プロジェクトB 
(1)

                        作:テンちゃん  
 

『私はこの古書を読んだときに手が震えた。これをどのように伝えようかと今まで模索して
きたが、やはり後生に伝えるため書くしかない、、、、、書くしかないのだ、、、、、(作者)
  
 
なにも考えず、まず想像して頂きたい。
 
30畳の部屋、、、イメージできただろうか。そこに厳選された美女40人に入室してもらう。
ここで言う『ゲンセンサレタビジョ』という、いささか陳腐な表現はこの【手記】によると
19歳〜26歳までの健康で男性から見た場合に《性的な魅力》を非常に強く感じることの
できる対象者達、ということになっている。
また、部屋の構造だが清潔保持の為ユニットバスやパウダールームは複数あってもよい
とされていて、寝具なども完備されている。
 
そこに美女40人?、、、、、これだけでソコは女達のすえた匂いで充満されただろう、と私
は考えを巡らせる。
 
手記によるとここからが重要らしいのだが、彼女達にはある一定の条件のもと生活して
もらう。まず、単純に外界からの接触を一切絶ってもらう。
つまり、携帯やテレビ、ラジオに至るまで外部からの情報を断絶させるというのだ。よって
その部屋には窓もなかった、と記されている。
 
私ならこれだけで気が狂ってくるのではないか?、、、、、と、また深く考える。
 
次に食事を極力制限させる、と大まかに書いてある。メニューは豪華でも良いが常に空腹を
感じさせる少量を与える、と。
そして最後の文面が私を震撼させた。
 
それは『睡眠』まで制限する、という内容だった。天井には一面、白熱灯があり一定の時間
ごとに備えつけのスピーカーから出る大音響と共に激しく明滅を繰り返す。
人間は熟睡してる時でも強い光や音には鋭く反応する、ということを昔なにかの本で読んだ
ことのある私はヒドく困惑した。、、、、、なぜ?
そして、この状態で何日間か経過観察する、と記されている。
 
 
ここで、この古びた書物は一度プツリと終わり何ページか白紙が続いている。
 
 
               3月6日
 
突然こんなところに連れて来られた見ず知らずの彼女達は、お互い過敏に反応しあうだろう、
というのが当初のこちら側の見解だった。だが、3日目を迎えた今日、こうして観察していると
緩慢ではあるが統制がとれつつあるのが分かる。
比較的、自我が強い5〜6人の指導者(ここではそう呼ぶことにする)がいくつかのグループ
を作り、室内にまだら模様のように点在し談笑しあっている。
 
ページをめくっていると、いきなり≪ブレインプロジェクト・経過観察検案書≫という項目が現れ
日付と内容が記されている。私の探求心がザワザワと音をたてる。
ブ、、ブレインプロジェクト?、、、、、、、脳計画だと?、、、、、、
 
               3月10日 
 
多くの者が曜日や時間といった概念を失いつつあるようだ。窓もなく時計もない部屋なので
こうなることはある程度予見できたが【三大欲の制限】により大声で泣く者や笑ったりする者
も少数ではあるが確認できる。
完全にいくつかの群れに分かれた女性達は、一種独特の緊張感を保ちつつもなんとか穏便
に共存しあっている様子だ。なお、計器類に特徴的な変化はみられない。
 
そうか、、、そういうことだったのか、、、、ここで初めてこの研究書の意味を知った。
三大欲、、、、たしか、、、、、食欲、、、睡眠欲、、、性欲、、、、、性欲?、、、、セイヨク!?
そういえば、これだけ、、、これだけ、、、はじめの項目では【禁欲】されていなかったはずだ。
 
               3月22日
 
あちら側からはマジックミラーになっているのだが、何かを訴えるようにガラスを叩いている
女がいる。見えているのだろうか?いや、そんなはずはない。防音なのでなにを言ってるの
か分からない。
夕方、設置されてある集音マイクの調子がかんばしくないようだ、と小峰君から報告を受ける。
この頃になると女性同士の力関係が明確に現れ、少量の食事を巡り、奪いあう光景も随所で
確認できる。見ている限りでは、以前、この研究所にやってきたときのような清楚感や
女性らしさが著しく低下してるようだ。
だが、女性ホルモン、エストロゲンの値が皆、異常に上がっており、服装も非常に軽微なもの、
裸体にちかいファッションを好んでするようになる。これは明らかにオスを誘う前兆の現れだ。
子を産もうとする本能だろうか。栄養素を奪いあっているのにも合致する。
 
な、、、なんなんだ、、、これは人体実験ではないか、、、、
次の3月24日のページが破られ完全に抜けおちている。なにか知られてはならない内容
だったのだろうか。
 
               3月27日
 
  の大画面に映し出さ る性交映像は、やはり彼女達をある種の自己催眠状態の下
に置いたと言え だろう。今ここで報告書を  ても彼女達の自慰行為が  に行われ
アエギ声が    くる だ。24時間流されるこの映像は   にしている。
また今日、情緒的に不安定な2名が女性職員により退室さ    に     だろう。
また、これは以外だったが一様にアルファ波が飛躍的に   り      に気をつけなけ
れば  ない。スタッフのなかでも    意見が聞かれ        しておこう。
 
ここから後半のページには数ヶ所、汚れやシミのようなものが付着し読めない箇所が
あったが一気に読み切りたい衝動に駆られた。
待て、もう一度整理してみろ、と自分に言い聞かせる。
一ヶ月近く、なんの情報もない部屋で人間の持つ欲まで制限された女性達。無理もない。
空白の頭の中に突然ヒワイな映像を見せつけられれば脳はパンクする。
、、、、、、、、、そう、マインドコントロール。
 
               3月29日
 
丸二日、続けて映し出  た性交映像を食い入るように女性達は見つめている。
室内には至るとこ  愛液の染みができ おり、女性同士で      も視認できる。
また来週にも、実験対象である若い男性が来所する、と報告を受けた。個人的には
が  しらい      なのか。あくまでも推測だが。
数値的にはプリン体、及びキトシン酸がやや上がってるように思う。だが心電図には
異常な波形は見られな       した。
この実験が無事に         が、こればかりはその時にならなければ   ない。
そろそろプロジェクトの最終段階だ。    ったが、             よう。
 
肝心なところがほとんど判読できない。だが、、、、、、、、
               
私は読んでいて、、、、、段々うすら寒いものを、、、、背中越しに感じてきていた、、、、
     
 
 
                                    最重要機密2へ

てんちゃんの目次