続・コウちゃん  (3)

                        作:テンちゃん   

                                   (5)

「や、、、やめなさいと言ってるんだ!、、、、なにをするつもりだ、、、」
 
幸介の肉棒は固くなりはしないものの、結花の柔らかい尻部が擦られるとムクリと重い首を起こしてくる。
投げ飛ばすように振り切ることも可能だったが、患者にもしものことがあってはいけない。今日に限り、差しで話しをしたかった幸介に付き添いの看護婦もおらず、まして【密室】に近い面談室で2人きりになるのは異例中の異例だった。
いま、大声を出して人を呼べば、幸介自身が疑いの目で見られるのは明らかだった。
 
「あれあれ、、、奇遇とは良く言ったもんだねぇ、、先生の名前も【幸介】っていうのかい!?、、ふははっ、、、結花ぁ、、聞こえてるだろぉぉ?あんたの弟もそんな名前じゃなかったっけぇぇ?、、、、こいつは傑作だねぇ!、、」
 
イスの上に座った幸介をまたぐように腰をすえた愛の体重は、石のように重く感じられ、ピクリとも動かせない。幸介の白衣の胸元に付いたネームプレートを荒々しく引っ張って食い入るよう見つめる愛。
彼女を挟んで反対側、机の上の内線電話が目に入り、外にいる警備員を呼ぼうと半ば彼女の胸にとっぷす形で両腕を伸ばした。
だが、その両腕の付け根、肩のあたりから思いがけない力で彼女の両脇に抱え込まれる。
肘の関節がビクともしないのに改めて驚く幸介。
 
「あハハハ、、、、ほぅら、、、つかまえたぁぁ!!、、、、、このままヘシ折っちゃおうかぁぁ!!?」
 
痩せすぎでも太りすぎでもない至って標準的な22歳の彼女のどこにこのような力があるのか。
幸介はその時、人間の脳の70%は眠ったままだということを思い出したが、こんな細い腕で2倍はある自分の腕を極めてる彼女に畏怖の念を感じた。
 
それからの一連の動作は時間にしたら数秒、まるで機械がプログラムされた指示を的確にこなすような実務的な動きだった。
ガウンの下にはナニも身に付けていないのか、愛は自分の人差し指と中指を一回大きく舐めると濡れきった恥部を荒々しくなでる。
すでに大きくなった幸介の棒をいとも簡単にその入り口に当てがうと腰を沈めた。
あまりの行程の速さに彼女の顔を見ると表情筋がヒクヒクと動き、中空をさまよう視線は幸介を見てはいない。
 
「本当は年下が良かったんだけどねぇ。、、、エリカみたいにオジン好きじゃないんだよ、、、、アタシはねぇぇぇ!!」
 
幸介は一瞬、自分の肉棒を小動物に噛まれたような激痛に襲われたと思ったが、それは彼女の【膣】によるものだと悟った。
 
「どう?、、、痛いだろぉぉ!?、、このまま潰すこともできんだよぉぉ、、、、この子のアソコでねぇぇ!!、、、、やっぱり若い子の体はイイよなァァ、、、乗っとり甲斐があるってもんだよォォォ!!、、、アはははは」
 
自分では快感を感じてないらしく、ただ、男を責めることにのみ執着した愛の人格は幸介が苦しめば苦しむほど歓喜に満ちていく。
 
「、、、こうやって動いたらどうなんのかねぇぇ!?、、、結花とエッチできて嬉しいだろぉぉ?、、シタかたんだろぉぉぉ!!?」
 
幸介は彼女の胸にとっぷしたままだったので愛の表情は見えなかったが、くびれた曲線美のある白い腰がうねるように動いてるのが分かった。それは性交というものとはほど遠く、暴力的で支配的な運動だった。
 
