少女地獄〜女の園に閉じ込められた少年
(2) 
                  作:編髪(あみ)

四、獄舎に入れられて


真男は、建物の一室に入るまで目を醒ますこともなく、その部屋に運ばれた。
目が醒めると、そこは暗闇に覆われていた。まだ、日の出前だろうか。かすかに外の明るさが見られるが、今日は天気も悪いようだった。
ここはどこだろう、たしかぼくは…ずっと気絶していて、今でも夢の中にいるような感覚でなにも覚えていないというふうだった。からだがだるくて立つことがまずできなかった。なにかいつもと感覚が違うようであった。
それもそのはずで、真男の身についていたものは、久美子を襲った時に着ていたパジャマではなく、やや大きめの、しかも女もののネグリジェだったのである。その袖口には、「良乃」と書かれていた。つまり、久美子の一番上の姉のものだったのである。そして、下着を見ると、女もののブラジャーが出てきてそれをはずしてみると「裕紀」と書かれていた。あまり胸の大きくない二番目の姉のものだった。さらにはいていたものも…男もののパンツではなく、穴のあいていない女もののパンティーだった。これも脱いでみると「裕紀」となっていたので、下着一式は裕紀、ネグリジェは良乃のものだった。
まさか、自分は女の子になっている…あわてて下着もはずしてみたが、れっきとした男の性器はあった。よかったと思ったが、女ものを身につけていると思うと興奮して性器がパンティーにかぶさるため、痛みもはげしくなってしかたがなかった。たぶん夢だろうと思って、また寝ようとしたが、枕元になにか手紙らしきものが置かれてあったのが見えた。そばには電気スタンドもあったので、薄い灯りのなか、それにスィッチを入れてつけ、手紙を読み始めた。そこには、何もかも真男が驚くようなことばかりが書かれていた。

初めまして。ご気分はどうですか。きっと、あなたは目覚めた時、自分の着ている寝間着が女ものになっているのにびっくりしたでしょう。でも、もっとびっくりしたのは私たちのほうです。
ゆうべ、あなたはどんなことをしたかおぼえていますか?私たちの家に夜這いしに来たでしょう?そして、私たちの妹にとんでもないことをしたこと、忘れてないでしょうね。
そうです。あなたは私たちの妹がトイレに行った時、そこへむりやり入って妹をはづかしめましたね。たしか、あなたのオチンチンに妹の三つ編みにしていた二本の髪の毛を、ぐるぐる両方から巻きつけて、妹の髪の毛の先に結んであった黒のゴムで髪の毛ごととめていましたね。しかも、妹がさわらずに髪の毛をひっぱって抜けようとしてもはずせないくらい強めにゴムを巻き、髪の毛があなたのオチンチンからほどけないようになっていたのです。
私たち、帰ってきて妹がすごく泣いていたので、赤ちゃんの時以来めったに泣いたことのない妹が泣いていてびっくりしました。妹は紙を使ってもあなたのオチンチンにさわりたくないと言っていたので、私たちがトイレット・ペーパーでたくさん丸めてゴムをあなたのオチンチンからほどきました。やっと髪の毛もほどけたのですが、もうすでにいっぱいべとべとになっていて、いっしょうけんめい洗ったのですが、男の匂いがとれません。
いったい、なんということをしたのでしょう。女の子にとって髪の毛は命です。とくに妹は、自分の小さい時から長くしていた髪の毛を自慢にして絶対に切りたくないって言って、汚されても切るのはいやだと言っているんです。それをあなたは、自分のいやらしいおこないから出てきたもので汚されて、たまったものではありません。しかも、私たちにも妹にも全く面識のないあなたに、なぜあんなことをされるのか、道義はないはずです!
