フリーター                 (1) 

                                            作:テンちゃん  

 
               (寝てるだけで時給3000円!体力に自信のある方 優遇!)
 
 
 
そんな広告に目を引かれ面接に来た俺を女の面接官達は下から舐めるように見つめた。
不思議なことにキャリアスーツに身を包んだ女の面接官五人は知的にも思えるメガネをかけみんな同じように見える。
 
女の面接官だけ、ということに多少たじろいだ俺だったがそれを顔に出さないよう唇を固く締めた。
 
「では、、、私どもの方からの説明は以上です。他に、、、、、、、何かお聞きになりたいことはありますでしょうか?」
 
その中でも中央に座るいかにも社長秘書、といった感じの女が俺の目を見つめながら言ってくる。
俺はあまりにもごく短い募集広告の内容に引っかかりを感じており、その部分だけは絶対聞いておこうと思っていた。
今まで数多くのバイトをしてきたが何度となく苦渋を飲まされてきた経験がそうさせたのかもしれない。
 
「あ、、あの、、、、寝てるだけで、ということでしたが、、、、、、体力に自信のある方優遇、とはどういった事なのでしょうか?」
 
真ん中の女はメガネを少しずらす仕草をすると再び俺の目を見据え、ルージュで色取られた唇を動かした。
油料理を食べた後のようなその唇の艶はテカテカと光り蛍光灯に反射していた。
 
「それについては当社の基準により今すぐには申し上げられません。正式な雇用形態を結んでからご説明致しますので。」
 
そう言いながら「労働契約書」と明記された一枚の書類を俺の目の前に差し出した。
そこにサインした時点でこのバイトを受託したことになるのだろうが具体的な仕事内容などどこにも書かれていなかった。
かといい今のご時世、時給3000円もくれる所などそうありはしない。
8時間みっちり働けば日に2万を越える収入が俺の懐を潤すことになる。その魅力は絶大だった。
 
 
五人の面接官を見ると、今、ここで俺の意思表示を明確にしておかなければならない気配をオーラのように出している。
 
「どうなされますか?、、、、、、、私共としましてはあなたのような若い男性は大歓迎なのですが、、、、」
 
俺は危険な匂いを感じながらもおそるおそるフルネームと印鑑を押した。
ファーストフードや夜間の交通整理でも稼げない金を目前に躊躇する理由なんてない。そう思った。
 
「押しましたね。あなた今、確実に印を押しましたね。ちゃんと裏側の小さい文字も読んだうえで押したのですね」
 
左端の女が唐突に機械的なかん高い声を発すると五人の女が一斉に規律よく立ち上がり俺は身を引いた。なんだっ!??
俺は女の言葉が気になり書類を裏返すとびっしりと小さな文字が並んでいた。
 
○いかなる事故、不能による損害、損失も当社は責任を持ちません
○退社通告は遅くても半年以上前に人事の者が決定とみなした場合にのみとする
○第三者による秘密保持のため全寮制の施設、あるいは、、、、、、、、、、、、、、、、、
 
俺が読めたのはそこまでだった。五人の女が俺を取り囲むと犯罪者のように椅子から立たせられた。
 
「もうよろしいでしょう。契約したのですから。完全に契約したのですから。あなたが全てに同意し契約したんですから。
もうこの時点ですでに時給は発生しております。私どもの指示に速やかに指示に従って下さい。よろしいですね」
 
俺は訳がわからないまま女達に促されると別室へと続くドアが開いた。
 
 
 
 
ブラックライトに照り出されラテン系の音楽が鳴り響くその部屋は異様な光景が広がっていた。
円形状、円を描くように配置された6台あるベッドに男が四岐を拘束されている。
壁は全て鏡張りで実際の部屋よりも大きく見える。カラフルなミラーボールから投射した光が一瞬見える男の裸体を映しだしていた。
 
見ると1,2,3,4,5,6とベッドに大きく印字された番号が割り当てられ「5」のベッドだけが空いている。
その一つだけ空いたベッドを指さし女は鳴り響く音楽に負けない声で言った。
 
「さあ、そこに寝て。もうショーが始まる時間よ。なにしてるの?服は全部脱ぐの!急いで!もう時給は発生しているのよ」
 
命令口調の五人に半ば強制的に服を脱がせられると俺は勢いよく「5」のベッドに押し倒された。
初めから役割分担が決まっているかのような手際のよさで五人の女は俺の手首、足首をベッドに繋ぐと口にボールを咬ませていく。
 
俺は喋る余裕もないままムーっ!ムーっ!と唸ってるしかなかった。
五人の女は速やかに俺のベッドから離れるとさきほど入ってきただろう鏡張りのドアに消えていった。
 
ほとんど等間隔、円形状に配置されたベッドに男が拘束されてる姿は鏡を通して見ても異様という他なかった。
 
突然、スピーカーを通し、慣れた感じの男の声が安っぽいキャバクラを連想させる口調で喋り始めた。
 
「いらっしゃいませぇ!いらっしゃいませぇ!、、、本日も活きのいい玩具男をぉぉ、、ご用意させてぇぇ、、頂きましたぁぁぁっ!」
 
男の姿はどこにも見えず客をあおるような威勢のいい声だけが俺の耳に聞こえてきた。
 
瞬間、バーゲンセールを彷彿させるみたいに女の客が嵐のようになだれ込んできた、、、、、、、、、、、、、、、、
 
 
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