「、、うぐっっ、、、、かはぁっ、、、、や、やめろっ!!、、、んあっ、、っ!」
 
「ホラホラァ!、、感じてるんだろぉぉ!?、、、こうやって犯されたかったんだろぉぉ!?、、あはははははっ」
 
なんの感慨もなく突然、自分の下半身が震えたのを感じる幸介。大量の精液が彼女のなかに噴射されたのが分かった。
 
「、、、んん〜っ!!、、、、かっ、、、ん!、、・・・・・」
 
「あははは!、、、けっこうイイ声で鳴くじゃない、、、、年下と違って、、、アリかもねぇぇェ!!」
 
新しい発見でもしたかのように、愛は幸介のヒキ吊った顔をジックリ覗き込むと射精を終えたにも関わらず腰の動きを速めた。
 
「はやく大きくしろよなぁぁ!?、、、まだまだヤんだよぉぉ!!、シたいんだろぉぉぉ!?、、、シたかったんだろうぉぉ!!?」
 
言葉使いは恫喝を極めたものになっているが、顔そのものは結花、という22歳の女性のものである【ギャップ】に幸介の棒はすぐに反応させられた。それを敏感に感じたのか愛は円を描くようにネッタリと腰を使ってくる。
 
「う、、うごかないで、、、、ウハッ、、ん、、、、、や、、、やめろ、、、やめてくれっ!、、、あああっ、、かあはぁ、、っ!!!」
 
射精したばかりの肉棒は普段の十倍ほど劇的に感度が良く、愛が腰を動かすたび、彼女の内側にある【肉ヒダ】の感触が伝わってきた。亀頭を包み込むように蠢く温かい肉が一度萎えたものを奮い起たせていく。
幸介はやえもすれば狂いそうな自分の思考を、声を出し、喘ぐことで拡散するしかなかった。
 
「ああああっ!!、、、、、いひひぃぃぃぃ!!、、カァァッ、、は、、、、っん、、、やめ、、、やめぇ、、、んッ、、ああっ!!」
 
「あは、、あははは!!、、そんな気持ちいいのかぁ!?、、、、涙まで流してぇぇ!、、結花ぁぁ!気持ちいいってよ、、、あはは」
 
目から出る涙、口から流れ出るヨダレは許しを請うものでなく、快感と筋肉の弛緩によるものだと自分自身分かる。その間にも万力のような締め付けと、包み込むようなソフトな膣の伸縮が幸介の神経回路を切り裂いていった。
自分の悶える声、苦痛に歪む顔、暴れる体、それこそが愛の快感であり性交だ、と幸介は思った。
 
「で、、、、でるっ、、、、出るぅぅ!!、、、、、、、、、、んっっっっ、、、、、、、、、、、、、、、、、、かっ、、、、、」
 
溢れ出た幸介の精液と彼女の愛液は、パイプ椅子を伝いポタポタと床に波紋となって広がっていく。ビクビクとした愛の肉体を見て幸介はもしかしたら愛も絶頂に達してるかも知れない、と思ったが、少なくとも上に乗る女性にそのような【反応】はなかった。
 
「アハハ、、また出しちまったのかぁい、、、この子の体も敏感なんだねぇぇ!!、、、イッたらしいよ、、あははは!でもね、、アタシはなにも感じないんだけどねぇぇ!!、、、、、、、、ホラホラ、、まだまだ、、、、、まだまだヤるんだよぉぉ」
 
気絶しそうな幸介の目に再び内線電話が見えてくる。尚も腰を使ってくる愛の死角、、あと少し、、、あと数センチで届く、、、、、
極められた両腕を震わせながらジリジリと電話のコードを引こうとしたが、激しく動く彼女の腰使いのせいで伸びきった腕も一緒になって動かされる。前後にのたくる白い腰の動きに合わせ受話器の線をなんとか掴んだ。
だが、それと同時に体全体が射精という快楽の大きな渦に飲まれていく。
 
「、、、、、ア、、、、かはっ、、、、、、、、、、、、かぁ、、、、、、、、、、、、、、、、、、か、、、、、、、」
 
プ・・・プ・・・プ・・・プ・・・プ・・・プ・・・プ・・・プ・・・プ・・・プ・・・
 
受話器から断続的な電子音が鳴るが、それを持つ幸介の手はダラリと垂れ下がり、、、派手な音を出して床に落ちた。
【快楽死】というものがあればこれかもしれない、幸介は今まで感じたことのない浮遊感と虚脱感が作りだす快楽地獄に堕ちていく自分を想像した。
 