本当は、あなたはあんなことをしたのですから、警察に連れていって逮捕されるべき人です。でも、私たちはかくまりました。あなたにはここで働いてもらうためです。もし、あなたが警察につかまるような悪いことをしたと知ったら、ご家族の方々が悲しむでしょうから、しばらく行方不明ということにしておくのです。そのかわり、この罪は絶対償ってもらいます。女にとって命に等しい髪の毛を汚されては、たとえ死刑でも、無期懲役でも許されるものではありません。私たちも女ですから、当然の思いです。
もう、ここからは、あなたは当分外に出られません。あなたが妹を襲った時に着ていたパジャマと下着はすべて預かりました。そのかわり、私たちの着ていたネグリジェと下着を貸します。あなたが今、女ものを着ているのは、そういうことなのです。こんな姿で外へ出たら、一発で警察に逮捕されてことのすべてがわかり、あなたのご両親らがそれこそ驚いてしまいます。もっとも、あなたがどこのどなたなのか、私たちには全く存じ上げませんけれど。
それでは、しばらく私たちのもとで生活していただきます。大丈夫、面白いことも楽しいこともたくさんありますから。
女々しいあなたへ。

真男は、すべて読んで、思わずホラー映画でも見たように身の毛がよだつ思いがするようになってきた。どうしよう、これは夢ではなくて、本当にたしか女の子の家に行って襲ってしまったんだ、長い三つ編みのお下げ髪を見て興奮し、自分の性器に巻きつけたのは消せない事実だった。ここからは出られないし家に帰れない、ここは牢屋なのだと真男は思った。
少しずつ明るくなってきたので、部屋の様子もわかってきた。その部屋は実にきれいな金箔の壁がまわりに施されてあって、真男の寝ていたのは余裕のあるベッドで、ふとんもたいそう高級な暖かいものだった。床も薄紫色のカーペットになっていて、ベッドもそれほど高い脚ではなかった。真男にとっては初めて見るようなものだったが、ラブホテルの一室のつくりであった。そのため、窓がほとんどなく、天井近くにわずかにマジック・ミラーがあって外の明るさが入るだけだった。他に洋服ダンスがあったが、そこには何もまだ入っていなかった。あと洗面所があって、中をのぞくとこれもホテルの設備のようにバス・トイレつき、そして立派な三面鏡まであった。しかも、歯みがきや歯ブラシなどの洗面用具の他に女ものの化粧品もいくつかおいてあり、まさかこれを使って自分は女に性転換させられるのだろうかとも思った。
そして、玄関のドアも見つけた。これをあければ、外に出られるだろうかと、ネグリジェを着たまま考えた。しかし、玄関の前には何者かが立っていた。なにげなくそこをあけると、そこにいたのは、先ほどの手紙の主でまた今真男が着ているネグリジェや下着の持ち主、そして真男が昨夜犯した少女の姉二人である、良乃と裕紀だった。
「あの…、ここは、どこですか。それに、あなたたちは、あっ!」
良乃がすかさず、外に出ようとした真男の腹をその場で蹴飛ばし、真男はその場に倒れ込んでしまった。良乃は片手に鞭を、裕紀はヌンチャクを持っていた。ときおり彼女たちも勤めに行っている、SMクラブの従業員そのもののコスチュームだった。
「とつぜん、何をするんですか。」
「何をするって?それはこっちがききたいわよ。」
「そうよ。初めて会ったのにあいさつぐらいしなさいよ。」
二人のすごみに圧倒されて、真男は声も出せないほどだった。
「あんた、手紙読んだ?私たちの。何が書いてあったかわかるでしょ。」
「そして、あんたが私たちの妹にやったこと。よーく覚えてるわね。」
「えっ、もしかして、僕が襲った女の子の、お姉さんたちなんですか?」
「ふふふふ、そうよ。ちゃんと認めてるじゃない。」
「そうと決まったら覚悟はできてるわね。これを受けるのよ。」
「あっ。」
良乃が鞭で真男の頬をいきなりたたいた。裕紀もヌンチャクを振り回して真男の顔を何度も打った。更に股間も蹴飛ばされて真男はその場にうずくまった。
