅々まで舐め回す。ともすれ
ば痛みすら覚える指先での責めとは違い、千紗の舌先はあくまでも優しく沁み込むように
九輪を犯す。その快楽の中で少女のようによがり喘ぐ彼の姿に、千紗は嬉しそうに目を細
める。
見下ろすと、眼下にはかすれた息をつき快楽に顔をゆがめる九輪がいた。アヌスをねぶ
りながら陰嚢に鼻息を吹きかけ、空いた手で張りつめ苦しそうにひくつくペニスをしごい
てやると、九輪はたまらず細い悲鳴とともに大量の白濁を放った。
生温かい自分の精液を顔に飛び散らせ、九輪は瞳に涙を浮かべ助けを請うような目で千
紗を見上げた。もちろん彼女にそんな要求など聞く気があるわけもなく、むしろ無垢な少
女のようなその姿にますます欲情をかき立てられ、責めは逆に激しさを増す。
――どう? どうなの?
笑みを含んだ視線で見下ろし、千紗は悶える彼をじっと見守る。顎を上下させて舌先を
出し入れし、更なる快楽を彼の身に刻み込む。
本当は気持ちいいんでしょ? イキたいんでしょ?
嫌じゃないよね? 嫌なわけないよね? 男の子だもんね?
嫌だったらイッたりなんてしないよね? 勃ったりなんて、しないよね?
彼女のところになんて行っちゃだめ。絶対、こうしてる方がいいんだから。
だから、もっと気持ちよくしてあげる。もっともっと気持ちよくしてあげる。
だから、ほら――私の手でイッて……ね?
その体勢のままアヌスをねぶりつくし、ペニスをしごき抜いて立て続けに二度の射精を
強要し、更に仰向けに倒した彼に絡みつく。彼の顔に散った白濁を残さず舐め取り、その
口でペニスをくわえ、アヌスに指を差し込んで責め立てる。催淫剤で感度を高められた九
輪はひとたまりもなく、痙攣しながら彼女の口中で果てる。そのペニスを口から出すこと
なく、執拗にフェラチオと前立腺責めを続ける。顎が疲れると口を離し、休まずに手でし
ごき続ける。のしかかって身を重ね、乳首にキスを降らせながら萎える気配のないペニス
を弄り回す。絶え間なく全身をなぶり続ける官能に声を上げることも出来ず、九輪は千紗
の手の中で精を放つ。
執拗に絡みつく快楽の檻に閉じこめられたまま、九輪は何度も何度も何度も何度も、精
液を吐き出し千紗の下でのたうち回った。しかしどれだけ果てても薬漬けのペニスが萎え
ることはなく、それを目の当たりにした千紗も責めを止めようとはしない。
指先が、唇が、そして濡れた舌が乳首を弄び、ペニスを搾り抜き、アヌスを犯す。執拗
に執拗にじっくりと続けられる徹底的な快楽責めが、九輪の心をじわじわと壊していく。
肉体的な官能で九輪をなぶり抜きながら、千紗は彼を責めているというその倒錯した官
能に酔いしれていた。悶え続ける彼の姿が情欲の炎に止めどなく燃料を注ぎ、まるで満足
を知らない獣のように、彼女に九輪を貪らせる。
あるいは逆の立場であったなら、いずれは肉体的な性欲が満たされ満足したのかも知れ
ない。
しかし今の千紗にとっては九輪が悶え続ける様を味わうことが最大の喜びであり、彼が
イき続ける限り彼女の官能が満たされることはなかった。九輪は逆に、精神的に限界を迎
えているものの肉体がそれを許してくれず、そのゆがんだ肉欲の需要と供給が互いの中を
延々とループし合い、二人を無限とも思える快楽の渦に巻き込んでゆく。
◇
責めは数時間に及んだ。
九輪が何十回となく射精し、最後の一滴まで完全に出尽くしたと悟るまで、千紗はさら
に一時間近く彼を責め続けた。
声も上げずに悶絶する彼のペニスから、千紗は名残惜しそうに口を離した。さすがに薬
の効果ももう切れてきたようで、さっきまで限界まで張りつめていたそれは徐々に萎えよ
うとしている。
時計を見ると、既に夜は大分ふけていた。ぼんやりとした頭で今までの数時間を振り返
ってみるが、食事やトイレに立った記憶はない。それすら必要ないほどに、彼女の中は熱
く甘い官能で満たされていた。
一方の九輪は芯までしゃぶり尽くすような責めに全身を犯され、ぐったりと力を失って
いた。弄り回すのに邪魔なため、拘束に使っていたエプロンは既に体からはぎ取っている