「あれあれ、、、、助けでも呼ぶつもりだったのかい?、、、、もうすこし頑張ればねぇぇ!、、、もうイッたのかい?」
 
続けざま3回の強制射精をされた幸介の体には凄まじい脱力感が襲い、目を開けてるのもやっとだった。極められた両腕はゾンビのように生気がなく、彼女の出し得る100%の筋力は張ったままだ。
ガウンの下にある繊細な肌は蒸気し、乳房の谷間に幸介の顔面はひしゃげたように埋没している。彼女の激しい動悸がトクッ、トクッと自分の頭蓋に響いてくるようだった。
 
しかし、次の瞬間、なんの前触れもなく愛の表情が醜く歪んだ。小声で一人つぶやく仕草の愛の声量があがっていく。
、、、、、ゆかぁぁ、、まて、、、、、はやまるなぁ、、、、、、、、まてぃ、、、結花ぁ、、、、、どんどん声が明確さを増していく。
 
 

「ギィエエィ!、、ゥアアア!!、、、ヤ、、ヤメテッ、、ゆるして、、、結花ぁぁ、、アタシが悪かったよぉぉ!」

「、、、ダメェ、、、消えて!、、、私の前からいなくなって!!、、、、」

「許してぇぇ!、、、ゆかァァ、、、アタシがいて得したこともあったんだよぉぉ!、、ほら、、あの嫌な上司いただろぉ?、、、あいつにギャフンと言ってやったのもアタシなんだよぉぉ!、、あれからセクハラなんてされねーようになっただろぉぉぉ?、、」

まるで目の前にいる幸介に語るような独り言を連呼している。統合か。統合の前兆なのか?元来やさしい性格なのだろう。
愛を【かわいそう】と思っているのか結花は戸惑い、困惑した様子で【トドメ】を刺すのに迷っている。上の空の彼女の表情は結花のものだ。激しい心の変化が見てとれ、幸介の両腕を抱えた力が嘘のように緩んでいく。
 
「だって、、、、あなたは私じゃないわ、、、、、、、、、、、お願い、、、居なくなって!、、、私の中から消えて!、、、、」

「『お姉ちゃん、、ぼくだょ、、僕、、わすれたの?、、、コウちゃんだよぉ、、、、車にひかれた時は痛かったよぉぉ、、だから愛さんを助けてやってよぉぉ、、、お願いだよぉぉ、、、、おねえちゃぁぁん、、、おねえ、、ちゃぁぁん、、、』」

それは、幸介にも愛が化けてる声だと分かるほどチャチなものだったが、事故死させてしまった自責の念だろう。結花の迷いは混迷を深めているように見え、彼は脱力した体で声を絞り出した。
 
「、、、彼女に同情しちゃダメだ!、、この声は君の弟なんかじゃない!、、君の弟はもうこの世にいない!!、、死んだんだ!、、、、結花さん!!、、、、がんばって、、、君にならできる!、、消してしまうんだ!!」
 
幸介の言葉で濁りかけてた瞳が一気に潤いを増す。最後に残ったミノルも統合に参加したのだろう。
彼女の目は戦いに望む勇者のような決然としたものに変わっていき、愛を追いつめていく。
 
「お、、おとうとを、、コウちゃんの真似するなんて許せない、、、、ゆるせない、、、、絶対に、、」

「ウソ、、嘘だよ、ジョーク、、ゆかぁぁ、ヤ、、ヤメ、、、、ウギャァァァァアアアアアア!!!、、、、がはぁぁぁぁぁぁ!!」

ドサッ・・・・・
 
気を失い、倒れた彼女をそっと抱きかかえると、結花、本来の温和な顔にかかった髪の毛を払ってやる。
かすかに痙攣した目ぶたが初めてこの世の光を浴びるようにゆっくり開いていく。 
 
