ドラマチック集団逆レイプ小説 『妹』 1 

                        作:テンちゃん  
   

例えばA氏があなたを殺したかったとする。このA氏にどれほどのあなたを殺したい執念があるか定かでないが、その思いが強ければ強いほど実行に近づける。
いかに法整備が進もうと人間の思い、感情に勝るものはない。それが例えあなたの自宅内、警察署の中、裁判所の前、その他諸々の公共性のある施設内でさえ、A氏があなたを殺そうと思えば殺せるのだ。
そう考えてみるといささか恐ろしい。どのようないきさつがあったとしても、我々は普段、そういった感情を抑え理性を保つことで自己をコントロールし他人とのコミュニケーションを計っている。
だが、ここにもまた、自分達の腹の底から沸き上がる衝動を抑えられない少女達がいた・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 

 登場人物・・・・・加奈(姉)、典子(妹)、涼子(加奈の友達)、 理緒(加奈の友達)、 謙也               
 
 
「あ、、、やっと出てきたよ、アイツ、、、、遅いんだよね、、、いい?私がせーのって言ったらみんなで押さえてさぁ、後部席に押し込めんだよ。そうそう、昨日話したとーり。、、、大丈夫だって、こっちは4人もいるんだし、、、、、、あ、典子は手ぇ出さなくていいよ、、、、思い出しちゃうといけないから、、、、、、、ねーちゃん達に任せてよ。、、、、、、、、、、ね?」
 
降りしきる雨の中、ときおりいびつな音をたてたワイパーが動くたび、闇夜に照らされた古本屋が浮かび上がる。
大型バンのハンドルを握る加奈の手は、自分達のこれからする行動と不安気な顔をした他の3人、なにより自分自身に激を飛ばすため、一度強く握られた。
 
ひょっとして違う入り口とかあって、もう居ないんじゃない?ここぞという時に腹を据えられない理緒が言ったことで車内には重い空気と、それと同じくらい、実行できなくて済んだ、という妙な安堵感が漂った。
車のライトを点けていなかったので、本屋から出てくる黒いシルエットだけが見えたが、体格や、一瞬見えた髪型から加奈は謙也に間違いないと思った。
雨の中、頭をおさえ、小走りで片隅に止めてある自転車に駆けていく。その様子を片時も離さず目で追ったまま、加奈はイグニッションキーをゆっくりまわしていった・・・・・・・・・・
 

 
「お姉ちゃん、、、、わたし、、、、、わたしね、、、、妊娠させられちゃったかも、、、ハハ、、、笑っちゃうよね」
 
2人で買い物に行った帰り、助手席からポツン、と典子が言った。
海岸沿いに面した道路は南国のように整備され、晴れ渡った夏空のもと遙か沖合にウィンドサーフィンをする人影がまばらに見える。窓を全開にすると熱気を含んだ海風が、これから重責を持った会話になるであろう姉妹の髪を撫でていった。
信号が黄色から赤に変わるのを切望するように速度を落とすと加奈は妹の言った言葉の断片だけを拾い集める。
 
妊娠・・・・・・・・・・
 
「えっ、、、、、、、、、?」 妹がなにを言ったのかすぐには理解できず歩道用の信号が点滅するのを唖然と眺めながら、加奈はそれしか言葉が出てこなかった。
慌てて妹の方を向くと前を見たまま、うっすらと涙が滲んでいる。あんなに楽しそうに買い物をしてたのが嘘のようだった。
 
「さ、、、させられたって、、、、、なに?どうゆうこと?、、、、、、、え?典子が?、、、、、、エッ?」
 
典子はまだ高校2年になったばかりだった。自分と6つ違いの妹は幼い頃カワイイと思うこともあればムカつくこともあったが、年代が増すにつれ趣味も合うようになってきたのか、今はそれなりに楽しく付き合っている。
姉から見ても年を追うごとにどんどん女らしさを感じさせ、近所でも綺麗な子、と評判だった。嫉妬しなかったといえば嘘になるが、血の繋がった妹がそうゆう評価を受けている、ということは姉としてちょっとした誇りにさえ思えた。
 
