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落城前夜 (5)
落城を目前にした笠松城内。その奥御殿では明日のない女達によって、この忌まわしい運命に対する復讐劇が続けられていた。普段はきらびやかな衣装を身にまとい、格式や様式にがんじがらめに縛らている腰元や奥女中達が、密かに引き入れた少数の男達を拘束し、まさに淫乱の限りをつくしていた。
城中奥御殿、上の間。
ここでは、身分の高い8人の腰元によって3人の小姓が嫐られていた。小姓とは殿様のお側近くに侍り、殿様の日常の雑用をこなす役目。まだ元服そこそこの若く美しい若侍が勤めている。当然奥方様のお側に侍る腰元達にとって、彼らを普段から目にする事も多く、密かに恋心を抱いている者も多い。
部屋の周囲のふすまが全て取り払われ、ひのきの太い柱に立ったままの姿勢で縛りつけられた山下庄九郎、鷺沼欣二郎、田辺龍之介という3人小姓達。庄九郎と欣二郎にはそれぞれに2人の腰元達が、龍之介にはなんと4人もの腰元が群がっている。それぞれにもう幾度となく射精を繰り返していた。
「お、お志乃様、お戯れは・・・もう・・」。
「あうう・・・、また出てしまいまするぅっ!」。
「どうかご容赦を・・・な、何卒、なにとぞ・・・あああっっ!」。
3人の小姓がそれぞれに上げる悲鳴に、腰元共はさらに責めを激しくさせていく。身分の高い腰元達の事、決して彼女達の装いが乱れるなんて事はない。彼女達はただ飽く事なく、手で彼らの射精を誘うことだけで満足をしていた。
「ほほほっ、面白うてかなわぬぞ。ほれ、また出そうじゃ・・」。
「ほんに誠に元気者よのぉ。それどうじゃ、気持ちがよいのであろう?」。
「こりゃ龍之介、そなたの好きなお喜代殿が触っておるぞえ、どうじゃどうじゃ、もう我慢ができぬであろう」。
「あぎゃあああっ・・・も、もうダメでござりまするっ・・・ああっ」。
体をピクピクと身もだえしながら龍之介が、その日10回目の精を噴き上げる。目は落ちくぼみ半分白目をむいている。
「なんじゃ、だらしのない男じゃのぉ。そんなことでは立派な武士として、城を枕に討ち死になど出来ようか。吾らを楽しませてこそ本当の武士という者じゃ」。
「そうじゃ、そうじゃ。もっと頑張ってたもれ。わらわ達みなを楽しませてもらうのが、そちの今宵の勤めぞ。こんなことぐらいで根を上げる事は許しませぬぞ」。
「お志乃さま、ご心配は無用かと。ほれ、こうすれば・・・・」。
「ほほほっ、ほんに龍之介は果報者よのぉ、笠松城きっての美女に囲まれて、己のモノを柔らかくするヒマが無うなってしまったようじゃな」。
「このぶんでは、まだ数回はお勤めができまするな」。
「ほほほっ、うい奴よのぉ、では次はわらわが嫐って進ぜよう・・」。
「ぎぇぇぇぇっ・・・もう、もうご容赦をっっっっ!」。
龍之介の天国のような地獄はまだ始まったばかり。
城中奥御殿、萩の間。
ここ萩の間と、隣の桐の間には、奥に勤める女中達のために6人のお側用人が用意されていた。用人とは足軽身分の者達の中で、城詰め武士達の雑用をこなすために雇われていた小者達の事だ。足軽という低い身分のため、常日頃から城詰めの女中達からも軽く見られ、便利使いとしてこき使われていた。
ただここに集められた6人は、年格好もさまざまな用人の中から、御殿付き腰元の多恵が選び抜いた、よりすぐりの6人だった。まだみんな年若く、御殿女中達の噂の端にのぼることもある、年齢18歳ぐらいの美形の若者達だけが集められていた。
萩の間に3人と桐の間に3人、みんな褌ひとつだけの姿好にされて、天井の梁に通した荒縄によって、宙づりに近い状態で拘束されていた。そしてそれぞれに沢山の女中達が群がり寄っていた。