「痛いよ。やめて。」
「何が、やめてよ。妹もね、何度もやめてって言ってたでしょ。
その妹を汚したあんたのみにくいそこにあるもの、何度蹴っても痛めつけても気がすまないわ。妹がどんな思いだったか、あんたにわからないでしょうね。こんなこと、男しかできないから、女が自分の髪の毛をそのみにくいもので汚された気持ち、男にはわかりっこないわ。」
「ごめんなさい。本当に申し訳ないことしました。」
「ふん、やっぱり、弱いものしか相手にできない弱虫なんだわ。」
「この妖怪男、いえ、あんたは男の風上にもおけない、女のくさったけだものよ、ゲロよ。」
凄惨な女たちの一人の男に対するリンチが朝じゅう続いた。抵抗することもなくぐったりすると、二人は真男を足の方からひきずって真男の寝ていたベッドに戻した。
「今日はこれでかんべんしてあげるけど、少しずつ復讐はするわ。」
「とにかく、ここから逃げられないのよ。トイレに行きたくなったらこの部屋にもあるからね。」
こうして、初日のリンチは終わった。夜になって真男は目をさましてやはり同じ部屋に入れられたことを確かめたが、玄関をあければまたあのこわい二人が立っていて、痛めつけられると思い、外へ出ようとはこのときすでに思わなくなってしまった。洗面所があるので水を飲んだりしたが、食欲はなかった。しかし、トントンとドアをたたく音がしたので、真男はあけた。今度は良乃一人が立っていた。良乃は、けさのSMクラブのようなコスチュームとは違ってどちらかといえばノーマルな洋服ではあったが、それでも普通の人に比べてきらびやかである。良乃が手にしていたのは、決して多くはないが、海草中心のの和食料理でお茶もあった。
「犯人だからってね、全く食事を与えないのもかわいそうだから、一時間したら食器を取りにくるからゆっくりお食べ。ただし、当分一日一回よ。今日は和食だけど、明日は洋食になるからね。」
料理を置いて良乃がドアをしめて出て行った。余り食欲のなかった真男だったが、この程度なら全部食べられると思ってひととおりたいらげた。また取りに来るというので、玄関には出さず、良乃の来るのを待った。予告通り、一時間して良乃が来た。
「ごちそうさまでした。」
良乃が入ってくるとすぐその場に深々と一礼した。

「おほほほ、まあ、案外礼儀正しいわね。でも、妹の恨みは消えない。明日の朝も裕紀と来るから、覚悟しておくのね。部屋から出られても、門の外には出られないのだから、外に行こうなんて思わないでね。それと、これに着替えて。お風呂沸かすから、入っている間に今あんたが着ているもの持っていくわ。同じ寝間着と下着ばかり着ていればくさくなるから、いい?私たちのもの、貸しているのだから汚したら承知しないわよ。」
「あの…、ききたいことがあるんですけど。」
「ほほほ、何かしら。」
「どうして、ぼくはこんな女ものの寝間着と下着を着ていなければならないんですか?これも復讐なんですか?」
「いずれ、教えてあげるわ。それから、お風呂沸いたら、からだと髪の毛はこのシャンプー使って必ず洗うこと、いいわね。」
真男はいわれたとおりにした。朝の恐ろしいリンチと一転して優しい性格で接した良乃に、少し安心した思いがした。とにかく彼女たちのいうことに逆らわずにいればいいと思った。
しかし、次の朝はまた恐ろしいリンチを施す二人に戻っていた。
今度は、決して外へは出ようとしなかった真男だが、玄関をたたく音がして目覚め、二人がいきなり入ってきた。そして真男のいる部屋で、昨日と同じようなリンチが行われた。
「あうっ!」
「妹の恨み、覚悟をおし。」
やはり、ぐったりして夜まで寝ると、今度は裕紀が洋食を届けに来た。前日の良乃と同じように優しい性格で接してきた。しかし、次の日になるとまた同じように凄惨なリンチが繰り返された。
