落城前夜               (4)


  「ぬぉぉぉーーーっ、ぐあああっっっっ!」。

 女達の作る洪水の中で、源次郎はまさにもみくちゃにされていた。悲鳴を上げようと、嘆願をしようと、何を言おうと女達の耳には何も届いていない。みんなが狂ったように源次郎の身体に群がっていた。

 とはいえ誰一人として、まだ着物を脱ぎ捨てる者はいない。多少は着崩れを起こしている者もいるにはいたが、さすが武士の娘達ばかり。無礼講とはいえ決して隙はみせない。ただその行動だけは大胆で、源次郎のの乳首に食らいつく者、彼の手をとって自分の秘所を触らせる者、強引に唇を奪う者。お腹の上に馬乗りになって腰をぐいぐい押しつけている者。そしてオトコに対しては約10本あまりの手指が群がって、シゴいたり引っ張ったり撫で回したりと、乱暴狼藉の限りをつくしている。

 「や、やめろと言うにいっ、いっ、痛いいっ」。
 時折、源次郎の悲痛な声が漏れる。しかしその声は、女達の興奮を誘うバックラウンドミュージックの効果を生み出すだけだ。

 「おお、おお、すごいことになってしまいましたな。これでは・・・」。
 「お方様、哀れみは無用にございますぞ」。
 「そうじゃったな。それでは妾も皆と一緒に混ざろうかの」。
 「ではわたくしもお供させて頂きまする」。
 とうとう、おうみの方と側近の多恵も、ついにその渦の中に入っていく。

 「おおおおっっ、だ、誰じゃ、そ、そんなこと・・・。ぐぉぉっっ、うううーっ。

 源次郎とて決して女を知らない身ではない。むしろ女好きの方で、2人の女を手玉にとり一晩中ひいひいと泣かせた事もある。しかしこの状況はいかにもまずかった。女とは一人づつならば誠に可愛く愛しいものだが、それが集団になったとたん豹変をする。群れた女ほど恐ろしいものはないことを、彼は今までの女性遍歴で痛感していた。

 「はああっ、はああっ、もおっ、ご、ご勘弁を・・」。

 今、女達は異常な興奮状態に陥っている。この女の集団がたった一人の男に対して何をしようとしているのか。言う迄もない目的はただひとつだけ。しかも彼のオトコは南蛮渡来の薬湯により強制的に勃起させられており、手足は拘束された状態で一切の抵抗力を封じられている。まるでマナ板に乗せられた鯉、いや狼の集団に放り込まれた子羊の状態。源次郎はその過酷な運命を受け入れるしかない。

 「あううっ・・・おっおおおっっっっ、で、でるっ!!」。
 
 程なくして、女達の集団の中に、最初の飛沫が飛び散った。源次郎の身体はこれ以上にないほどに弓なりに仰け反った。彼自身もまた異常な興奮状態に陥っていた。彼の今までの人生の中でも、これほど沢山の女達と接した経験はない。

 全身を覆い尽くす柔らかい感触。着物ごしであってもゴツゴツした男の身体ではない、女性特有の柔らかい感触が身体中から押し寄せる。彼女達があげる嬌声が耳朶をうち、甘い方向が鼻孔の奥底をくすぐる。そして強制的な接吻で口腔の奥に甘い唾液を流し込まれ、男性自身は乱暴な波状攻撃を受け続ける。

 こんな状態で若い源次郎が、たとえ1分たりとも耐えられようはずがない。その噴出こそ、彼の命を削り取る第一歩となることが判りきってはいても、とても我慢のできようはずもない。

「きゃあああっっっ・・・」。
 「あっ、こ奴め、もう出しましたぞ」。
 「なんじゃ、我慢が足りぬ男よのぉ」。
 
 女達の中心で、ぴくぴくと身体を痙攣させ、射精の余韻に浸っている源次郎。しかし彼のこの至福の時は、一瞬で地獄に突きおとされることになる。

 「なんじゃ、こやつ、妾のお召し物に、斯様な汚いものをまき散らしおってからに」。
 「ふふんっ、場をわきまえぬ男よの。さすがは戸田の畜生じゃ」。
 「そうじゃそうじゃ、畜生は成敗してやらねばならぬっ」。
 「まずはこの礼儀知らずの摩羅に仕置きをしてやりましょうぞ」。

 射精の直後の敏感なものに、再び女達の手指が群がっていく。ついさっきまでより、多少その扱いが乱暴になっている。

 「あぎぎぃぃぃっっっ、くおおっ・・・、ち、ちょっと、ま、まって・・あっ・・」。

 あまりのことに声も出ない。源次郎は敏感になった男根に群がる女達の手指の攻撃から、必死で逃れようと腰を動かすが、手も足も縛り付けられた状態では、動く範囲はたかが知れている。とても彼女達の攻撃から逃れることなど不可能なのだ。

 「ううっぐぐっ・・・あ、ああっ、だ、ダメでござっ・・・くううっっっ・・」。

 「おほほほっ、どうじゃ、どうじゃ・・・」。
 「ほれっ、出したすぐ後に責められるのは、さぞ辛かろう」。
 「そうじゃ、もっと辛くなれっ、辛くなれっ」。
 「ふふっ、何を辛がっておるっ。おまえが今宵味わう辛さは、とてもこんなものではないのだぞ。それっ、もっともっと苦しむがよいっ」。