「、、、、、だから、、、、ニンシン、、、、、、、、ね?お姉ちゃん、、、、、、あたし、どうしたらいい?どうしたら、、、、、、」
 
突然の問いかけにドキッとしたが、妹を混乱させないよう一つずつ、ことの成り行きを聞いていくしかない。
まず落ち着かないと。高ぶる気持ちをなだめながらも妹に対する問いかけ口調が厳しくなっていくのに自分でも気づく。
時間が経つにつれ2人とも落ち着いてきたらしく、加奈はカーステの音量を上げると、あくまでも普通の会話のように喋った。
派手なカップルを乗せた真っ赤なオープンカーがノロノロと走る自分達をこれ見よがしに追い越していく。
無意識のうちに家とは逆方向にハンドルを切った加奈は運転することで、なにかしていることで自分の自制心が強固になっていくのを感じた。
 
「ふぅ〜ん、、、、、で、ママとかには言ってないの?、、、そう、、そうだね、、、言わないほう、いいかもね、、、、、パパなんか聞いたらきっとショックだろうし、、、、そう、、まだ誰にも言ってないんだ、、、、、、、、そうか、、、そうだよね」
 
初めに自分に相談してくれた、ということが姉として嬉しく思え、なんとかしてあげたい、という強い思いと同時に相手の男のことが無性に気になってきた。でも・・・・今、ここで聞いていいんだろうか。
させられた、と、した、では意味が大きく違う。さっき典子はさせられた、と言ったはずだ。あまり深くは聞けなかったが妹の悔しさと不安が入り混じった涙からは、少なくとも相手に対する愛情は感じられなかった。
相手のことが聞きたかったが、なによりもまず、先に、妹は答えを求めている。答えを求めて私にすがっている。
 
「今はさぁ、、簡単にできるってよ、、、、、10万くらいかかるらしいけどね、、、お金なかったら貸したげるから心配しなくていいよ」
 
今は錠剤でも堕児できるらしいと友達から聞いたが3ヶ月を過ぎてたらもうダメだ。でも、それも言えなかった。
なぜか妹の方を向くと堅く覆った気持ちが、もろく崩れそうで、前方を向いたままなるべく淡々と話した。
夏の日差しは車中の重い空気などに関係なくギラギラと照りつけ、それが余計、会話の内容に現実味を与えた。
 
「あたしの友達でもいんだよ、、、堕ろした子、、だいじょうぶだって、お姉ちゃん付き合ってあげっからさぁ、、あたしらん時はそうでもなかったけど、典子ぐらいの年じゃ珍しくないんじゃないの?、、でも学校はさ、、少しの間休まなくちゃダメだよ、、、、、ね?」
 
妹がそういう子でないことは自分が良く知っている。なのに、そんなことしか言えなかった。
ね?と問いかけた時、妹の手は堅く握り締められ、嗚咽したまま小さく震えているのが分かった。それが男に対する悔しさなのか、あの分娩台に向かう恐怖からくるものなのかは分からなかった。
妹の小柄な体にフィットしたピンク色のTシャツのおなか。意識しなくても自然に目がいくのを感じた加奈は前方に視線を戻す。
 
典子は自分で妊娠した、と気づいた時、すでに堕ろす覚悟をしてたのだろう。姉、という近親者の肩押し、たった一言のバックアップが欲しかったのだ、と今さらながら気づく。
 
自分に泣き顔を見せないよう窓の景色を見ながらグズグズ泣いている妹を見てると、その友達が二度と子供を宿せない体になった、とは口が裂けても言えなかった。
高校時代の簡単なお金稼ぎと引き替えに、その友達が被った代償は女としての存在さえ否定されかねない結果になったのを鮮明に覚えている。そうした考えを巡らせてるうちに、またしてもこうまで妹を思いつめらせた男に対する怒りが加奈の中でフツフツと沸き上がってきた・・・・・・・・・・・
 
先ほどより大粒の雨が粘着質を保ったまま降っている。ワイパーを駆動させると水飴のような膜がフロントガラスをこそげていった。
それを見ながら1ヶ月前、妹と買い物に行った日の出来事を加奈は思い出していた・・・・・・
 