こんな日々が一週間ほど続いた。真男は、もう自分が女の子に対して犯したのだから復讐を受けるのも仕方ないと思ってリンチを受け続けた。死んで地獄で裁きを受けている心境だった。ただ、自分にリンチを加える者が女性であるということに対して不思議な感覚を抱いた。事実、二人とも姿は真男の好みどおり髪の毛を長くして腰のあたりまであった。良乃は前髪を後ろにまとめて他の髪といっしょに垂らしているか、ひとつに髪止めで束ねているかだったし、裕紀はポニー・テールの時もあれば良乃と同じように前髪をまとめて後ろにおろしていることもあった。もちろん、妹の久美子は三つ編みにしてもお尻まであったからほどくともっと長いだろうと思っていたので、二人に対して特に女性という意識も今までしていなかったような、妙な感覚だった。しかし、相手がこんな美人の女性なら気のすむまで痛めつけられてもいいとだんだん思うようになってきた。
「そろそろ、復讐のやりかた変えない?良乃姉さん。」
「そうね、すっかり弱々しくなったみたいだし、色白になってきたからね。」
彼女たちがこうしてリンチを続けたのは、真男を女性らしくしようとしたためでもあった。
いつものように、朝のリンチを受けることになっているだろうと思いながら起きた真男だったが、ある日のリンチは今までと少し変わってきた。
「おはようございます。良乃姉様。裕紀姉様。」
「ほほほほ、復讐がよほど怖そうね。まあいいわ。今日は、まず今着ているものを全部脱ぐのよ。」
「えっ、裸になるんですか。」
「そうよ。私たちも脱ぐから、バス・ルームに一緒に入るのよ。」
「SMは終わって、今度はヘルスの世界よ。」
真男にとっては、SMやソープランドのような風俗の世界のことなどは夢にも思っていない、そのようなものの存在すら知らなかった。もちろん、セックスのやりかたも、そもそも久美子を襲う時に髪の毛だけを目当てにして性器を入れようという考えは全く起きていなかった。だが、まさしくその場で、そんな風俗のサービスをタダで受けるような運命にあった。
「ほら、これが良乃姉さんのオッパイ、すごく大きいでしょ。」
「裕紀はお尻が大きいわよ。なめてみる?」
風呂場のマットに仰向けにされて良乃が真男の頭の上から胸でおさえ、裕紀は真男の身体の上にまたがってお尻を向けた。裕紀が真男の性器を指でまさぐり始めた。良乃は真男の右手首をとって、自分の胸に真男の手のひらをさわらせた。
「ほら、左手で裕紀のそこをなでておやり。」
「遠慮なくおさわりしていいのよ。女の子はこういう遊びをけっこう喜ぶものなのよ。」
しかし、真男は余り表情を変えず、二人の女性が初めて裸を見せているというのに、大して興奮をしているようすでもなかった。それもそのはずで、真男の性的欲望の対象は胸や尻などではなく、久美子を襲ったように長い髪の毛にあるためである。
「変ねえ。ぜんぜん立たないわね、こいつのオチンチン。」
「液も一滴も出てこない?久美子を襲った時に出しきったのかしら。」
「ね、あんた、ヌードの写真とか、雑誌とか見たことないの?」
「あんまりないです。」
「まあー。」
二人の女はあきれたように口を揃えて言った。
「変わる?裕紀、案外小さい方の胸が好きだったりして。」
「良乃姉様、いくら何でもそれはひどすぎません?お客さんにも、どうしてあんまり大きくないのっていわれると傷つくわ。」
「あーら、裕紀、ごめんなさいね。でも、裕紀みたいに私もお尻の方が自信ないのよ。」
こうして、二人の位置が入れ替わった。裕紀が真男の左手首をつかんでまた自分の胸にさわらせ、良乃はまた口で真男の性器をなめて音をたててしゃぶり始めた。
「ひょっとして、もとはどこかのおぼっちゃまだったのかしら。エロ本とかビデオとか見るの全然許されなかったんだわ、きっと。でも、ヌード見たいと思ったことあるでしょ。」
「別に…。」
「ふうん、見たいと思わなかったの。
でも、ふつうの男はここでオチンチンぼっきして、ドピューといくはずよ。性欲、まひしてるんじゃない?」
