SF セクサロイドの反乱  (2)
           
  「ちっ、やっぱりバグってやがった。動作指令も出していないのに、なんで勝手に動き出してやがるんだ」。
 サーバーのキーボードを操作していた山ちゃんが毒づく。

 「な、なんだ。脅かしやがるぜ」。
 「はははっ・・鈴木、おまえが一番ひびってただろが・・・」。
 「バカいえ、何を言いやがる」。
 他の二人も口々にほっと安堵の声を漏らす。

 しかし、それは彼らの想像もしなかった災難の序曲を告げる、ファンファーレでもあったのだ。突然鈴木は何を思ったのか、その声を発して手をさしのべているアンドロイドに近づいていった。
   
 「おい、鈴木何をしようとしてるんだよ!」。
 「へへっ・・・まあなっ・・・」。
 
鈴木はそのアンドロイドの1メートル手前で歩を止めると、しげしげと彼女を眺めながら言った。
 「たしかにすごいもんだな。どう見たって本物の女にしか見えないや。止まってるときはマネキンっぽくて、なんかただの人形みたいだったのが、こうして目を開いて動いてるのをみると、まるで・・・」。
 「おいっ、鈴木っ、それ以上近づくんじゃないぞ。それはまだ未完成なんだ。危険回避プログラムのインストールはしているものの、バグの除去は終わっていない」。
 「わかってるって。そうか、ついに全世界の男達の夢、究極のダッチワイが生まれようとしているんだ。生身の女より数倍も気持ちよくって、人間の女のようにワガママも言わない。究極のセックスマシーンがこれなんだ」。

 知らず知らずのうちに鈴木は女に近づいていた。女の目は潤んだ瞳を鈴木に向け、肉厚の唇から男を誘う言葉を紡ぎ出している。

 「ねぇ・・あたし、もうたまらないわ・・ねぇ、早く抱いて・・・」。

 女のか細い手が水平に上がり、何かを探すようなそぶりで手招きをする。

 「けへーっ、本当に溜まらないぜ。そうかそんなに抱いて欲しいのかい。俺のアレが欲しいってのかい?」。
 「ええ欲しいの。あなたの大きいのアタシにちょうだい。今すぐに・・・、ねっ、ほらアタシのココ、どうなってると思う?」。
 「ふんふん、そうか触って欲しいってのかい」。

 鈴木は下卑た笑みを浮かべて、さらに一歩女に近づいていこうとする。

 「鈴木っ!。危険だからそれ以上近づくんじゃない」。
 リーダー格の男の制止でかろうじて動きを止めたものの、鈴木の表情にはおまえの命令なんて聞く気はないという、不敵で傲岸な表情が読みとれた。

 「データのダウンロード完了です」。
 サーバーを操作していた山ちゃんが、サーバーからディスクを抜き取りながらリーダー格の男に声をかけた。
 「よし。じゃあ退散しよう。山ちゃん、メインサーバーの電源は元通りに落としておいてくれ」。
 「了解。おい鈴木っ、そんなところでおもちゃと遊んでないで、こっちに来て作業を手伝ってくれないか」。
 
 ちっ、鈴木は舌打ちをするが、山ちゃんに対してはリーダー格の男に対するほど反抗的ではない。しぶしぶながらも山ちゃんのいるサーバー機へと戻り始めた。

 「ねぇー・・・あたしを抱いてよぉ・・・お願いだから・・あたし、もう、もう、ダメなのよぉ・・・もう・・立ってられないくらい・・・」。
 取り残されたアンドロイドの挑発は、ますますエスカレートし、とうとうその場で立ったままオナニーを始めだした。
 「あんっ・・・あふっ・・・いいっ・・・ほっ欲しいのぉ・・・」。

 女の歓声と、ぐっちゃぐっちゃという指がアソコをかき回すいやらしい音が相乗効果を上げて、部屋中に響き渡る。
 
 「なんかたまらんなぁ。おかしな気分になってしまいそうだぜ」。
 「ああ・・・そうだ。男の理性を木っ端みじんにしてしまうほどの迫力だ」。
 黙々と作業をしながらも、男達の理性は次第に狂い始めていた。男達の血液が下半身に集中し、目の前の作業にも集中することすらできない。

 「ダメだ・・・。メインの電源が切れない・・・」。
 「えっ、何だって?」。
 「強制終了も何も効かない・・・。くそっ、なぜだか知らないがプログラムが次々に暴走を始めだしているようだ。これはいったい・・・」。

 「あっはあんっ、ねぇおねがいだから・・・ほぉら、あたしのここって、もうこんなになってるのに・・・ねえ殿方が三人も集まってるのに、どうしてあたしを抱いてくれないのかしら・・・あたし・・・・もうっ・・」。
 とうとうアンドロイドはその場にしゃがみこんで、左手で胸のふくらみを、右手は下半身の秘密の密壺におき、妖艶な自慰行為を始めた。しかし視線はしっかりと三人の男達に向けられ、艶っぽい表情のまま挑発的に話しかけてくる。