 
どしゃ降りになった雨は自転車のチェーンキーをはずそうとしている自分にも容赦なく降りつけた。4桁の数字が自販機の灯りに浮かぶがなかなか合わない。
 
「チッ、、、、なんなんだよ、、、、、、、この鍵はよぅ、、、、くそムカツク」
 
古本屋でバイトをして半年。口うるさい店長はムカついたが暇な時間の方がはるかに多く、自分にしてみればいい条件だった。
雨が打ちつけるイライラした感情とは裏腹に数ヶ月前、体育館裏で犯してやった同級生の典子のことを思い出し笑みがこぼれた。
学校でも可愛いランクに位置した彼女から告白された時は正直ビックリしたが自分には彼女がいる。ルックス的には断然典子の方が上だったが、あのおとなしい性格が気にいらない。気にいらないというか自分には合わない。
面白いことがあっても大笑いせず、口に手を添え上品に笑う、そんな優等生的な性格がとにかく自分には合わない気がした。
でもみすみす逃がすにはもったいない気もする。だから付き合ってるフリだけして最終的にはレイプしてやった。
こっちはさ・・・・・ヤれればいいんだよ・・・・・・・・ヤれればよぅ・・・・・
 
なかなか合わない鍵をいじりながらも、あの時の典子の体の感触を思い出し、自虐的な笑みが、また自然にこぼれた・・・・・・
 

 
結局、産婦人科に行き検査した結果、妊娠はしていなかった。市販の検査薬がなにかの作用で陽性を示しただけらしい、ということが分かった時、隣で嬉し泣きする妹を見ながら自分も泣いてしまっていた。
「あたし、生んじゃおうかな、、、」医者に行く前日、典子がボソッ、と言った一言。それは軽い口調であったが悩んだ挙げ句ようやく導き出した、女としての答えなんだと思った。自分が同じ立場でも悩んだだろう。
相手が憎い対象であってもおなかに宿る子は女として最高の宝物。それを亡き者にすることへの計り知れない後悔。
 
しかし妹に付けられた傷、というのは思う以上に根深かった。妹しか知り得ない恐怖と羞恥。そして憎しみと怒り。
なんでもない恋愛ドラマでのキスシーン。妹はすぐにチャンネルを変えた。
部屋に貼ってあった男性アイドルのポスターもいつのまにか消えていた。その事件のあった日着ていた制服は捨てていた。
靴、カバン、塗っていたリップ・・・・・・・あの日に結びつくもの全てを妹は拒絶してるように見えた。遠ざけようとしていた。
でも、普段と変わらないようにしている妹。そのことに気づいていて何もしてあげれない自分。姉として切なかった。情けなかった。
 
「いい?行くよ、、、、、典子、怖かったら車ん中でジっとしてなさい、、、、怖くて会いたくないだろうけどこうしないと自分に一生負い目を感じちゃうから。、、、今日、、きょうだけ我慢してお姉ちゃんの言うこと聞いて、、、、、怖さに勝たなきゃダメ!」
 
普段、〜しなさい、など、そういう会話は家でもしたことがなかった。姉として自然に出た言葉で、今夜このような行動をしなければならない理由、というのも妹より少しだけ経験のある人生を生きてきたからこそだった。
このまま泣き寝入りすることも出来なくはない。でも、それは妹、また、その事実を知った自分にも小さなクサビとなって一生涯どこまでもシコリのように残ってしまう気がした。逃げちゃダメ・・・・・今日で終わりだからね・・・・・・・・・・典子・・・・・・
 
ルームミラーを見ると涼子と理緒が震える典子を挟むように手を握ってくれている。はじめ、男友達に頼もうと思ったがそれには典子のことを話さなければならなかった。女だけ、結局、加奈の最も信頼のおける友達だけでやろうということになった。
当然、警察に行くことも考えた。でも、そんな女のささいな抵抗でさえも、妹が未成年なことから両親に言わなければ始まらないだろう。その後、思い出したくもない記憶を詮索され、過酷なまでの聴取を受けるだろうということは容易に想像できた。
 
迷っちゃダメだ。もうこうするって決めたんだ。
ゆっくりキーをまわすと思いのほか大きなエンジン音が唸り、加奈は覚悟を決め素早くアクセルを踏み込んだ・・・・・
 

 
今度から鍵は掛けないでおこう、そう、謙也は舌打ちしながら思った。ただでさえ人気のない通りにある古本屋のチャリンコを盗んでいく奴なんかいねーよな、と。
叩きつける雨の中、やっとのことで4桁の数字を合わせるとパーカーの襟を立てサドルに座る。ヌメッと濡れた嫌な感触がGパンごしに伝わってきた。
と、その時、猛スピードでこちらに向かってくる1台のバンが目に入った。8人乗りらしいどこにでもあるファミリーカー。それが自分の横に急停車した時にはビックリして腰を抜かしそうになった。あと50センチ近かったらハネられていたかもしれない。
 