「私たち、いじめすぎたようね。でも、夜中に久美子を襲いに来るほどなんだから、女の子に興味ないこと、ないわよねえ。」
「それにしても、だけど、どうしたらオチンチンたつの?」
なかなか、思い通りに動いてこない真男の性器に少しいらだってきて、良乃が汗をかき始め、首を動かした。まとめていた前髪が垂れそうになってきたのでそれを指でかき上げ始めた。その時だった。真男の性器が少し動き始めた。
「あっ、良乃姉さん、今、オチンチン、ピクッとなったわ。姉さんが髪の毛をなでた時よ。ほら、たってきたわ。」
「本当だわ。もしかして、この女のくさった男、髪フェチかしら。」
「そうだわ、きっと。久美子を襲ったわけ、わかったわ。ねえ、あんた、髪の毛の長い女の子が好き、そうなんでしょ。」
少し、真男の表情がきつくなり、裕紀のきいたことに対して首をたてに振った。ようやく、二人はこの男の異常な嗜好に気がついたようだ。
「そうよ、私も、髪の毛が長いことでお客さんが指名してくることが時々あるから、髪フェチってけっこういるのよね。たしかに、こういうあんまり男らしくないタイプに多いわね。だいたい、裸より髪の毛に興奮する男って、女々しい感じのやつが多いのよ。」
「そういえばそうだわ。私を指名してくるお客さんも。だいたいヘンタイなのよね。いいわ、髪の毛にさわらせてあげる。」
そう言うと、裕紀はポニー・テールにしていた髪の毛からとめていた黒のゴムをほどいて胸の上に垂らし、真男の左手首を動かしてそれにさわらせた。
「やっと、たしかにたってきたわね。そうだわ、こいつが久美子を襲った時は久美子が三つ編みにしている時よ。裕紀、ほどいたゴム貸して。久美子と同じ髪形にしてみるから。」
「おほほほ、それはいい考えだわ。おだんごに興奮する人はほとんどいないけど、三つ編みにして興奮する男っているわ。いいわ、姉さん、私が半分編んであげるから。」
良乃も前髪をまとめていた黒のゴムをほどいて右半分の髪の毛を束ね、三つ編みに結いだした。裕紀が良乃の残りの髪の毛を束ねて、自分のつけていたゴムを三つ編みにした髪の毛をまとめた毛先に巻いた。良乃の背中に女学生のような二つの三つ編みのお下げ髪がはらわれ、その姿を眼前に見ていた真男は、たちまち興奮して性器をぼっきさせてしまった。
「おほほほほ、たってきたわ、今がチャンスよ。」
「ほら、良乃姉さんの髪の毛、つまんでごらん。」
「ひっぱってもいいわよ。久美子にもそうやったでしょ。でも、今度はオチンチンにここでは巻けないわね。」
「あとで、髪の毛の編み方、教えてあげるわね。」
良乃が真男のたった性器をしゃぶり、また指でまさぐったりして、とうとう精液が出てきてしまった。
「ううーん!」
「出たわよ。すごーい。」
「ほら、こんなに、ふふふっ、髪の毛の長い女の子、たくさん来るから、ひとりずつやらせてあげるわ。」
真男は、ついにその場で疲れてしまったという表情になった。
「ねえ、私のお客さんに多いんだけど、髪の毛の長い女の子や三つ編みの女の子が好きな男ってね、よく、その子を好きになるというより、自分も女の子に生まれてあんなことがしてみたいと思うから憧れるんだって。それで女装したり、実際に髪の毛伸ばしてオカマになる人が多いのよ。あんたもそのクチでしょう。」
悶えたため、答える気力も失せていた真男だったが。次の、良乃の一言には表情を大きく変えた。
「ほほほほ、そしたら、ここにずっといて髪の毛を切らないで長くしてみるといいわ。そして、あんたも久美子みたいに三つ編みしてみるといいのよ。そしたら、あんたが久美子にしたみたいにあんたの髪の毛を女の精液で久美子が汚すの。そうしたら、恨みが晴れるかもよ。」
「えっ?」
「ちょっと、どうしたのかしらね、うふふふ、やっぱりそうだわ。久美子みたいになりたいんだわ、この女みたいなやつ。髪の毛を長くして特に三つ編みしたいなんて、女の子の考えることよ。それに、恨みなんか晴れないわ。男と女では、髪の毛に対する意識が違うんですもの。」
