なにゆえ、かようなことになったのか皆目見当もつかぬ。師の教えなればいかにようにも策をたてられしも、属国のような場なれば己の才覚ではいかんともしがたい・・・・・・・
ラブホテルの一室、文之門は明神菊紋の彫られた小太刀の柄に手をやりつつ周囲を警戒しながら身を固くした。
草履のすれる音が羽虫のような音をたて、複数の音色が混ざったハヤシが鳴る【からくり箱】に全神経を集中させる。
「ええい、、、すでにそこにいるのは分かっておるわ!、、、出てきて名を名乗れぃ!!名を名乗られよと申しておるっ!!」
「だからコワイって〜!、、だめ、刀なんか持ってちゃ、、はやく脱いでよぉ、、それ、スピーカーだから人なんて入ってないの!」
「この小さい方の刀、、、イケてるよねぇ。可愛く花とか彫られてるし〜、、、ね、、ね、、、ちょっと見して、、あ、かわいい!」
な、なにを無礼な!・・・・やはり敵国!!よもやかような方策で囲まれるとは。音からすると箱内に数名いるのは火を見るより明らか。
なっ!?・・・・小太刀を返されよ!!・・・・問答無用!・・・・・・・・・斬る!!御免!!
武士にとり刀は命の次に大事なものであるのは自明の利。女子供が武家の宝刀に触れるなぞ万死に値せし、親兄弟ひいては血筋の者までも斬首の沙汰が下ろうぞ。おなごを斬るのは本意に反するがこの者達の無礼の数々、よもや我慢ならん。
今一度土下座し忠義を似って詫びるならば我の心の鞘に納めようも、そなた等から、かような態度、微塵も感じぬわっ!!
キャアアアアア!!・・・・・女子供の悲鳴、いつ聞いても忍びなけりも、これもまた世のならい。覚悟なされよ!!
侍としての本能。鈍い光を放った名刀は音もなく抜かれ、真横から払うように閃光がほと走る・・・・・ガツンッ!!ポキッ!!
な、なんと・・・・・・先々代から受け継ぎし名刀【暁】がなにかにぶつかり根本から折れたではないか。やられた・・・なんという策師。
かような狭き間に誘い込み【長刀】を抜かせるとは・・・・よほどの手だれと見えた。この文之門、感服つかまつった・・・・・
小太刀はそなたの手中にある。もはやこれまで。煮るなり焼くなり好きにするがよい。情けは無用じゃ。皆の者、あとは頼んだぞ・・・
父上・・今参りまする・・・座を正しゆっくりまぶたを閉じる。この者達、足元から見れば【くの一】のように見えなくもない。
「ってゆーかさ、、、なにしてんの?あぐらなんか組んで、、あ〜ぁ、、せっかくの刀折れちゃったね、、、はい、コレ返す」
言葉の意味がよう解せぬ。さもありなん。腹を切れ、ということか。出来うることなら介錯つかまつりとうございますれば、おなごに情けを受ける言われはない。はよ首級を取るがよい。代々から伝わる小太刀で首を取られるはこれもまた本望。
「いいや、、、そち等の戦術、見事の一言に尽きますれば敵ながら感服つかまつった。いずこの藩と名乗らんば彼の地の忍びの者とお見受けした。拙者の命ももはやこれまで。さすれば死にゆく者の戯れ言なりて、拙者の命が絶たれるは本意なれど家々の者達に微塵の罪もござらん。この文之門たっての願い。どうか平に、平にご容赦願いたい」
「ここのシャワーちょっと熱いんだよねぇ、、、キャ、、やだ〜、そんなとこ触んないでよぉ!、、、、、キャイキャイ」
重い目蓋を開けると誰の姿もない。湯の弾く音が聞こえてくる。目の前には小太刀・・・・・なんと、なんと義に厚い、かような計らい。
命を賭け、修羅場のようないくさ場で敵方に温情を持つことほど難しいことはない。それは敵方とて同じこと。齢二十歳と実戦はまだまだ浅いが、経験からそれを知っている。
文之門は考えた。海のものとも山のものともつかぬ辺鄙な地。聞けば今は平成という時代らしい。なにを笑止千万な。
初めこそ、そう思えたが戯れ言にしては不自然すぎる。
よもや余の国が年を数えること四百余り、このようになろうとは。喜々とした感情よりも、なぜかもの悲しい寂寥感が募ってくる。
だが、このような時代の狭間に、かような志を持った者がおるとは。なるほど。
かような者なれば礼をしないのもうなずける。おなごと思い魔が差した。さすれば生きて恥を知れ、ということか。参り申した・・・
見ると一糸まとわぬロウ細工のような二人の裸体がある。正体の分からぬはそちらから見ても同じことであろうに。裸になる、ということはもはや拙者を敵としては見てござらん。なんと懐の大きいなこと。おなごと言えどなんとあっぱれなことか。
言葉にしない所が武士のならいなれば、そなた達の思い、ひしひしと伝わってこようぞ。それがし、恥ずかしい限りでござりまする。
こうして見ると顔つきは姫殿に似てなんと綺麗なことか。義を以って義に応えねば。
「そなた等の温情、しかと受け止め申す。なれどこのまま帰ったとあっては末代までの恥。拙者に出来うることなればなんなりと申し承りましょうぞ。拙者が仕えし村井家軍師、忠野浅道様にもこれとない土産話しになりましょうて」
武家屋敷の曲がりなりにも長たる者が、正体の分からぬ子女達に深々と頭を下げる。
だが、己より秀でた才覚の者、更には自分の一度は覚悟した命を温情を持ち反故としたのは他でもない、このおなご達なのだ。
文之門の改まった礼節は当然と言えば当然だった。