「な、、、、、なんだよっ!、、、、、アブネー、、、、、」
 
運転席と後部のドア、計3つが同時に開けられ中から人が降りてくる。謙也は半ば焦りながらもそれを、ただ呆然と眺めていた。
間違いなく自分を対象にしていることが分かると無意識に数歩あとずさる。
暗がり、しかもどしゃ降りの雨の中だったが全員、女、ということだけは分かった。
 
「アンタにちょっと用事あんだけど、、、、、、、、、、乗ってくれるかな、、、、、、、いいから乗んなよ」
 
誰が言ったのか定かでなかったが多分運転席から降りてきた女だろう。口調こそ穏やかだったがそこに云無をいわせぬ何かを感じた謙也は身を固くした。自分を見る目だけが自販機のうす明かりに反射している。な・・なんなんだよ・・・・・・・
だが全員女と分かるといくぶん心が落ち着いてきた。そう思った次の瞬間、目の前に火花が散った。
 

 
車に連れ込むまで手荒なことはしたくなかったが、妹をレイプした男の子を見た直後、抑えきれない怒りが加奈を突き動かした。
ビンタされた男の子は髪から雨を滴らせながら訳の分からない顔をしている。自分がなにをされたかもよく分かってないらしく数秒してやっと痛みに歪んだ顔になった。
ここでグズグズしてる暇などない。年下とはいえ、力では女の子3人でもかなわない。加奈は精一杯こわい顔をして凄み続けた。
これからどうしようかと思ってる、その時、思いがけず隣で涼子が不良ぽい声で脅してくれた。
 
「いいからとっとと乗れよな!、、、、女の子雨に濡らしてんじゃねーよ!、、、なぁ!?、、、私もブッてやろーか?、、え!?」
 

 
夜中、人気がない道路とはいえ、外で女の子にブたれる、という行為は高校2年の謙也をひどく恥ずかしい思いにさせた。なによりこんな大声で複数の女の子と言い争ってるのを店長に見られたくない。勢いに押されるまま後部席に乗るしかなかった。
カシャ・・・・・最後の一人が乗ると同時的に全てのドアがロックされた。解除しようにもチャイルドロック式のそれは運転席側に操作パネルがある構造らしい。自分を挟むように2人の女が体を押し付け身動きできない。そう感じてすぐ、背中が背もたれに叩きつけられるほどの勢いで車が急発進をした。
車に乗る直前、3シートの一番奥に人影があったのを思い出した謙也は首をひねって後ろを向いた。
 
「、、、あっ!?、、、、の、典子、、、な、なん、、、、、お、お前、、、、なんのマネだよっ!!」
 
しかし、そう言って、すぐあることに気づく。運転席にいる女は典子をそのまま大人にしたようで誰が見ても姉妹だった。ほぼ同時になぜ、自分がここに居るのかを謙也は初めて悟った。
バックミラーから自分を睨む目は大人の女を感じさせ彼を消沈させていく。
 
「妹にヒドイことしてくれたじゃない、、、、、、え!、、、、聞いてんのかよっ!!」
 
怒りに満ちた顔や性格は典子と全然違う気もしたがキレイ、ということだけは車内の薄明かりの中でも分かった。
 

 
「おとなしくしてろっつーの!!、、、これからお姉さん達、、、君を味見してあげっからさぁ、、、典子ちゃんにしたようにね」
 
涼子は高校2年という男子を拘束している時点で自分の体が熱く火照ってるのに気づいた。大人にはない汗臭いホルモンがプンプンしてくる。実際、OLになってから高校生などと話す機会もなく興味本位と言っちゃなんだが、そう、たいした正義感もなく軽いノリで加奈の頼みに付き合っただけ、そういう思いが彼女にはあった。
 
彼氏と別れて半年。仕事が終われば誰も居ないアパートに帰ってもすることなんかなく、風呂入って寝るだけの毎日。誰からもかかってこない携帯を眺めては撮ってあったビデオを見るだけの毎日。唯一楽しみだった近所のエステもなにかの事件とかで入会金だけ取られて潰れてしまった。ジムには入ってはいるが疲れ切った体でヨガをさせられてから行くのがメンド臭くなった。
たまにメールが来るかと思えば田舎のママからで誰それが死んだとか死なないとか。あたしってなに?なんのため生きてるの?
久しぶりに会った昔の友人にTELしようかとも思うのだが、こっちからすんのもなんだかシャクに触る。してこいよなぁ。
 