「そうだわ。髪は女の命よ。」
「ま。あんたも、女の子になってみるといいわ。この機会だから。」
精液で汚れた身体を、シャワーですませて、ふたたび女ものの下着とネグリジェを着た。二人の女も、着ていたもとのコスチュームに戻った。
「それじゃ、けさの復讐はこれで終わりよ。裕紀も、いいわね。明日はまた考え直すわ。」
「そうね。じゃ、ゆっくりお休み。」
二人が出ていって、真男はベッドに入った。時刻はお昼近かったが。


五、「わたし」への一歩

その日の夕方は、いつも食事を運んでくる時刻よりやや早くドアをたたく音がした。いつもは二人のうちのどちらかが運んでくるが、今日は二人が一緒に現われた。しかも、今日は食事はなかった。というより、後まわしだった。
「起きた?今日はうちのお母様、ううん、社長がお呼びよ。」
「私たちと一緒に来るのよ。スリッパはいてね。」
二人に案内された真男は、始めて部屋の外から先に歩くことができてエレベーターにも乗せられた。真男のいつもいる部屋は7階にあったことが初めてわかった。建物は10階だてで、真男は2階の応接室に案内された。社長室は最上階である10階にあるのだが、窓のない部屋がいいということで、真男はそこに呼ばれたのであった。二人の女の母親でもある社長が、真男を自分の向かい側に座らせ、はさむようにして二人の女が真男に身体を寄せて座った。本当は、4人分のテーブルで、片方のソファーに2人しか座れないのだが、社長相手ということでその2人分のソファーに3人が入っている。なお、良乃は先ほどバス・ルームで真男を興奮させるために三つ編みにしていた髪の毛をまた元の髪形に裕紀とともに戻していた。
社長がさっそく口を開いた。
「はじめまして。私はここの管理人で、この子たちの母でもあります、直子といいます。あなたは名前は何とおっしゃるの?」
「ぼくは、真男といいます。」
「そう、じゃあ、そのまま読んで“まお”と呼ぶようにしましょう。それに、今日からは、“ぼく”という言葉を使ってはいけません。“わたし”と自分のことをさす時にいいなさい。」
「はい。」
「では、さっそくおききしますが、うちの久美子にどうしてあんなことをしたのですか、正直にお話しなさい。」
良乃と裕紀が両側にいる以上、うそを言う訳にはいかないと思った真男はすべて本音を話し始めた。
「予備校に通っている途中、時々同じ時刻に電車のなかからみかけて、あまりにもかわいいと思ったんです。長い三つ編みの髪の毛を見るたびに、下半身がうずうずして、あの子を襲いたいという欲望にかられていたんです。小さい頃から、あの子のような長い髪の毛の女の子を見ると興奮しちゃうんです。」
「どうしてかわかりますか。女にしかないものに男が憧れるからですよ。きっと、あなたはそうした髪の毛が長い女の子を見てうらやましかったのではないですか?」
「はい。腰やお尻のところまであると、お下げ髪や三つ編みにしたり、リボンがつけられたりしていいなって思って。」
なるほどと、良乃と裕紀も真男の身体越しに顔を見合わせていた。
「やっぱり、そうでしょう。でも、男も女も同じ人間ですからね、あなたも髪の毛を長くしようと思ったらできるのですよ。」
「えっ?もしかして、ここで性転換の手術を受けるんですか?」
「おほほほ、そんな心配はしなくていいんですよ。女を好きになる楽しみは残してあげます。ここで、髪の毛を切らずにずっといるのです。」
「髪の毛を切らないで、女の子みたいになるんですか?」
そこへ、良乃が割って話した。
「ふふふ、そうよ。けさもバス・ルームにいた時言ったでしょう。久美子みたいなお下げ髪にあなたもなるのよ。」
