これからもずっと                  

                                            作:テンちゃん  

 
気になる女がいる。
 
その女はデパートに勤めている。デパートを入ってすぐ。女のフェロモンをまき散らしているアレだ。
その職業を正確になんというのか俺は知らない。化粧品販売員。美容部員。コスメレディ。言い方はなんでもいい。
紛れもなく俺のタイプ。ストライクゾーン。すなわち一目惚れ。今日こそ話してみたい。そこに気になる女がいるから。
 
タバコを吸う。ゆっくり肺に煙を送る。足りない。たて続けに2本目に火をつける。緊張という糸がほぐれていく。
 
デパートの一階。薄暗くコーディネートされた区画。女モノの匂いが辺りに立ちこめている。
 
「なにかお探しでしょうか?」
 
明らかに年上。大人の女。その唇。ルージュで濡れている。綺麗にヘアメイクされた巻き髪。まるで人工的に作られた巻き髪。
しばし彼女に見とれる俺。カラーコンタクトの奥。茶色いエキゾチックな瞳。俺を見つめている。
 
「、、、、、、、、、、、、、、?、、、、、、、、、、お客さま?、、、、なにかお探しでしょうか?」
 
別に何も探していない。探してはいないが探しているふりをする。
 
ウエーブされたまつ毛が俺を見すえる。緊張する俺。クッキリと描かれた眉。それが不安気に変化する。色っぽい。
 
「あの、、、、、、、、、、、、、、、、お客さま?」
 
「いや、、、香水のプレゼントを頼まれたんですが、、、、、、、、、、、」  「はい?、、、、と言いますと?」
 
俺は何を血迷ったか、香水のプレゼントを探している、というセリフを、香水のプレゼントを頼まれた、と言ってしまった。
 
つまりそれは第三者、上司、兄、父、誰でもいいが、その第三者が女の子にあげるプレゼントを俺に頼んで買いに来た人、という
とても複雑なニュアンスで彼女に伝わっていそうだった。
 
あるいは、香水のプレゼントを頼まれた、という表現は、付き合っている彼女に直接「明日あたしの誕生日だから前から
欲しいって言ってた香水のプレゼント頂戴ね。」と言われ慌てて買いに来た人、と伝わっているのかもしれない。
 
しかし頭が切れそうな彼女は表情を崩さず、前者として受け取ってくれたらしい。
 
「、、、、、、、、、、、、、、その頼まれた方、なにか特定の銘柄おっしゃられてました?」
 
俺は慌てて会話の軌道を戻した。
 
「いや、、実はうちの社長がですね、、なにか、こう、、、贈った相手にセンスのいいと思われるモノを買ってきてくれ、と言うもんで」
 
うまく繋いだな、と思った。
 
「プレゼントする相手様はどのような、、、、、、」
 
嘘が嘘を呼ぶ。俺の中でできあがった社長像。その社長を思い描いていた矢先。今度は贈る相手のことを聞かれた。
それは痩せ形なのか。年増なのか。若い子なのか。パニック。俺の思考がパニックに陥る。彼女の瞳。俺を見続ける。
 
実は。本当は。実際は。全部ばれている。彼女に俺のでっち上げた嘘話しがばれてる気がした。
 
「ん、、、、、、、相手は、、そ、そうですね、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、よ、、、、、、、よくは、、、、分かりません、、、、」
 
顔が赤くなる。きっと見透かされている。大人の女。間違いない。彼女の目を見れない。しまったと思った。
偶像の社長。その社長が贈る偶像の相手。しかしそれは逆にリアルに彼女に伝わったようだった。好都合。奇跡。
 
「そうですか、、、そうですよね、、分かりました、、、、しばらくお待ちください、、、2、3それに見合うようなモノお持ちしますから、、」
 
そうですよね、という彼女の言葉は社長が贈る女性の相手など一介の平社員であるはずの俺に分からなくて当然だわね、という
微妙なニュアンスを含んでいた。
しかし、それに見合うようなもの、のソレ、とは一体なにを基準に彼女は想像したんだろう、と思わなくてもいいことを考えた。
 
多分、彼女のなかでも偶像の社長は作られている。当然、偶像の女の方も。そう考えると不思議な感じがした。
女は形のいい尻をくぐめ、棚の奥から数点のサンプルらしい香水を持ってきた。
 
「どうでしょう、、こちらからS&Lスナイプ、これがウエーブシェルローズンNo5ですね、、そして今年発売されましたピンキー 、、、」
 
「いや、、、、、そう言われてもよく分からないんですけど、、、、、す、、すいません、、、、、、どれがいいのか、、、」
 
女は一瞬その美顔を堅くさせた。自分の今までやってきた仕事。プライドを傷付けられたように美顔を堅くさせた。ほんの一瞬。
しかしそれはすぐに微笑に変わった。俺を覗き込むような微笑に。
 