それにしても、、、ニキビだらけのクソ生意気なガキを連想してたが。まるで予想と違う。その、予想以上の容姿の男の子を服従させるこの快感。日常にない快感。車内という密閉された空間で涼子は自分がより過激に、そして淫らになっていくのが分かった・・・・
 

 
運転してるせいでチラチラとしか見れなかったが不安に満ちた謙也という高校2年の男の子は、なるほど。妹が惚れることだけはある今風のスッキリした顔立ちだった。うなだれた体は緊張と戸惑いでかすかに震えている。その両腕を涼子が作戦通り、逃げれないようしっかりロープで結んでいるのがミラー越しに確認できた。
今のところ、自分のやった罪のせいかおとなしくしてるが、いつ暴れ出すかわかったもんじゃない。
加奈はこの謙也という子よりも典子の様子の方が気になった。不安気ながらも形のいいまぶたをパッチリ開いて事の成り行きを見ている妹。
赤信号、止まっている、という行為。加奈は一度静まりかけた怒りがフツフツと沸き上がってくるのを感じた。
一発ブッちゃえばいいのよ・・・・・・ブッちゃいなって・・・・・それぐらいのことされたんだから・・・・・ねぇ、典子・・・・・・・
 

 
そんなきつく縛んなくていいのに・・・それじゃちょっと可愛そうだよ・・・涼子が男の子を縛りあげていくのを見ながら理緒は思った。
それと同時にここまで来てしまった以上あと戻り出来ない覚悟が自分の中で形成されていく。
レイプされた典子ちゃんをその加害者に会わせる・・・・・・初めそう聞いたとき理緒は加奈に反対した。
 
「そんなことしたら、、、典子ちゃん可愛そうだよ、、、そっとしておいてあげた方いいんじゃ、、、」
 
だけどそれがホントの優しさかどうか理緒には分からなかった。古本屋で待ち伏せしてたとき正直、彼には裏口から出ていってもらいたかった。なんだかんだ言って自分が面倒に巻き込まれたくないだけなんじゃ?そうゆう思いにさっき気づいた。恥ずかしかった。
 
赤信号で止まっていた運転席から突然加奈が男の子に向かって何か叫んだ。・・・・・・・・・ピシィィッ!!
身を乗り出すようにビンタをかましていく・・・・・ピチィィィッ!!何を言ってるのか分からないほどの怒り方は6年間付き合って初めて
見る加奈の姿だった。涼子も目をそむけている。
自分には兄しか居ないが私がレイプされたらあんなに怒ってくれるだろうか。普段生活していてとてもそんな風には見えない。
なに、オマエやられちゃったの?で終わりそう。いつもと違う加奈を見ながら、ビンタされる男の子をやっぱり可愛そう、と思う自分がいた・・・・・・・
 

 
「ね、、加奈、信号青だよ、青!」理緒からそう言われてもブツたびに忌々しい憎悪が募っていく。妹がどんな気持ちでレイプされどんな気持ちでその日を過ごしたか。そう思えば思うほど怒りが増すことはあれ静まることはなかった。
痛みに歪んだ顔をしてるが、妹の痛みはこんなものじゃなかったはずだ。あとあと話しを聞いたら場所は体育館裏の茂みの中だったらしい。そんな不潔な所で土まみれにされ侮辱を味わった典子の傷はこんなものじゃなかったはずだ。
 
ブたれながらもこのふてぶてしい態度。なに?チェッ、って!?しかもニヤッ、と笑っている。ナメてんの?
今まで「ごめんなさい」「すみません」の一言もなく、それがさらに自分の怒りに火を付けていた。妹と同じ高校2年。
年下だから多少は手加減してこれから典子みたいな思いをする子がないようきつく注意して解放するつもりだった。
昨日の夜、みんなでチューハイを飲みながら酔っぱらい、冗談混じりに「ソイツ、襲っちゃおっか」と言ってたことが現実味を帯びてくる。「しちゃおー、しちゃおーよ」と涼子が言ってたが、今の自分はとてもそんな気分にはなれなかった。
 