「ハァ〜?、、、ちょっとさぁ、、ジブン絶対やばいって。でも、言うこと聞くってんならぁ、そこに寝てくれるかナ?」
「なにをなされるおつもりかは知らぬがそなた等しか知らぬ策があると見え申した。どのような秘術体術にもこの文之門、もはや驚きますまい。」
文之門は戸惑いを覚えつつも身の沈むような寝具に横になる。するとおなご等は左右の手首足首を縄のようなもので結んでいくではないか。大の字になった文之門は一瞬おなご等の目に不穏な光が宿るのを見た。
物の言い方が気のせいか前にも増しておなごらしさを感じさせる。
「ア〜、、、やっぱお侍さんってイイ体してるぅ、、、、でも、すごい今風の顔なんだよね、、、、、んぁ、、、、、濡れてきたかも」
武家の主ともなれば楼屋敷で興じられている女遊びのことは経験がなくとも噂を小耳に知っている。だが同時にお家の気風を保つため、そのような行為は御上の法度により固く禁じられていた。
よもやここが、かような間だったとは。文之門の履く裾の広い袴からでもその【長刀】は重い首を起こしてくる。
「ア〜ン、、おっきぃ、、、舐めちゃお、、、ペロペロ、、」 「ダメ〜、、、あたしにもぉ、、、アンッ、、、かったい〜、、チロチロ」
「なっ!?、、なにをなされるっ!?、、、そのようなものを口に含むなぞ、、アッ、、やめ、、、やめたもう!、、やめたもうぞ!!」
なんとしたことか。男子を縛りおなごがかような淫靡な戯れをするなど、どの書物を紐解いても記されてない。武家の士族として生まれ、武士として今日明日の命が分からぬひっ迫した毎日を送る文之門には目の前で行われてる色事が夢のように思われた。
下女を顎で使うことはあっても、固く拘束された自由の効かぬ体は今どのようにされても止められたものではない。同時にその憤慨と情けなさが武士としての【定義】を踏みにじっていく。
「ぶ、、無礼であるぞ!!、、ぶ、、、っンアア!、、、、そ、そなな達、、、なにをやられているのか分かっ、、て、、、カハぁ、、ん」
固く反り起ったものが柔らかい口内に吸い込まれ、矢じりの部分を舌先でなぞられると武士としてあるまじき喘ぎ声が自然に口をついて出てくる。その、自分の出す喘ぎ声が武家に伝わる威厳と風格を削り取り、得体の知れない羞恥な陰影を濃くしていく。
「なにぃ?やめてほしぃの?、、、どうなのオサムライさ〜ん、、、、、ほらぁ、もっと奥までくわえててあげる、、、ブプゥぅっ」
おなごを組み敷き強姦するは大罪なれど、かような法度はあっただろうか。袋と竿が同時に二人のおなごの口内でもて遊ばれると狂うような感覚で一気に下半身が震えだした。
首をもたげ、おなご等の方を見ると、さきほど話していた時とは違いなんと妖艶なことか。
「アアッ!!、、そ、のような、、、、、おか、っ、、、おかしくな、、、る、、、、、、、、、!!っ、、、、、カハっ、、、ん!!」
あろうことか、我慢できない快感はおなごの口内に白濁の液となって勢いよく噴射され、縛られた肉体をのけ反らせる文之門。
外地から伝わったという氷菓、水ようかんの断片にも似た精液の塊が肉棒に付着し、それをも舌先に絡めるとズズッ、と吸い取る女の様子は文之門にとって初めて見る驚異だった。
今まで袋を舐めとっていた女が自分のものを片手に取りゆっくりと身を沈めてくる。ヌプリとした粘着質な音。
「あっ、、ん、、、、イイッ、、、、おサムライさん、、、イイっ!!、、、、、、かってに腰うごいちゃう、、、、ンンッ、、あん」
「な!?、、、、なぜじゃ!?、、、なぜにかような、、、、、、、、、ンンンッ、、、、かはぁっ、、、、、、や、、やめ、、、、」
文之門が悶えるたび、長く結わえられたチョンマゲが左右に激しく揺れるが拘束された手足が動じることはなかった。肉体が沈み込むほどの寝具は女が動くたび古弓のような音をたて、もはやどうすることも叶わなかった。
上に乗る女の表情は美しいほどに熔けかかり、波打つ快楽に崩れる肉体を懸命に支えていたが、一年に一度おこなわれる【やぶさめ】に参じる姫君を強く連想させ、どこか、馬に乗る凛々しさをも漂わせていた。
とりわけ、寝具の軋む音が身動き出来ない自分をあざ笑うかのように武士の精神を決壊させていき、おなごの白蛇のような腰使いに気が遠のいてくる。
「やっ、、、参った!、、このような体術、、、、、見事、、、、、参ったと申しておろうっ!!、、、、んんっアッ、、、やめっ」
米粒ほどの汗をかきながら必死に訴えるも、女の表情は何かを求めるように切なさを増していく。
「ぁん!、、ぁん!、、、ぁん!、、、、、、ダメッ、、わたしイクまでダメなのっ!、、、、、、ガマンしてっ!!」
今までクネらすよう動いていた腰が次第に突き刺す、激しい動きに変わっていく。それと共に寝具が壊れてしまいそうな深い音色に変わり、責められている感覚を覚えざる得ない。
己の耐える顔付きを見られているサマは、文之門の武士としての誇りと威厳を瞬間的に奪い去った。
「、、、、いく、、、イッてしま、、、、、、、、、、ンンンンンッあんっ!!!、、、、、、、、くわぁっっっン!!、、、んん」
その声を聞き、グッタリした文之門を見て満足したのか女は小さく震えたまま舌舐めずりをした・・・・・・・・・・
文之門、、、、、彼はまだこの時代に居るらしい・・・・・・・・
完