が、すでに自分で動ける力は残っていないようだ。
一応意識はあるらしく、弱々しい吐息に合わせ胸板もかすかに上下している。その様を
見下ろし、満たしきれない想いがじんわりと下半身に溜まってゆく。責めに夢中で意識し
ていなかった股間の疼きが、より直接的な肉欲の発散を求め、じんじんと身に沁みてゆく。
「ふふっ……柏葉くん見てたら、私もすごい濡れてきちゃった」
潤んだ瞳に貪欲にぎらつく光を宿し、千紗は股間に手をやった。すくい取った指先から、
大量の愛蜜がとろりとシーツにしたたり落ちる。
「私も――して、もらおうかな」
そう言って九輪の顔をまたぎ、千紗は指でしとどに濡れた花弁を押し広げた。開かれた
淫唇からじわっと愛液が溢れ、九輪の顔に滴となってこぼれる。かすむ視界に迫る淫靡な
その光景に、九輪は朦朧とする意識の中で必死で抗おうとする。
何時間もの間あえぎ、よがり続けていたせいで声は完全にかれていた。それでも重い両
腕をかかげ、千紗の体を押しとどめようとする。しかし懸命に持ち上げた腕にはまるで力
が入らず、ゆっくりと腰を沈める千紗の動きに押され、腕はまるで万歳をするような格好
で彼女の膝下に敷かれてしまった。
そして遮るものもない口元に、千紗の股間が覆い被さる。
「うぐっ――」
「ん――どう? おいしい?」
腰に手を当て、千紗は悠然と股間に敷いた九輪を見下ろした。そして無造作に腰をくね
らせ、とろける秘唇を彼の口にねぶりつける。
ぬめる感触に対しぎゅっと唇を結び、九輪はせめてもの反抗の意を見せた。その彼の態
度を受け、千紗の表情に少し不機嫌そうな色が浮かぶ。
「あら……どうして? 嫌なの? あんなに一杯、イカせてあげたのに――私のことを気
持ちよくするのは嫌だって言うの?」
「んぶっ……!?」
手を後ろに回して九輪の胸板につき、両の乳首を弄ぶ。敏感に張りつめた部分をくりく
りと愛撫され、九輪は思わず口を開け秘唇にくぐもった声を響かせた。
「ん――そうよ、ほら……舐めてぇ……舌を動かしてぇ……」
休むことなく乳首を責めながら、千紗は腰をくねらせた。半開きになった唇をぬめった
媚肉がはい回り、じくじくと溢れる蜜を絶え間なく口に注ぎ込む。淫靡な泉に溺れ捕らわ
れ、九輪の意志は次第に薄れてゆく。
「ほらぁ……ほらぁ、ほらぁ……ほらぁ……ほらぁ――」
身動きも取れず執拗にねぶりつけられ、いじり回され、九輪はとうとう観念した。涙の
にじむ目をぎゅっとつむり、絶え絶えな息とともに濡れた肉の合わせ目に舌を差し入れる。
目に喜色を浮かべ、千紗は気持ち良さそうに彼の口に体重を預ける。
「あぁ――ん、んぁ――そうよぉ、あん……いいわぁ……」
ぬちゃぬちゃという水音にかき消され、九輪の苦しげな吐息は彼女の耳に届かなかった。
懸命な奉仕を味わい尽くそうと言わんばかりに、千紗は腰をくねらせひたすらに彼をねぶ
り回す。
「あぁ……っ! あっ、あぁっ、あっ、あぁ……っ! あぁぁ――ッ!」
背筋を反らしてぎゅっと股間を押しつけ、千紗は甲高い喘ぎとともに絶頂を迎えた。秘
唇の奥から大量の愛液が溢れ、きゅっと締まった花弁がもがく九輪の舌を捕らえる。胸板
についた手で不安定な上体を支え、腰をがくがく震わせながら、彼女は九輪の上で快楽を
貪る。
それでもなお、彼女は九輪の顔から下りようとはしなかった。絶頂の中、張りつめた官
能が飛びかけた意識をつなぎ止め、彼女は半ば無意識に、更なる快感を求め、九輪の顔に
濡れた股間を押しつける。執拗ににじる千紗の腰に支配され、息苦しさの中で休む間も与
えられず、九輪は押しつけられる秘唇に懸命な奉仕を続けた。
◇
一時間近く、二人はそのままの状態で快楽に――あるいは柔肉に――溺れた。
何度か絶頂に達しながらも、千紗は決して九輪を解放しようとはしなかった。時に激し
く、時に緩やかに腰を使い奉仕を強要しつつ、イッた時にも無意識に体のバランスを取り
彼を支配し、休まずに身をくねらせ舌をねだる。背けようとする九輪の顔を太ももで挟み、