みなお酒の勢いもあってか、やりたい放題に、普段ではとても出来ないような大胆なことをしている。嫌がる男の口に吸い付き舌を入れ、平板な男の胸に吸い付き、つねったりくすぐったり、お尻の穴に男根を模した玩具をねじ込む者までいる始末。そのたびに男達からは悲鳴があがる。
「お、おやめくださいませっ」。
「あひゃあああっ、ご、勘弁を、ご勘弁をっ・・」。
「ど、どうかこの戒めをお解きくださいませっ、ああああっっっっ!」。
それぞれに男達があげる悲鳴が、女達の被虐心をさらにあおっている。しかし男達にとっては、両手高く縛り上げられて、その責めから逃れる手段を奪われている訳だから、ただ身をくねらせることと、悲鳴を上げることぐらいしか、抵抗の手段がない。
しかも群がり寄ってくる女達の数が多すぎる。一人の男に対して10人もの女中達が一斉に群がっているわけだから、全身あますところなく身体中を女達によって嫐られ続けている。これは上の間の小姓達以上に過酷な状況といってもよい。
その中で萩の間にいる茂吉は、ことのほか過酷な状況に陥っていた。彼はこの6人の中でも別格の存在だった。色白で目鼻立ちがハッキリとしており、均整のとれた締まりある肉体をもつ彼は、奥女中達の憧れの存在でもあった。夜になると臥所の中で、彼のことを想いながら自慰行為にふけった女中も多かった事だろう。
それほどの人気を誇る茂吉であったが、それはあくまで奥御殿の中での秘事。女中達の間でそのような噂がたっていることなど、茂吉本人は当然知るよしもない。そもそも他の用人達と違って、彼だけは事前の交渉も何もなく、半ば拉致されるようにして連れてこられ、気が付いた時にはすっ裸のままで(褌すらもつけさせてもらえず)、天井の梁からぶら下げられていたというわけなのだ。
自分がどうしてこんな目に遭うのかを、他の同僚である用人達に問いただしてみても、誰も何も教えてはくれない。同じように天井からぶら下げられていたが、明らかに彼等は今から何が行われのかを薄々知っているようだ。しかし茂吉の問いに対してただ、ニヤニヤと含み笑いを返すだけだった。
そして唐突に障子が開け放たれ、たくさんの女中達が乱入してきた。続々と入ってくる女中達が、それぞれにお気に入りの用人達に群がっていく。さっきまでニヤニヤ笑っていた用人達も、この予想外の出来事に面食らっている。
「こ、これは、これはいったい・・・」。
「ああっねちょいと、男、お待ち下さいませっ・・・」
「あひいいっ、な、何のまねでございますかこれは・・・」。
多恵から今回の役目を命じられた時には、ほんの数人の欲求不満の女中達の相手をすればよいと軽く考え、助平心一杯で引き受けた者共だ。天井の梁から褌ひとつで吊されても、所詮はおなご共の考える事ゆえ、これも変わった趣向のひとつであろうと警戒心もなく楽観的に受け止めていた。
ところがこの狼藉は、彼等が期待していたような、好き放題に複数の女を抱けるというような生易しいものではない。何人もの女達が一斉に一人の男に群がり寄り、奪い合うように乱暴の限りを尽くす。手込めにされる対象は女達ではなく、彼等自身だということに気がついた時には、もはや後の祭りだった。
それでもまだ、茂吉を除く5人はまだマシだったといえる。もちろん彼等とて10人もの女達にとり囲まれ、休みなく責め続けられている。その辛さはいかばかりかと想像できるが、茂吉の辛さに比べたら、それはものの比ではない。
桐の間にやってきた女中達の中には、初めから茂吉をお目当てに訪れた者が多い。落城を目前に、明日をも知れぬ今生の別れに、常日頃から憧れを抱いていた茂吉に対して、想いを遂げようと考えた女達がいかに多かった事か。それが茂吉に一斉に襲いかかってきたのだからたまらない。
「ああっ、茂吉さまっ」。
「わたし、わたし、お慕い申し上げておりました」。
「おお、もうさまのお手のぬくもりを感じまする・・・」。