 「あぐぐううっっっ・・・、いぎぎぎぃぃぃっ・・・」。

 「これは、ほんに面白い。男をいたぶるというのが斯様に愉快とは思わなんだわ」。 「なんのなんの、夜は更けたばかり。まだまだ、これからじゃ」。
 「ほれ、ごらんなされっ。皆が触っておるうちに、こ奴のもの、さっきより大きゅうなったと思いませぬか」。
 「ほほっ、そうじゃのぉ。さっき出した男の精が、ほれ白い泡のようになってきて、おおなんと嫌らしいのじゃ」。
 「次は妾にも触らせてくりゃれ。交代じゃ、交代じゃあ」。

 「ぎひひひぃっっっ・・・、あうっ・・・、くはぁぁぁっ」。

 薬湯に含まれていた薬の効果が効いているのか、それとも女達による手技責めの刺激が強すぎるのか、源次郎のものが萎える気配は全くない。そのため女達による責めは、休む暇もなく続いていく。源次郎はまだ気が付いていない。この段階ではまだこの連続した快感の津波に酔いしれてる余裕があるが、次第にそれは苦痛になり、そして最後には生死の極限をさまようことになることを。

 「あああーーっ、ま、またでるうっっ・・・。あうっっっ・・・」。

 ほどなくして続く2回目の噴出。そして間髪を入れることなくすぐに始まる直後責め。彼の上半身や手と足、全身のパーツが女達によって、好きなように自慰の道具と化して彼女達に供されている。終わりのない興奮状態に、彼の意識が次第に朦朧としてくる。しかし女達の責めは、さらにエスカレートの度合いを深めていく。

 「あああっっっ。もおっ、もおっ、ち、ちょっと休ませてくださいませっ・・・・、これい、以上は・・・、つ、辛うございます・・・ああっ、ひいいっっ、ぐああああっ・・・、また、で、出てしまいまするっ・・・」。

 「やかましいっ。誰かこ奴の口を封じてくれぬか。さっきから煩うてかなわぬっ」。
 「そうじゃな、誰ぞそやつの口を塞いでくれんかのぉ。あ、そうじゃ、それならお尻で押しつぶしてやりましょかな?」。
 「そいつは面白い。それなら裾をたくし上げ、女の陰で直に塞いでやりましょうか」。
 「ほっほっ、それならこ奴、息が出来ずに・・・」
 「息ができねば、死んでしまいませぬか」。
 「そこは、生かさず、殺さず・・・」。
 「えっ、逝かさずでございまするか?」。
 「これお千っ、何を聞いておるっ。逝かさずではなく、生かさずじゃ」。
 「これ、ちと待ちゃれ。それは面白い。こ奴を逝かさずというのはどうじゃ?」。
 「えっ、それはいかが致しますのか?」。
 「そんなこと簡単なことじゃ、こ奴の根本をば紐か何かで固く縛ってしまうのじゃ。そうすれば、ほれ、もうそこからは何も出てれぬ。つまり逝けぬのじゃ」。
「ほほほっ、それは面白いっ」。
 「で、でもでございます。そんなことをしたら・・・」。
 「男にとって逝きたくても逝けぬというは、かなりの苦痛ときくぞ・・・」。
 「はははっ、それはよい趣向じゃ。妾はさっきから思うておった。さっきからの責めはただ、こ奴を楽しませておっただけのようにも思えて成らぬのじゃ。憎き戸田の小倅を楽しませてなんとする。もっと苦しませてやらねばのぉ」。
 「やりまするか・・・」。

 誰かが帯の細紐を解いて、それを源次郎のそそり立ったものに巻き付けると、ぎゅっとその根本を締め上げる。その作業が終わると、待ちきれないように再び女達の手が伸ばされ、源次郎の男に対する容赦ない責めを再開した。

 「ぎえええっっっ、お、おやめぐださいまぜっ、い、痛おございまするっ。そ、その紐を何卒、何とぞお解きくださいませぇっっっ!!」。

 実際に、根本を縛られることは痛い事に違いない。勃起したままのペニスの根本に紐が食い込み、そこの部分が赤黒く変色していく。根本の血流を堰き止められたペニスは今までにない最大級の勃起状態となり、女達をさらに喜ばせる。今まで以上に女達は彼のペニスを弄びはじめる。

 さっきまでは一連の責めが続くと、射精により興奮のはけ口を吐き出すことができた。しかし根本を縛られてしまうと、それが全てそこで堰き止められてしまうために、終わりのない射精寸前の状態が延々と続くことになってしまう。男にとってはこんな残酷な責めはない。

 「はぁぁぁぁっ・・・あああっ・・・はぁはぁはあっ・・・ぐっっ・・・」。
 源次郎は、身体中を何度もビクビクとさせながら、その行き場のない崖っぷちの快感を強制的に味合わされていた。全身を覆い尽くす女達の感触や嗅覚の刺激は、依然として衰えることなく、源次郎は絶望の中でただ悶えつづけるしか無かった。

(つづく)
  

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