ねぇ、、、、今日はママのそばでおねんねしたいな、、、、、、、、、、、
もぅ、、、、、、拓実はいつまでも子供なんだから、、、、、、、、、、、、あなたからも何か言ってやってちょうだいな、、、、、、、
ほら!、、、見て見てパパ!、、、、、自転車乗れたよ!、、、、、、、、、
そうじゃない、、、もっとバットを強く握るんだ、、、、、、、、、そうだ、、、それで振ってごらん、、、、、
拓実!、、、ダメよ、触っちゃ!、、、熱いからやけどしちゃうの!、、、、これは!
うーん、、、上手に書けてるなぁ、、、、、、これがパパだろ?、、、、あはは、、、これがママか、、、、うん、、よく似てるよ、、、、
海がそんなに怖い?、、、いい?、、、、、ママの真似して、、、、ほら、、、、顔に水つけて、、、ね?なんでもないでしょ?
光速の速さ。きらめきと閃光。幼い頃の自分。その、どの場面でも笑顔の両親が温かい目で見ている、、、、、、、
初めて女性のことを好きになった中学時代。坊主頭の男は、、、、俺?、、、俺なのか?、、、、、、
ごめんなさい、、、、、私、、、、他に好きな人がいて、、、、、、、、、拓実君とは友達でいたいな、、、、、
ああ、、、、、失敗してやがる、、、、、、もっとうまい事言えなかったのか?、、、、、、、バカだな、、、、、
結婚おめでとう!斉藤、、、お前、宇宙飛行士になるんだって?、、、、、、嫁さんにあんま心配かけんなよ、、、、、
僕のパパってね、、、、うちゅうひこうしなんだよ!ホントにホントだってば!、、、、、ママもこいつに言ってやってよ!
裕太、、、、裕太、、、、、、お前なのか?、、、、ほら、、、、こっちにおいで、、、、パパに抱かせて、、、、、、、、、、
ここに居る諸君達は我々の誇りであると同時にアメリカ合衆国の誇りでもある、、、、、宇宙開発局の伝統と格式を、、、、、
「ゆっくり目を開けてごらんなさい、、、、、、」
どこからともなく女性の声が聞こえてくる。しかしそれはトンネルで話してるような脳に響く声だった。
ん?、、、、俺は今どこにいるんだ?、、、、、地球?地球に戻ったのか?、、、、、、、、、、
ハッ!!、、、、ステーションはどこに!?、、、、事故?、、、、そうだ!事故だ!!ジョン、、、お、おい!ジョンをどこへやった!
自分では喋ってるつもりだったが、そのいずれもが言葉になっていなかった。
斉藤は自分の置かれてる状況を見定めようと辺りを見回す。
上、下、右、左、、、、、、どこまでも真っ白な空間が続く場所。そこに斉藤は大の字で寝かせられていた。
寝かせられている、と言っても空間がないので立っているようにも思える。
光の輪のような物で首、下腹部、そして手首と足首が固定されている。力を入れるとその輪はいくらかの膨張はするものの外れる所までいかなかった。
「君らか、、、君らがあんな事故を引き起こさせたんだなっ!、、、、、くそっ!これを外せっ!」
「ごめんなさい、、、、あなた達にこんな思いをさせて、、、、でも、あなた達地球人に必要なことなの。分かって。」
透明感のある透んだ女性の声は感情を感じさせず淡々としていた。しかし機械音のような冷たい感じにも聞こえない。
斉藤はその音源がどこからが聞こえてくるのか辺りを見回したがそれらしい人影はなく、ただ広大な白い空間が広がっている。
やがて、それは自分の頭の中に直接的に語りかけてる、ということを悟った。
どこかで聞いたことのあるような声、、、、、ただ、そう感じてるだけだろうか?いや、そう感じさせられているだけなのか?