手で押さえつけ、したたる汗と愛液で彼の顔を淫らに染め上げながら、彼女は貪欲な女獣
となって九輪を貪り続けた。
息絶え絶えになりながら、九輪は休息も与えられず必死で彼女にむしゃぶりついた。特
に脅されているわけではないが、千紗のどこか鬼気迫る勢いに押され、抵抗の意志は潰え
ていた。膝に組み敷かれた両腕からは血の気が失せ、すでに感覚はない。身動きの取れな
い状態で何も考えることすらできず、彼は半ば無意識で懸命に奉仕を続けた。
何度目かの絶頂を終え余韻が過ぎ去った時、千紗はやっと九輪の上から降りた。かすれ
た意識の中で九輪は身を起こすこともできず、ただぐったりとベッドに身を横たえ、絶え
絶えな息をついて呼吸を整えることしかできない。
そんな彼を尻目に、千紗は黙ってベッドから降りた。そして部屋の隅にある椅子を持ち
上げると、それを手に再びベッドの上に戻る。
「……?」
目で問いかける九輪に虚ろな笑みを返し、千紗は彼の体をまたぐように四つ足の椅子を
置いた。次いで九輪の頭の下に枕を押し込むと、後ろ向きに彼の顔をまたぐ。
「……っ? ま……待っ――」
無造作に顔に腰を下ろされ、九輪の言葉は不自然に途切れた。濡れた秘唇が口に押しつ
けられ、柔らかなお尻がむっちりと顔を塞ぐ。脱ぎ捨てた靴下で彼の腕を椅子の脚に縛り
つけ、千紗は気持ちよさそうに椅子の上に突っ伏した。
「ぅぅ――っ」
完全に彼女の下敷きになり、九輪は呻いた。スレンダーな体型とは言え千紗のヒップは
女性らしい丸みを帯びており、細面の九輪を押さえ込むには充分な大きさだ。彼女の体重
を受けた頭は下に置かれたふかふかの枕に沈み、顔をそらすこともできない。両腕の縛り
付けられた椅子には千紗が体重を預けているため、どんなに力を込めても上半身はぴくり
とも動かなかった。
「ほらぁ……、どうしたの、ほらぁ……ほらぁ……」
即席の拷問台に九輪を縛り付け、千紗は腰を揺すって奉仕を強要した。今度はふっくら
としたヒップに鼻も塞がれているため、息苦しさは先ほどまでの比ではない。必死で舌を
這わせ秘唇を舐め上げると、千紗は少し腰をずらして鼻の前に隙間を作ってくれた。
彼女が一旦顔から下りたのは奉仕に満足したからではなく、単にもっと楽な姿勢を求め
ただけだったということを、九輪は悟った。そして彼女がまだ満足していないこと、自分
が今までより辛い状態に追い込まれたことを知り、絶望に顔をゆがめる。
舌の動きが少しでも弱まると、千紗は容赦なく体重をかけて九輪の呼吸を塞いだ。九輪
が自分から顔を押しつけ強く股間に吸い付いて初めて、少しだけ腰を浮かして呼吸を許し
てくれる。
たったそれだけのわずかな動きで、彼女は完全に九輪を支配してしまった。自分自身は
椅子に身を預けているので、ほとんど労力を払う必要はない。その圧倒的な力の差が抵抗
の意志をじわじわとそぎ取り、九輪を従順な奉仕者へと落としていく。
既に夜もすっかり更けている。責め疲れが出たのか、千紗はそのままうとうとと浅い眠
りに落ちていった。脱力した体はずっしりと九輪の顔にのしかかり、彼は息苦しさに必死
で舌を使う。つかの間覚醒する千紗は少し身を浮かし、疲れた九輪の動きが鈍くなるや無
意識に体重をかける。
柔肉に敷かれ断続的に体重をかけられ、九輪は気絶することもできなかった。眠りに落
ちながらもじくじくと溢れる千紗の愛液に溺れ、ただ彼女の底なしの性欲を満足させるた
めだけに、延々と奉仕を続けさせられる。
催淫剤によってくすぶり続けていた官能の火に、九輪の舌が一気に燃料を注いでしまっ
たようだった。眠り、醒め、奉仕を強い、また眠り、千紗は無意識のまま彼の上で絶え間
なく快感を味わい続ける。無遠慮で奔放な彼女の尻に支配され、九輪はひとときの休息も
許されず舐め続ける。
一方でまどろみと官能、そして一方では失神と奉仕の合間を漂いながら、二人の夜は過
ぎていった。
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