「ですよね、、、、、そしたらこちらなんかいかがでしょうか?、、、、、、これ、、実は私も気に入ってまして、、、」
 
これ、実は私も気に入ってまして、、、そこだけ小声。俺だけに聞かせるような小声。一瞬見せた照れたような表情。グッときた。
 
女は自分の手首の内側にテスターで香水をなじませ俺の鼻先に持ってくる。白く細い手首。何もつけてなくても匂い立ちそうだった。
 
「どうです?、、、香り、、、分かります?」  「いい香りですね、、、、それください、、間違いないです」
 
即答していた。値段も聞かず。値段などどうでもいい。女の顔。とても満足気だ。彼女が満足すれば俺も満足する。
 
「、、、、、、、、はい、、、、、かしこまりました、、、、、、ラッピングの方はどうなされます?、、、」
 
「あ、、、そのまんまで、、あの、、、あなたに、、、、、あなたにです、、、、、そ、、それ気に入ってるんですよね?」 
 
「はい?、、、、、、、、、、、、、」
 
なにを言い出したのか定かでない。俺はいったい何を口走ったんだ?彼女の顔。彼女の顔。彼女の顔。彼女の顔。彼女の顔。
 
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、緩んだ。笑顔。
 
 
 
そうして俺達はその日を境に、、、、、、、、、、付き合うことになった、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
 

 
俺は首すじを舐められていた。両手は頭の上で縛られている。ベッドの柵。手首にひんやりした感触。黒いストッキングで目隠し。
 
「だってアレはなかったわよ、、、、、、恥ずかしいったら、、、、、、、、、そんなんで落ちると思ったの?ンフフ、、、、ま、落ちたけど」
 
あの時の香水の匂い。俺の鼻先で香る。無条件反射で起つイチモツ。あの時の彼女の吐息。いま、それが俺の額にあたる。
 
「こんなに感じちゃって、、、、、、かわいいのね」
 
俺の前髪が踊る。彼女は唇をすぼめ息を吹きかける。また俺の前髪が踊った。それにいちいち反応する俺。
反応することを楽しむ俺。反応されることで楽しむ彼女。
 
彼女の舌。俺の額。味わうように舐めている。俺の髪が優しく撫でられる。彼女の指。細く白い指。俺の乳首を弄ぶ。
 
「ここも感じちゃうのかなァ、、、、、そんな体ビクビクさせてさ、、、、、、、、クスクス」
 
海老反りになり悶える俺。それを見て欲情する彼女。あの時の唇。ルージュで光った唇。俺の耳もとを愛撫する。
 
「ホントかわいい、、、、もっとよく顔見せて、、、目隠しされちゃって、、、見えないよね?、、あたしも、、、、感じてきちゃった、、、、」
 
俺の頭。マットがくぼむ。ギシリとくぼむ。彼女の体重で。トロリとしたものが俺の口もとに垂れる。甘美な匂いが近づく。
俺にとっての香水。女の中心からしたたるコロン。かぐわかしい匂い。彼女の匂い。直後。
 
顔に圧迫感。尻の割れ目に鼻が挟まる。彼女の匂いが凝縮された湿った肉。生の貝。俺の顔を滑っていく。
少しジョリジョリした陰毛の感触。彼女の柔らかい尻が震える。すぐに俺の口を湿った肉ヒダが塞いだ。
 
「こうされるの、、、、、好きなんでしょ?、、、、、、、、、ンンァ、、、、、香水を買いに、、、、来たときから知ってたわ、、、、、」
 
息苦しくて悶える俺。ベッドが大きな音を出す。縛られた両手。柵を掴み必死に耐える俺。容赦なく肉ヒダが押し付けられる。
 
「、、、、、もっとべロ出して、、、、、そう、、、、もっと感じさせて、、、、、、、苦しいの?、、、苦しくなんてないでしょ、、、、」
 
俺の許しを乞う声。彼女の尻から無様な俺の声。その声を聞けば聞くほど彼女の肉ヒダからトロリとした蜜が沸いてくる。
 
「もっと奥までべロ出しなさいって言ってるの、、、、、、、、、、、、、、、感じさせなさいって言ってるの、、、、、」
 
俺が苦しみ悶えることで満足する彼女。彼女が満足することで満足する俺。つまりは。言い替えれば。相性がいい。
 
「おいしい?、、、、ンフフ、、、、、そう、舌で優しく転がすの、、、、、、、、、、ダメよそれじゃ、、、全然きもちよくないわ、、、、」
 
そう言いながらも声が震えている。尻も震えている。女の淫らな吐息。不意に俺のモノが彼女の指で包まれる。
 
「こんなにしちゃって、、先っぽからなんか出てきてる、、、、ご褒美ほしいの?、、、、、それともこのまま焦らされたい?、、ねぇ?」
 
俺の顔から降りる彼女。口もとは彼女の愛液でトロトロ。俺はわざと咳き込む。そうすることで俺も満足する。彼女も満足する。
 
「今日はいつまでもつかしら、、、、、、、がんばって私を満足させて、、、、、ほら、、入れるわよ、、すぐにイかないでよね、、クスクス」
 
いつまでもつかしら、、、、、直訳すれば、どうせ我慢なんてできないわよね、という意味。俺のモノから、さらになにかが滲み出る。
そうゆうセリフを言うことで欲情を高めていく彼女。そう言われることで欲情が高まっていく俺。
 