未知の知能生命体。にわかには信じられなかったが事の順序立てをしていけばうなずけるというものだった。
ドッキング間際、あり得ないコンピューターの連続故障。いまだ人類が解明していない時空間移動の緻密な数式。
そのどれもが外部からのものであるとしたら、、、、、今、自分が話しているのは、、、、、、、あるいは、、、、、
訓練中、そうしたメニューはあることにはあったが、あくまでも非接触を前提にしたもので、人間の言語特性からも理解できるように
こうして直接、または間接的に話すまでのマニュアルは無かった。
未確認飛行物体を視認してからの記録と連絡。そうしたカリキュラムが主であって、直接対面した時の行動などわずか2行にしか
満たない。
しかし斉藤は常々こう思ってきた。地球まで飛来できるほどの航空力学がある高度な知能生命体、及びその機体を我々人類の
目、ないしレーダーなどで捕捉できるものなのか、と。
「ンフフ、、、人間の中では頭がいい方なのね。そう。私達は肉体というものがないの。というよりも遠い過去に捨てた、という方が
いいかしら。なにも生命が物質である必要なんてないものね。」
あることに気づいた。この女性は俺の考えてること以上の事を話そうとしない。つまり、どの位の知能を有しているか窺いながら語りかけてる節があった。いや、そうではない。自分の考えてる事など手に取るように分かるのだろう。
「あなたにとっては一瞬だったでしょうけど、、、地球の時間にしたら38000年位経ってるわ。というか人間さえいない星になってる。」
「そ、、、そんなバカな、、、、」
「だからこうして人間の遺伝子を残そうとしてるの。地球だけじゃないわ。あらゆる星の生命体がこの星に運ばれてくるの。
でも誤解しないで。あなた達地球人は自分達が優れていると思ってるようだけど、そうね、、、ちょうど地球に住むアリくらいの価値
しかないわ。少なくてもここではね。どのみち消えていく運命だったの。人類は。私達の手で残さないと絶える運命なのよ。」
喜怒哀楽が判然としない物の言い方が斉藤を更に不安にさせていく。
「だ、、、だから、、、どうしようってんだっ!、、、、、、えっ!?、、、だからって連れさっていいのかっ!?」
「連れ去る?なぜそんなに物事をマイナスにとらえるのかしら。理解できないわ。いいわ。これでどう?」
あるまじき事か前方の白い空間に割れ目ができ、5人の美女達が姿を現した。
「人間の美的感覚は単純ね。まず左右対称。そして額から顎までの比率、1対1.175。眉毛から目の稜線までのライン。
頭三等分の上半身。その上半身に対して1.27倍の脚線。へそを中心に2つの乳首を二等辺三角形にしたボディライン。
さらに首周りを2.25倍にしたウエスト。そのウエストの1.917倍のバスト。この基準を満たしていれば美しく見える。」
「な、、、、なにを、、、、」
「あとはそこにパーツを配置するだけ。これは好みが分かれるようね。分かれる、と言っても大別すればこの5体のうちのいずれ
かよ。髪型、眉毛、及びアイラインの角度。鼻の大きさ。口角。唇の厚さ。バストの位置、大きさ、乳輪、肌の色、体毛、あなたの
場合、どれがお好みかしら?」
5人の生成された女性の姿がモンタージュ写真のようにコマ送りにされ、微妙に変化していく。
驚いたことに自分の理想のルックスに最も近い顔立ちの箇所で変化が止まった。
「この辺かしら。でもこれでは面白くないわね。みんな同じ顔なんだもの。」
今度はその5人の髪型がチェンジされ、着ている服、化粧の仕方までもが変化した。
同じ容姿なのに全て違う女性に見えてくる。性格も違うのだろう。
まさに完璧な顔立ちとプロポーション。しかし、一人の女性がこれだけの変化を持ち合わせていることの方が驚きの対象だった。
「あなた方、人類の女性は怖いものね。同じ顔でも着る衣装や化粧でこうも変化するのよ。性格もその時々で絶妙に変化させる。
男を誘うような甘える仕草。反面、子を守る時は男よりも勝気になれる。これは私達も見習うべきだわ。」
「こ、、、こいつらは幻なんだろ?、、、、少なくとも人間ではない、、、、、」
「いいえ。あなた方、人類の遺伝子から作り出した本物の人間よ。たった今作ったから体温は多少高いようね。
さぁ、あなたの遺伝子をストックしてあげるわ。」
「や、、、、、やめてくれ、、、、、、、、、、、、、やめてくれっ!!、、、、ちきしょう!、、、この輪をほどいてくれっ!!」
一卵性双生児のような5人の美女が斉藤を囲んでいく。
斉藤の叫び声が白い空間にこだました、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
続く