腕の1本でもどうにかしてへし折ってやりたい。鼻血が出るほど思っきり殴ってやりたい。どんなかっこ良くても、年下でも、加奈には謙也が野蛮な一人の男性にしか見えなかった・・・・・・・
 
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日中なら草野球やランニングする人もいるだろうが、午前1時をまわった河川敷に人影はなく、砂ぼこりをあげた1台のバンが止まるとヘッドライトがおとされる。虫の鳴き声が虚空に響くように辺りにこだました・・・・・・・・・
 
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チクショー、こんなビンタしやがって・・・・・この姉ちゃん相当コーフンしてんじゃん。マジいってぇ。なんなんだよ。どこだよここ。
あー確かにヤったよ。ヤリましたよ。でもよ、ソレってそんなイケネーことかよ。普通に付き合ったってヤるんだぜ。
ちょこっと乱暴にヤっただけじゃんよ。つーかコイツも気持ち良かったんじゃねーの?典子、おまえこんなことしてよー。俺が学校中に言いふらしたらどーなんの、おまえ?言っちゃうよ、おれ。ネーちゃんはいっつも学校に付いて来れねーよな。
そう思った謙也だったが言葉にすることは出来なかった。そのお返しにブたれても効いてないフリをしてうす笑いをしてやった。
 
どうにかこの車から抜け出す算段を練っていたが、ロックされてる以上どうなるものでもない。女だけとはいえ手足が拘束されてることを思えば逆らわない方が身のためだ。ここはとりあえずうまく取り繕ってチャンスが来たら逃げよう、そう、謙也は思った・・・・
 

 
さっき赤信号で止まっていた時。姉が謙也をビンタする様子を可愛そう、と思う気持ち半分、ザマァミロという気持ち半分で典子は見ていた。でも、それで自分の何かが解決したか、といえばそうでもなかった。
自分としてはすでに過去のことだし、こうゆうのは自分でケリをつけなきゃ前になんて進めない。自分はお姉ちゃんが思ってるほど子供でもない。なにより妊娠してなかった、ということが区切りをつける1つの材料になったのは事実だった。
まったく見ず知らずの男からレイプされたのと違い少なくとも謙也も私も知ってる同士だ。自分が好きになり、告白し、形だけの付き合いの上、犯された。ただそれだけ。そう思うことに決めたんだ。別にそれまでは好きな人だったし。
 
「も、、、、もぅイイよ、、、、、お姉ちゃん、、、そんな叩かないで」
 
自分でも意外なことを口走ったと思ったが姉には聞こえてなかった。あんなお姉ちゃんは初めて見た。いつも優しくてだいたいのことは許してくれる。小さい頃、自分の罪をかぶってくれたりもした。昨日の夜みんなと話してる時だって「ソイツさぁ、、姉ちゃん懲らしめてあげんね」って、そんな乗りだった。
形の整った顔立ち、スタイルは私にとっていつも自慢だった。女としての目標だった。困った時は、まずお姉ちゃんに相談する。
するといつも自分に的確な答えを導き出してくれた。
だけど・・・・今回はちょっと失敗だったかナ・・・・・・・・そう思う典子がいた。
 

 
人気のない深夜の河川敷は全くの闇で、遠くに幹線道路から伸びる橋が見え、忘れたような間隔で数台のトラックが走っていく。
もし、車外で大声を出しても誰の気にもとまることはないように思えた。そうした副作用が、次第に、まだ若い高2の謙也の気持ちを不安色に浸食させていく。
 
車が停車してすぐ、鉄の味が口内にゆるく広まっていった。鼓膜が高い音を出し耳鳴りとなって響いている。
初め、謙也は謝るつもりなどなかったのだが、典子の姉がエンジンを切ってすぐ、振り向きざま、またビンタしてきたのには参った。
謝って済むなら謝った方が得。ここに来て謙也は大きく自分の考えを軌道修正しはじめた。
 
「ワッ、、、ゴ、、ごめんなさぃ、、、」   「あ?、、なんだって!?、、」
 
隣の涼子と呼ばれる女が股間をギュュッ、と握ってきた。「イッ、、いたっ!、、、ごめんなさぃ、、すいませんでした」
「私達に言ってもしょうがないでしょ!、、、妹に言いいなさいよっ!」典子の姉はアゴで後ろにいる典子を指しながら言った。
 