「久美子ね、まだ髪の毛を切らないで学校に行ってるわ。でも、教室で臭いっていわれることもあって早く帰ってきちゃうの。まだべとべとになっているところが残っているのよ。毎日二度ずつ、時には三度も四度も洗ってるのに、まだしなやかにならないの。前はすごくつやつやしていてきれいだったし、きれいに三つ編みに編んでお友達からもうらやましがられていたのに。」
裕紀も口をはさんだ。再び、母親の社長が話を続けた。
「とにかく、久美子に償うためには、あなたも髪の毛をお尻まで、それとも床につくまで伸ばし、その上に久美子がのっかって、あなたの髪の毛とからだを久美子の精液でいっぱいにするまで、復讐は終わらないわね。」
真男はこわくなった。自分はオカマにされてしまうのだ。恐ろしいことをしたと思っても、もう遅い。
「髪の毛は、一年に十二センチから十五センチ、あなたのようないやらしい性格の人なら二十センチぐらいは伸びます。そうすれば来年の今ごろで肩のあたりまで、もしかして三つ編みができるくらい、二年後には、今の良乃や裕紀と同じぐらいになるでしょう。」
「うふっ、髪の毛長くできると思ったら楽しみなんじゃない?」
裕紀が腕で真男の腹をつきながら再び口をはさみ、良乃も口を開いた。
「久美子のように、髪の毛を長くしている女の子をいつもうらやましがっていたみたいだからね。いいわねえ。」
とうとう自分も三つ編みやお下げの姿になれると思うと、真男も胸が高鳴ってきた。思えば、今の真男にはそれしか楽しみがない。
「それでは、まおちゃん、いいですか?今度はこのお店であなたがどんなことをして働いていただくかを説明します。まだ、開店準備中ですけれど、あなたは第一号の従業員としてここに採用となります。よーく、聞きなさいね。」
説明を受けた真男だが、風俗営業についてほとんど知らなかったので、内容を聞かされてもピンと来ないという感覚だった。まあ、わからなければ二人の教育係によくききなさいといわれて、社長の説明が終わった。
一礼して応接室を出ると二人の女にまた腕をつかまれてエレベーターで元の階に戻った。
「ふふふふ。まおちゃんねえ、いいお名前ねえ。」
「気分いいでしょ、まおちゃん、女の子の名前で呼ばれて。」
「そうだわ、髪の毛を三つ編みにするやり方教えてあげましょうか。」
「裕紀、もう食事の時間だから明日でいいわよ。セーラー服、今度着せてあげるわ。」
「そうね。楽しみできてうれしいでしょ、まおちゃん。」
「てれているわ、その名前呼んだら、ほほほほ。」
エレベーターに乗りながら、歩きながら、こんな会話が続いた。
毎日のリンチは続いていたが、いくらか緩んできた。もともと、このリンチは真男が女のように弱くなるようにする目的もあったためである。やがて、真男には女もののドレスやセーラー服も届けられてなにもなかった洋服ダンスがそれらでうまってきた。そして、女らしい歩き方やしぐさ、ことばづかいなども教育係によって仕込まれた。長い髪の毛の人形も届けられてヘア・スタイル遊びを楽しむようになり、女の髪の毛のとかしかたや、三つ編みなど髪の扱い方も教わった。
ヘア小物も良乃や裕紀が身につけていたものがほとんどであるが、たくさん集められた。
予定どおり、真男は一年ほど髪の毛を一度も切らなかったので、肩までかかるほど伸びて、黒いヘア・バンドをするようになった。耳元で黒いゴムをしばるおさげの姿に初めてなった時には、たいそう喜んでいた。そして、真男がこの建物に入って一年たつ頃には三つ編みもできるようになっていた。
なお、良乃や裕紀の妹である久美子は、まだ高校三年生で、つまり真男より二つ年下だった。良乃とは四つ、裕紀とは三つ違いになる。その久美子はずっと会っていないので、どうしているだろうと真男は思い出さずにいられない日々も続いていた。やはり髪の毛を長くしている良乃や裕紀に対しても少しずつ女として好意の対象と思うようになることもあったが、恋する本命は久美子のようであった。

(つづく)

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