 「ああんっ・・・あんっんんっ・・・。だ、抱いて欲しいの・・・お願いだから・・・ああんっくっ、もう・・・一人は嫌なのぉ・・ねっ、ねぇ、お願いだからアタシの中をぐっちゃぐちゃにして・・・」。

 男達はつとめてその誘惑を無視して、作業に没頭しようとするのだが、その計算され尽くした男を誘うプログラムは、少しでも気を緩めたが最後、理性の壁を簡単に突破してしまいそうな迫力を持っていた。

 「やばいな・・どうやらこの暴走は予定されたプログラムかもしれない。つまり計算された安全機能のための暴走だ。強制終了すらもできない理由はそれしかない」。
 「それだったらコードをひき抜けばいいじゃないか」。
 と鈴木がまぜっかえす。
 「いや、ダメだ。そんなことしたらこのシステム自体が大きく損傷を受けてしまう。二度と修復が出来ないようなダメージを与えてしまうんだ」。
 「損傷を受けるって・・・おまえまだここに未練でもあるのか。もう俺たちはここに戻るつもりはないんだろ。だったら別にいいじゃないか。ここのシステムがどうなろうが、そんなのは俺たちの知った事じゃない」。
 「まっ・・・そういえばそうなんだが・・・しかしなぁ・・・」。

 二人のやりとりを聞いていたリーダー格の男は、そこで断を下した。 
 「よし。仕方がない。システムはダウンもしなくていい。システムはそのまま、放ったらかしにしてていいから、俺たちはディスクだけもって退散しよう」。

 真っ青な表情でサーバーのディスプレイを見つめたままの山チャンと、飢えた狼さながらに脂ぎった表情を浮かべ反抗的な態度を崩そうとしない鈴木が、共に驚いたようにリーダー格の男を見返した。

 「どうしたんだ二人とも、つまらない言い争いをしている時間はない。ダウンロードが済んだのならば、こんな所に長居は無用だ。既にシステムが起動してから5分はたっている。プログラムが暴走をし始めているのなら、ここにいるのは危険だ。早く・・・」。

 リーダー格の男は明らかに、アセリ始めている。それに対して山ちゃんの方は、依然としてディスプレーに向かったまま、再び何かのプログラムを打ち始めている。また鈴木はちらちらと、またアンドロイドの方を盗み見をしながら、へらへらとイヤらしい笑みを浮かべ始めていた。

 「あああんっ・・・もうダメなの・・・きて・・・お願いだから。あたしを・・ねぇ、いいでしょっ・・・」。
 アンドロイドの誘いの声がますます熱を帯びてくる。鈴木は他の二人を無視するように、再びアンドロイドの方に向き直ると、ゆっくりと近づいて行く。

 「鈴木っ!何してる!そいつに近づくんじゃないっ」。
 リーダー格の男が驚いたような声を上げる。

 「悪いな、ずらかるんなら俺に遠慮せずに先に行っててくれないかな。俺、もう我慢できないぜ。据え膳食わなきゃ男の恥とかって言うじゃねえか。せっかくの機会なんだしよ。俺少しだけ初物の味見だけしてから後を追うことにするわ。悪いけど先に行っててくれよ」。
 鈴木はにやりと笑みを浮かべて言った。股間のものは遠くから見てもハッキリと判るほどに大きく膨らんでいた。どうにも抑えようのない欲望の炎が鈴木を支配していた。

 「何を馬鹿なこといってるんだ。そいつらはまだ未完成品なんだ。どんなバグが潜んでるかしれたもんじゃない。危険なんだ・・・」。
 「いいから、ほっといてくれよ。こいつらのオ○ンコの部分の開発責任者は俺だったんだ。こいつらのアソコの構造がどんなにキモチいいかは、俺が一番よく知ってるのさ。材質の選定、微妙な膣システムとボディーや発声構造とのムダのない動き、まさに完成されたセックスマシンがこいつなのさ。こいつの初物を世界で一番最初に味見する権利が俺にはあるのさ」。

 「ああっ・・あなた鈴木さんっていうのね。うふっ嬉しいわ・・・あなたは、あたしを抱いてくれるのねっ。あたしもう我慢できないくらいになっちゃってるから・・・・ねっ、早くぅ、こっちに来て・・・・そしてあなたのをあたしに・・・ちょうだいな・・・あああんっ・・・」。

 アンドロイド起動を始めたもの、まだ最初に立ったままの位置からは動き出そうとしていない。それは起動開始から5分間だけは回路の安全チェックのために、下半身の機能は停止したままだからだ。しかし安全チェックを終えた瞬間に、このセックス目的に特化された精巧な機能を持ったアンドロイド、つまり「セクサロイド」はその全ての機能を全開するようになっていた。

 鈴木は唖然とする二人を気にすることもなく、起動を始めたセクサロイドに近づいていくと、彼女の手を取りその場に倒れ込んだ。


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