「の、、のり子ちゃんゴメンな、、、へへ、、、ごめんごめん」
 
直後、脇腹に涼子のパンチが刺さった。謙也と典子を除けば全員23歳。大人の女として見た場合、この男の子がひどくかっこ悪く見え、同時に幼く映った。
典子の姉は怒ったのか一度全員車から降ろすと座席を全部倒しだした。すぐに車内に3畳ほどの空間ができあがった・・・・・
 
「もうイイから全部脱がせちゃおうよ!、、、こうゆう奴には涼子の言うとおり体で教えてあげるしかないみたいだからっ!」
 

 
な、、なんで?、、、なんでそんな謝り方するの?それはヒドイよ・・・・そうじゃないでしょ、男って。確かに女の子に頭を下げるのは嫌なことだろう。でも、自分がした罪を認められないのはもっと醜い。理緒は典子にヘラヘラした謝り方をする男の子に軽蔑のまなざしを向けた。ホント・・・私もビンタしたい。理緒は初めてそう思った。
加奈を見ると怒った顔で座席を倒しだしてる。ごく自然に手伝うことに、理緒は初めて行動を積極的にやってる自分に気づいた・・・
 

 
うわっ・・・サイテー。なに、コイツ。涼子は謙也の脇腹をパンチしながら、そう思った。と同時に自分の高校の頃を思ってみる。
高校の頃の男の子。確かになんにでも反抗してたかもしれない。反抗する美徳みたいなもんがあったかもしれない。けど、ツッパリだって筋が通っていた気もする。弱いもんじゃなく強いもんに向かっていってた気がする。今みたいに陰湿じゃなく堂々と喧嘩してた気がする。そーゆー奴に惚れたような気もする。そーゆー奴にだったらどこまでも付いていけた気がする。
 
そこはさ、、、謝るとこだろーよ。涼子は昔の甘い思い出を一瞬思い出していた・・・・・・・・・
 

 
最後ぐらいちゃんと謝ってほしかった。一言、心から「本当にすみません」と言ってくれるだけで妹の傷ついた気持ちは時間と共にゆっくり溶けていくはずだった。今、そう言ってくれれば涼子のいたずら程度で終わらせ古本屋まで送ってあげるつもりだった。
 
少なくとも典子は君のこと好きだったんだよ。なぜ、それを分かってくれないのか。謝ってさえくれれば、あ〜そういえば昔そんなこともあったよね、って、そんな高校時代もあったよねって、時間が解決してくれるのに。
なのに彼はヘラヘラしたうす笑いで妹をさらに冒涜した。いくら同級生でもちゃんと謝れないの?妹は唇をキュッ、と締め、悲しそうな顔になった。もう、もう許せない・・・・許せないよ・・・・・
 
こいつは多分このまま解放したら典子を強姦したことを言いふらすだろう。そんな奴だ。そうに決まっている。
そうさせない為の手段。ソレを実行するしか方法がなかった・・・・・・・・・
 

 
やっぱり謙也がまともに謝るはずなんてない。でも、どっかで少し期待してたんだよ。
あの時の謙也は荒々しくってケダモノみたいで私にとって不快でしかなかったんだよ。私だって馬鹿じゃない。謙也に彼女いることも知ってたし私にあんま気がないのも知ってた。でも、好きだったから・・・・・私も悪いの、ホントそう思う。でもね、好きって気持ちは捨て切れなかったんだ。横取りって悪いことだと思うけど、その女の子と喧嘩してもいいって思った。学校で無視されてもイジメられても謙也だけ居てくれればいい、そう思ったんだ。
 
だから、あのとき私を好きだよ、抱きたいよって言ってくれれば全然違ったんだけどね。いきなり押し倒して・・・・・・あれからなんか男見るだけで怖くなっちゃって。ううん。謙也が怖いんじゃないんだよ。それはないから・・・・・
初めはね、お姉ちゃんにも黙ってようと思ってたんだ。でもね「妊娠してるかも」って思ったときどうしていいか分かんなかった。
もし、もしだよ。レイプのこと学校で噂んなっても、あのとき、謙也を好きだったって気持ちは本物だったから・・・・私、耐えられると思うんだ。謙也、きっと我慢できなくって言っちゃうよね。でも、それは付き合ってる人の邪魔をした罰なんだ、きっと。
 
 
全ての語句を声に発っしないまま、典子はただ唇をかみしめ続けたていた・・・・・・・・・
 
 
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