「ああ、ああ、ああっ・・・」。
「いやぁぁぁっ、茂吉さま、茂吉さまっ・・」。
「ひぃえーーーーっ、ご勘弁をっ、こ、こわいっ・・」。
茂吉の上げる悲鳴など、女達のあげる興奮した声の中に簡単に埋もれてしまう。興奮した女中達は、少しでも茂吉の肌に触れようと、我先に着物を脱ぎ捨て、白い素肌を密着させる。熱い息と汗がないまぜになって、妖しいムードが茂吉を中心に回り始める。
女達の目は既にうつろになり、茂吉の周りでは誰彼となく互いの身体をまさぐりあう。それが茂吉の身体であろうと、女同士であろうとお構いなしに、愛欲の渦となってどんどんと肥大していく。みんなの密着度がさらに上がって、中心部分では息も出来ないぐらいの肉のかたまりが出来上がっていく。
プツン・・。あまりの重量に耐えきれず、梁に通してあった荒縄が切れる。
「「「「「きゃああああーーーーーっ」」」」」。
女達の悲鳴があがり、どおっと茂吉を中心にした女体の固まりが畳の上に横倒しになった。しかしその女体の固まりは解けることなく、横倒しになったままでさらに輝きを増すかのように、妖しくうごめき続けている。
「・・・・・・・・!!!」。
茂吉はその女肉の中心で、何度も悲鳴を上げたつもりだった。しかし誰のものとも知れない舌先が口腔いっぱいに侵入し、声をあげることすら叶わない。360度、右も左も上も下も、全て女、女、女・・・。肉布団とはこういう状態をいうのだろうか。
もとから褌すらも剥ぎ取られ、裸のまま吊されていた茂吉の下半身は、おびただしい精液を吐き散らし続けていた。決して誰かの膣内にくわえられたという訳でもない。全身を覆い尽くす女達の柔肌の感触、女達があげる艶めかしい声、周囲を埋め尽くす女達から立ち上る芳香、それらがない交ぜになって茂吉の神経を狂わせていた。
ドピュッ、ドピュッ、ドピュッ。
もう何度目の射精かなんて数えることができないが、茂吉の摩羅から白液がほとばしり、それに合わせて全身がブルブルと痙攣する。その振動が女達にも伝染し、彼を覆い尽くす女の固まりそのものもブルブルと痙攣する。
「!!!!!!!!」。
「あああんんっ・・・」。
「はあんっ、あはあんっ、はっ、はっ・・・」。
「きゃあああん、きゃあああっ・・・」。
「あ、あついの、あついの、き、きてっ・・・」。
「もっとよ、もっとよ、も、もっとぉっ・・」。
女達の中心で、もみくちゃになったままの茂吉が、耐えようのない快感の中で、声を上げる。むろん女達に埋め尽くされた彼の声は、彼女達が同時にあげる快感の大合唱にかき消されてしまって、誰にも聞こえない。
興奮が興奮を呼び寄せ、女達のボルテージはさらに加速する。疲れを知らない女達の快感の波動は、すぐに次なる茂吉への責めに転化し、そして再び訪れる射精の快感。茂吉の男性は萎える間も与えられず、無限に続く射精を繰り返していた。
ジュブ、ジュブ、グッチャ、グッチャ・・・
彼の耳に入ってくるのは、すさまじいばかりの女肉がたてる卑猥な音
彼の鼻孔を占めているのは女の身体の中から立ち上る牝の匂い
彼の目に入ってくるのは隙間のない女の洪水、ピンクの暴風雨
そして彼の全身から襲ってくるのは、女達の肌の感触、密着した胸、お尻、そして舌で舐め、手指でまさぐる、破壊的なまでの女、女、女の嵐。
誰にはばかる事のない絶頂の声が、萩の間から廊下へ響き渡り、それがさらなる女達を呼び寄せてしまう。萩の間で他の用人を嫐っていた女中達も、隣にある桐の間で男共を犯し尽くした女中達も、その声に誘われるようにして、さらに茂吉を責める輪へと加わってくる。
人が一生かかって味わう程の快感を、一度に味あわされ続ける茂吉。この地獄の終わりは、まだ見えそうにない。
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