「そんな腰ふるわしてぇ、、、、、エッチな子ね、、、、、、先っぽだけ?、、、先っぽだけがいいのォ?、、、、、ンフフ」
 
いつも目隠し。その理由を俺は何度も聞いた。なぜか、その理由を俺はいつも場違いなとこで聞く。皿が回っている。
俺らみたいな金のない奴らのデート。回転寿司。答えはいつも同じ。
 
決まってるじゃん。恥ずかしいからよ。イクラの軍艦を食べながら彼女が言った。その目は俺を見ることなく回る寿司を見ている。
俺の目。イクラを見ている。ひとつぶ彼女の唇に残ったイクラ。彼女の舌先。ひとつぶのイクラを器用に取る。なんかエロい。
目ぇ合うとさ、なんか恥ずかしいじゃん。でしょ?
 
女の子らしい答え。ちょっとさ、マグロ食べたいんだけど頼んでよ。自分で店員に頼めない女の子らしさ。でも。
ベッドでの彼女は違う。違う女。エッチのとき目を合わせるのが恥ずかしいと言う彼女。しかし。いま。
 
俺の方がよっぽど恥ずかしい。黒いストッキング。でもまるっきりの闇ではない。ぼんやり彼女のシルエットが見える。それが卑猥。
彼女の感じる顔。絶頂の顔。俺を責める時の顔。フィルターにかけたような顔。すべて想像。いつかの社長と同じ偶像。
 
「ン、、、、、、あ、、、、入った、、、、、、、、、、いい?、、、動くからね、、、がまんして、、、、、」
 
ネットリと動く腰。締まる肉。俺は大声で喘ぐ。それを見て感じる彼女。黒いストッキング。目隠しされている。それでも。それでも。
はっきり分かる視線。見られている。喘ぐ俺を見てさらに欲情する彼女。彼女がこれから、という時。いつも果てる俺。
 
「すっ、、、、ごい、、、、、、、、、なかで、、ドンドン大きくなってるよ、、、、、、、ダメだよ、、勝手にイったら」
 
俺の上。ペッタリと脚を広げ、腰だけを使う彼女。彼女の心地いい重み。俺の体全体が彼女の動きに合わせ、動かされる。
 
「アン、、、、アン、、、、、アン、、、、、、、かわいい、、、、、そんな声出して、、、、、、、まるで女の子が犯されてるみたいね」
 
確かに変な声。彼女の発する一言一言。俺にとっては催眠術。あえて。女の子が犯されてるみたいな声を出す俺がいる。
そうすることで感じる俺。その声を聞くことで一段と激しく締まる肉壁。肉が肉を締めつける。きっと。
いま、彼女は上から溶ろけそうな瞳で俺を見ている。ベッドに手首を縛られ、目隠しされてる俺を。
 
ベッド。ギシギシと鳴るベッド。彼女が鳴らしているベッド。その音が一段と犯されてる俺を連想させる。
 
「イっちゃいそうなの?、、、、、、、、出しちゃいそうなの?、、、、、あたしのなかに、、、、、、、お漏らししちゃいそうなのォ?」
 
答える権利。俺にはない。彼女が勝手に質問し勝手に答えを出す。いつものこと。
 
あの色っぽい唇。あの整った顔立ち。そんなセリフを言わなそうな彼女。香水を勧めるコスメレディ。職場での彼女。イクラ。想像。
色々な想像。俺の頭が真っ白になる。爆発しそうな脳。そして。
突っぱねる体。海老反りになる体。喘ぎ声。アホみたいな俺の声。自由の効かない両手。犯されている俺。
 
「ンッ、、、、、、、あッ、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、出しちゃった?、、、、、、ね、、、、もう、、出しちゃったの?」
 
それを知っててもわざと聞く彼女。カラーコンタクトの茶色の瞳。溶けそうな目で俺を捕らえる。すぐ目の前に感じる視線。
 
射精してる最中でもうごめく彼女の腰。リズムにのり軋むベッド。痛む手首。俺の喘ぎ声。悲鳴みたいな俺の声。
 
「聞いてるの、、、、出しちゃったのって?どうなの?、、そんな喘ぐほど気持ちいいの?、、なかに、、、出てるの分かるわよ、、、」
 
感じててもそれを表に出さない彼女。常に俺より優勢でなければならない感情。彼女の責める言葉が俺の心を支配していく。
 
出したあと。彼女のプレイ。俺をいじめるように腰を使う。気持ちよさのあまり涙まで出てくる。彼女の達成感。満足感。
 
「しょうがない子ねぇ、、、、、、、勝手に出しちゃうなんて、、、、、、、、でも、、、まだまだこれからよ、、、、、ンフフ」
 
俺の頭をゆっくり撫でる。彼女の優しく荒い息。またゆっくり彼女の腰が動いていく。彼女が満足するまで終わらない夜。
 
彼女は俺をイかせることで満足する。俺は彼女が満足することで満足する。レイプする女とレイプされる男。
 
それはいつまでも変わらない。そうやって俺達は付き合っていく。これからもずっと。
 
 
 
                                  おわり

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