「よし、、、もう大丈夫だ、、、結花さん、、、君は君だよ、、、、他の者はいなくなった、、、君は自分に勝ったんだよ、、」
 
幸介を見つめる彼女の【感情】の宿った瞳からは、今までの戦いからくる虚脱と安心からか、大粒の涙が溢れてくる。
 
「、、、、せ、、せんせぃ、、、先生、、わたし、、、、ウウ、、エ〜ン、、、シクシク、、、わたし、、、勝ったんですよね、、グスン」
 
「、、、そうだよ、、、たくさん、、、たくさん泣きなさい、、、、、、、泣くのは恥ずかしいことじゃないよ、、、弟さんのことを忘れろとは言わない、、、彼のことを生きるバネにして、、、これから、、これから弟さんの分まで生きないと、、、コウちゃんもきっとソレを望んでるはずだよ、、、、「しっかりしてよお姉ちゃん」って上から見てるはずだ、、、、、」
 
小さくすすり泣く彼女の髪を、いたわるように指で愛撫してやると、タガを外したみたいに嗚咽の籠もった泣き方に変わっていく。
 
医師と患者は密接になってはいけない、、、、、、
そう思った幸介だったが、抱きしめれば壊れてしまいそうな結花の体を、もう一度強く抱擁しなおした、、、、、
 
窓の外、春の終わりを告げるモンシロチョウが、2人を祝福するように優しく旋回していった、、、、、


エピローグ

1年後・・・・・・・・・・・・・・・・

桜が咲くこの季節になると【彼女】のことが思い出される。そう思ってた矢先、幸介あてに1本の電話がかかってきた。
 
「あ、、、もしもし、、、、先生ですか?、、、、その節はお世話になりました、、、はい、、もう、すっかり元気ですよ、、ふふ」
 
「そう、、、それは良かった、、僕もちょうど君のことを思い出してたんだ、、、いつでも遊びにおいで」
 
電話の向こうの屈託のない結花のハニかんだ顔が容易に想像できた。
彼女のハツラツとした声を聞いてると、分析医としてではなく1人の人間として素直に喜べる。
 
「じゃ、、、、また電話しますね、、今度あそびに行っちゃおうかなぁ、、、ふふっ、、それでは、、本当にありがとうございました」
 
受話器を通して彼女の天真爛漫な様子が伝わってくる。
 
「ハハ、、冗談でなく本当に遊びにおいで、、、看護婦のみんなもきっと喜ぶよ、、、、」
 
「は〜い!、、その時までには結婚しててくださいよ!、、、先生!、、、アはは、、それではどうも失礼しまぁす」
 
茶目っ気たっぷりの中にも礼儀正しさのある澄んだ声で結花が言うと電話が切れた。
 
次の患者の待つ面談室に歩む幸介の足取りは、、、彼女のこれからの人生に貢献できた喜びで、、、心なしか軽やかだった、、、
 
 

結花の部屋・・・・・・・ 

「ふふ、、、フフフ、、、フフフゥゥ、、、あのボケェ、、すっかり結花だと思ってらぁぁ!!、ふはははァァ、今まで隅っこでジィ〜としてた甲斐あったよ、、、、イジメられキャラでぇ。、、、、ミノルの奴も気付かなかったもんなぁぁ!!おかげで結花を乗っとれた、、
あはははァ、、、、【愛】みたいにドジは踏まないよ、、、わたしはね、、、ホントのワルっつーのは表に顔出さないもんなんだよぉぉ、、まさかこの【シオリ様】が影の支配者だったとは誰も気付かなかったようだねぇ。、、、、、、、、、フフフ、、、さぁ〜てと、、、、、、、あの先生、、、結花に気ぃありそうだったしぃ、、【遊び】に行こうかねぇ、、ふふふ」
 
結花の肉体を借りたシオリの耳に【栄養補給】してくれるクソババアの声が階下から聞こえてくる。
 
チッ・・・うるせぇ・・・・・ま、あのクソババアにもまだ使い道はあるわなァ・・・・もう少し生かしといてやるか・・・・・・
 
「ユカぁ、、ご飯よ〜、、、はやく下に降りてらっしゃい!、、、、、仕事に遅れるわよ〜」
 
「、、、、、、、、、、、、、、、はぁい、、、、、、、ママ、、、、、、、いま行く」
 
その声は、、、、、、結花以外の何者でもなかった、、、、、、、、
 
 
 

     完

 (あなたの闇は私の闇でもある。だが、それを共有することは不可能だ)

       19世紀       精神科医の残した言葉より

その2へ

てんちゃんの目次